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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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絶体絶命

やっと主役登場^^。



 フランメクライゼルの炎乃独楽が竹林を焼こうとしていたが、術者の魔力切れで竹藪が焼けるまでには至らなかった。燃えていた至る所に白い煙が吹き出している。


「あれは水魔法で類焼を防いでますね。マギ・バンブーの水魔法と言ったところでしょうか? 」

「しかも風魔法も使っている! どうなっている? 前回はそんな魔法は使っていなかったはずだ! 」


ヴィンデルバンドはボルドウィンの疑問に答える。


「これは・・・・・・ 私の推測になるのですが」

「構わない! 言ってくれ!」

「それでは・・・・・・ あのマギ・バンブーは魔力を吸って自分のものにするだけでなく、その魔力を使って属性魔法を使うことができるのではないのでしょうか? 」

「だが、はじめの頃はそんな魔法は使ってなかったはずだが? 」

「・・・・・・ あちらもそんなことができるとは気づかなかった、ということでは? それか今回グラニーラムゼースミス様のもつ風属性の魔力を大量に吸ってできるようになったのでは? 」

「それだと、今、フランメクライゼルが火魔法を使ったが、やつはそれを吸収したのか? 」

「その可能性は低いかと・・・・・・ なぜなら、本体が植物で、火魔法は弱点だからです」

「だが、我らエルフなどの人族だって、直接火を触れば火傷する。魔法ができる人族なら、体を魔力で覆ってから魔法を発生させるぞ。あの竹がそういうことができるようになったらまずいのではないか? 」

「まあそうなんですが、火魔法の魔力の取り込みはできないでしょうから・・・・・・」

「ちょっと待て! それだと、他の属性なら取り込めるのか!? 」

「しかも、その属性魔法を使いこなす可能性が」

「それでは魔法を使っての攻撃はやめた方がいいのだな! 」

「学習される可能性がありますから。できるだけ武器でやっつけたほうがよろしいかと」


***************

・・・・・・ ふんふん。なるほど? またまた重要な情報を得られたわね?

その1.あの木、マルス・プミラの名前は、グラニーラムゼースミスっていうのね。風属性の魔力持ち。たくさん魔力吸い取った覚えがあるわね、確かに。それで風魔法も使えるようになった、と。

その2.なんか投げてたコはフランメクライゼルちゃんっていうのね。見た目ヤンキーっぽいけど美人だったわ。レディスの総長かと思ったわ。

その3.魔力を吸うとその属性の魔法を使えるようになるのよね。それはなんとなくわかるわ。


元々癒やしの水を使えてたから、水魔法は私使えるみたいだし、あの水血ちゃん、水魔法でできてるようだし、この際もっとたくさん魔力吸い取りましょう!

**************



「あっ! 」

「どうしたヴィン? 」

「イズミちゃんがちっちゃくなってます! って、あっ! 地面の下にタケノコ族がぞくぞくと!」

「ヴィンちゃん! さっきの話だと、イズミちゃん、魔力吸われてない? 」

「ああっ! そうかも! トレーネさん、ありがとうございますっ! イズミちゃん! 戻って! 」


大きな水蛇は白い煙になって行き、ヴィンデルバンドの持つ杖についているマリンブルーの色をした宝玉の中に消えていった・・・・・・ それと同時に地面からたくさんの竹が伸びてきた!


「危ない! みんな散れっ! 」


ボルドウィン小隊のいた場所に竹が密集して生えてきた。皆素早く散開するが、一人動けなかったものが。


「ボーデン! 土魔法で身を守れ! 」


下から伸びてきたタケノコに突き上げられるボーデン。


「くっ! 土壁魔法は魔力を吸収されるかも・・・ ならば、

土よ、土よ、が祈りを聞き、願いを叶え給え。願いを叶えた暁にはわれ魔力マナが願い満たすだけ受け取り給え。土よ、その身をやいばと成して、が鎌となりて大地豊穣の恵みを刈り取り給え。汝の名は豊穣収穫デスサイズ。刈り取れっ! 」


手に持った一丈の棒の先には魔力でできた大鎌が出来上がり、ボーデンはそれを振りかぶる。ボーデンの周辺にはえてきた竹はなぎ払われてしまった。しかし、まだまだ竹の発生速度は衰えない。かろうじてボーデンは仲間のところへたどり着いた。


「隊長! どうするんだ! グレニーラムゼースミス様の周りが竹だらけになったぞ!」

「誰か、策はないか!? 」


誰も、何も発さない・・・・・・


「ならば! 剣で切り倒すのみだ! 行くぞ! 」

「あーぁ、しゃーねーな! 大金もらって引き下がるわけにはいかねーな? な、カーちゃん! 」

「剣を振るのは、苦手なんですけどねッ! 」

「皆さん! 動いている間にも水分と飴の補給をしてください! 」

「おっ! ヴィン、衛生兵のくせに剣を使えるようになってるなー、感心感心!」

「ありがとうございます、フランメクライゼルさん! 皆さんの練習を見よう見まねさせていただきました!」

「見ただけで使えるようになるとは・・・・・・ ヴィンちゃん、恐ろしいコ・・・・・・ それにしても、バウちゃんはどこいってるのかしらん? 」

「エマさんは、スネークちゃんと一緒のはずです! 今頃、大活躍をしてるはずですよっと! それにしても、この剣はすごい切れ味ですねっ! 」

「それにはスネークの付与がついているからなっ! しかし・・・・・・」

「ああ! 刈り取るスピードが竹の生えてくるスピードに追いつかねぇ! どうするんだ、隊長?! このまんまじゃ・・・・・・!」

「ヴィン! スネークたちとは連絡が取れたかっ? 」

「特に何も・・・・・・ あっ! エマさんの念話? 一瞬で消えた・・・・・・ 」

「バウアーから、なんと? 」

「・・・・・・ 唐揚げ、楽しみに待ってまーーーーーっす!!!! と!」

「どういうことか? 」

「さぁ? 」


皆、首を傾げながらも剣を振るう。振るっても振るっても竹藪の中。グラニーラムゼースミスの大木には、せっかく切り剥がし田のにまたも竹の根が纏わり付いている。このままでは、マルス・プミラは枯れ、里は壊滅してしまう! ボルドウィンは思う、我々の手には余ったのか! スネーク、助けてくれ!


「スネーク! 助けてくれ! 」


ボルドウィンは天に向かって叫ぶ! それに答えたのか・・・・・・天が叫ぶ!


”おおおおおおおおおおたたたたたたたたすすすすすすけけけけけけおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!”


やっと主人公も出てきたところですが(最後でちょこっと)、今宵はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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