ごたいめーん!
おいボルちゃんや! そろそろ神樹さまの鉢が地上に届きそうなのだが?
「そうか、わかった」
「ミアさん、なにがわかったのですか?」
「ええ、スネークが崖の上からグラニーラムゼースミスさまを連れてきたのですが、それがそろそろここに着く、と言ってきたのです」
「なにっ!? どういうことだ? ボルドウィンとやら、説明しろっ!」
「おや、ヘンチェン殿から説明をされてませんでしたか………… グラニーラムゼースミスさまは先ほど精霊顕現されました。里の皆様に会っていただきたいので、スネークが崖の上から魔法で連れてきたのです。いろいろおっしゃりたいことはわかりますが、グラニーラムゼースミスさまの場所はいつでも変えられますのでご安心ください」
「ボルドウィン! 本当にグラニーラムゼースミスさまが精霊になられたのだな?! よしっ! これでやっとこの里が本格的に王国の一枝として認められる!」
「おめでとうございます、里長殿。里の皆様もこれまでの労苦が結実したこと、王国の一員としてお喜び申し上げます」
「ふんっ! さすがに近衛軍だけあって挨拶だけはたいしたものだな!」
なんかおっさんがおばあさんから頭叩かれた………… あの年で頭叩かれるとは…………
「まあまあボルドウィンさん、立派な挨拶、ありがとねぇ」
「それで、グラニーラムゼースミスさまは………… 上にいたときはすっぱり葉が落ちていたのですが、あれからどうやって精霊状態になれたのでしょうか? 」
やはりその疑問が来るよな、我はボルちゃんに目配せする。
「あー、それは伝説の賢者のお力を借りて、従魔が伝説の魔法を使ったのです」
ざわ…………ざわざわ……………… ざわつくエルフさん達。嘘は言っとらんよな。ボルちゃんが、伝説の賢者から(情報という名の)力を借りて、(孤光のマルスプミラから緑魔法をもらった)従魔(すなわち、我)が伝説魔法を使ったのよ。
「伝説の魔法というと、緑魔法かえ? 」
「そうです」
「たしかパディフィールドさまは、もう緑魔法は使えなくなっていたのではなかったかぇ? 」
何その新情報? 我、そんなの聞いてないよ? ボルちゃんが何やらきょどりだしたが
「スネークちゃんは伝説の賢者さまから緑宝をもらったのです! 緑宝玉には緑魔法が詰め込まれているので、それを使ったのですよ! 」
ハンナちゃん、ここで復活してた! ふむ。その線で押していくか。
「へぇ、そうなんかぇ」
「母上。そんなことよりも、グラニーラムゼースミスさまをお迎えしようではありませんか! 父上の念願だったグラニーラムゼースミスさまがようやく顕現されるのですよ!」
「そうじゃのう………… あの人も母なる大地に抱かれて喜んどるじゃろうて…………」
ん? 今ちょっとエルフ族の死生観を垣間見た気がしたが。
「おい! スネークとやら! まだか? グラニーラムゼースミスさまはまだか? 」
なんか鼻息荒いなぁ! こんなのが里長なのか? 我、じと目でおっさんを見る。
「ごめんねぇヘビちゃん、このこが興奮してるの勘弁してねぇ。私たちも耳が首に着くまで待ってたんだわ」
なんか変な慣用句が………… エルフ族は耳に関しての用語が多いような? フランクフォートのギルド長もなんかいっとったし。
”スネークよ。あまり待たせるのもよくないと思うのだが?そろそろなのではないか? ”
ああ、そうですねーク。植木鉢がゴリゴリ壁を削っていく音とも止んだことだし、それじゃ、ちょっと我、神樹さまのところに行って演出をするわ!
「あ! 余計なことをしなくてもいいぞ!」
我、ジャンプして空気階段を駆け登る! 崖の屋上に着いたら、今度は神樹さまの入った植木鉢が通過した穴から落下! 落下したところには神樹さまがいますね! 樹木と精霊状態になった神樹さまです。
「神の御子、これからどうするのですか? 」
この里の、あーなんつったっけ? 守り人と会っていただきますよ! 暗くなっているから光魔法最大で神樹さまを明るく照らして神々しさを演出します。さて、広場側の壁を崩していきまして
ガラガラガラガラ!ピッカーーーーーーーーーン!里の皆様と
ごたーーーいめーーーーーーん!
壁が崩れた向こう側から、驚愕の声が!
「「「「「「「「「「ま、まぶしーーーーーーー! 」」」」」」」」」」
あ、光が強すぎたか!
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




