さて、竹を駆逐しますよ
黒雲に穴を開けたせいか、土砂降りは小雨になり、やがて雨は止んだ…… 空には虹がかかっている。崖の上出は我が放った火がすっかり消えてしまっていた。さて、この辺って竹は生きてるんかね? 生きているなら、緑魔法で根こそぎよ! 我はくすぶっていた竹竿に緑魔法をかけます。
緑魔法Lv.2移植!
”プピピピピ”
”移植対象植物が近くに存在していません”
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと23!】
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと23!】
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと23!】
ぐぬぬ! 失敗した! 根っこも死んじゃってたか…… しかもカウントダウンが進んでしもた! ボルちゃんよ! 近くに生きているマギ・バンブーはいないのか?
「それなら、そら! 里の内崖の、北側の方に!」
ああーー。断崖絶壁のところに突き刺さるように竹が生えてるわ。こっちの竹ってたくましいのね…… あ、魔植だったね。しっかり緑色してるし、あれなら大丈夫か。ボルちゃんよ! あそこまで我を乗せてけ!
「よし!いくぞ、空中闊歩!」
ボルちゃんの頭にパイルダーオンした直後に、ボルちゃん屋上から駆け落ちる。鵯越の逆落としよりも激しい! 何せ空中ですけん! あっという間に到着!そのまま
緑魔法Lv.2移植!
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと22!】
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと22!】
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと22!】
ガラガラガラガラ!ズボボボボボボ!
マギ・バンブーがただの雑草のように毟れていきます! 壁面に生えていた竹はその根がだんだん地上部まで露になっていきました。やべ! 今、崖の岩とかが落ちちゃったけど、下に誰もいないよな?
「安心しろ! 里からは人を避難させている」
だけど、念のため! 地上まで行ってくれ!
「承知した! 」
ボルちゃんの頭に乗ってとっとと移動…… そう言えば移植先を聞かれてないな…… 地上へ降りたったボルちゃん。下にいたのはボルちゃん小隊の面々だった。特に誰も怪我してないみたいね。
「隊長! こりゃなんだ!? 」
「スネ君の魔法ですよね?! こんなに簡単に討伐できるんだったら、始めっからやっててよ!」
「師匠! こんなに魔法を使って…… 魔力は大丈夫?」
「スネークちゃんならこれくらい当然なのです! 」
駆けよってくるボルちゃん小隊。その間にも地上部の竹がどんどん土から引っこ抜かれていく…… やがて根っこは北の方へ向かっていく。あれ? あの方向は我が地下道を作った方向かしら?
「師匠が地下に通り道を作ったので、マギ・バンブーがそこから川底を通過したみたい」
それって、我のせいでマギ・バンブーが里の中に侵入したってこと?
「ま、結果的に言えばそうなるが…… ここで全部討伐してしまえばよいのではないか?」
助けに来た者のせいで助けようとしたものが助からなくなるかもしれなかった…… 失敗やな! 始めっから”移植”を使っとけばよかったのか……
”プピピピピピ”
お知らせが鳴ったのはマギ・バンブーの根が里の外から出て川を越え山向こうに向かおうとした時だった。
”移植対象植物の移植先を指定してください”
ん? 竹の生えてる場所はまだまだあると思うのだが?
”移植対象植物の移植先を指定してください”
ボルちゃんよ、引っこ抜いた竹をどこかへ植え替えないといけないからちょっと里の外までいってくれ。
「わかった。里の中はもう安全なのだな? それでは、皆、避難させていた里の人たちを連れ戻してきてくれ」
「あー、でも地下のやつはどうするんだ? こんなにあからさまに地面がボコボコになってたら、スネークの仕業ってすぐばれるぜ? 」
「いや、もうたぶんばれてるよ。地下道を師匠が作ったって話してるから」
”移植対象植物の移植先を指定してください”
あー、急がせるねぇ…… それじゃ、地面や壁面は
土魔法Lv.30地形操作!
荒れた場所を均して!
ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ……………………
これでよし、と! それじゃ、ボルちゃんまた頼む!我はボルちゃんの頭の上にパイルダーオンして里の外に向かった…… 向かった先は里の入っている崖の隣の崖の屋上だ。ここは里のある崖とは違って中に穴は開いておらず、ただの天然円柱の崖だった。その円柱の上の面、建物じゃないけど屋上って呼ぶか、屋上をマギ・バンブーの移植先に指定。もともとの屋上は草がまばらに生えているところだったが、そこに竹が空(正確には地上すれすれなのだが)からやってきて、根っこが地面ににずぶずぶ埋っていった。
「なぁスネークよ」
どうしたボルちゃん?
「このマギ・バンブーには、なんというか気配がないというか、攻撃する意思がないというか…… さっきまで対峙していた殺気がないのだが、どういうことだろうか? 」
さっきまでのさっきか……(ぷぷっ)久しぶりにワロタ( ´∀` )。
「スネークはつまらない語呂合わせでも笑うのだな……」
どうやら、先代神樹様の教育の賜物のようで。駄洒落、どんとこい!
「話を戻すぞ。先ほど屋上で戦った時や、里の地上で戦った時などは、マギ・バンブーから気配を感じたのだが、今はそのようなものがまるでない、抜け殻のような感じがするのだが?」
そう言えば、さっき屋上で緑魔法を使った時、視線を感じたな。竹藪からと…… 後、時々背中から覗かれてる感じはした。我、思うに、ここの竹はもう意識はないのではないか?
「なら、これで討伐終了か! 」
ぱぁっと明るくなるボルちゃん! だがしかし! ちょっと待っておくんなまし! 魔物をやっつけたときに聞こえるビローン音がまだ聞こえない。
「と、いうことは? 」
今だマギ・バンブーは健在ということだ。たぶん… 根っこを切り離したんじゃないかな?
「それでは、ここのマギ・バンブーはどうするのだ? 放っておくのか? 」
うーん…… また根っこを接続されたりしたら困るので…… 地上部は刈り取り、地下は里の屋上みたいに金魔法で枯死させるのがいいんじゃねーか?
「では、それで頼む」
刈り取りは、ボルちゃん頼むぞ!
こうして我とボルちゃんで隣の崖の屋上に移植させたマギ・バンブーを討伐した。ボルちゃん曰く、何の手ごたえも感じなかったそうだ…… 手ごたえない方がいいやろ! ちなみに竹竿は我が全部丸呑みして、素材として美味しく使う所存です!
続きかきますが、投稿は本日はこれにて。途中で寝夢夢になるーー><
お読みいただきありがとうございます。




