ヒーちゃん、魔法がうまくなる
主人公が出てこなくなって早幾年。
スネークの出番はそろそろです。
「ま、なんにせよ、リーちゃんが助けてくれたってことだな! よくやったぜ、さすがねぇさん代理! 」
「そうですわね、ちょっと見ない間に成長して・・・・・・これなら戦闘面でも安心して任せられますわ! 」
「ちょっと・・・ カーちゃんは戦闘を他人任せにしない・・・・・・」
「そうだぜ! 報償をたくさん前渡しされたんだ。それくらいの働きはやらなきゃな! 」
「ちょっと待て、フランメ! むやみやたらと突っ込んでは先ほどの二の舞になるだけだぞ? 」
「たいちょーさんはアレにどうやって攻撃してたんだ? ・・・・・・って、あの風魔法のイタチちゃんか・・・あれでマギ・バンブー刈れたのか? まだまだたくさん生えてるんだが? 」
「フランメクライゼルさん、あの状態は隊長が半分ほど刈り取ったあとです! ですが・・・・・・ また攻撃を続けないとすぐに元通りになってしまいます! 」
「それにグラニーラムゼースミス様の魔力を吸い取ったからかもしれないが、風魔法を使い始めた! あの風にナイフを混ぜてきているから接近して刈り取るのは相当にやっかいだぞ! フランメ、君ならどうする? 」
「ああ、接近しなくてアレに攻撃を加えればいいんだな? なら、話は簡単! 」
フランメクライゼルは腰のポーチから、スネーク特製のガントレットを取り出した。ガントレットの腕装着部分には大きな赤い水晶玉が左右の籠手にひとつづつついている。これはスネークが、火魔法の魔力をためる水晶玉をガントレットにつけた、フランメクライゼル専用の武器であった。火魔法は使えるもののそれを放出することが苦手なフランメクライゼルは、ガントレット自体を高熱化させその熱で戦うのだろう、とその場にいた誰もが考えた。
「ちょっとヒーちゃん! 隊長さんの話を聞いてました? 殴ってバンブーを燃やすよりナイフがヒーちゃんに刺さる方が絶対に早いですって! 」
「ちがうっての! さすがに接近戦は危ないってことぐらい、オレだってわかってる! オレがやろうとしてることは、これだ! 」
ガントレットを装着し終わったフランメクライゼル。今度は懐のポーチから、これまたスネーク特製の水晶でできた独楽をバラバラとだした。
「いくぞ!
熱よ、熱よ、我が祈りを聞き、願いを叶え給え。願いを叶えた暁には我が魔力を我が願い満たすだけ受け取り給え。熱よ、熱よ、我が腕からに独楽に宿りて熱くなれ! 炎乃独楽! 」
フランメクライゼルは独楽の一つをつかむと呪言を唱えたあと、振りかぶって水晶の独楽を投げつけた。投げられた独楽はプラズマを放ちながら竹林に向かう。竹林の手前で旋風が吹いたようで起動が少しずれたようだったが、その後独楽は直進せず螺旋円を描き出した。螺旋状に動いていく独楽は、竹にぶつかるとピンボールのように進行方向を変えていく。独楽にぶつかった竹は真芯で捉えたものはそこから折れ、はじいたものは接触した部分が炭になっていた。
「ほう! ファイアーボールのような魔法だな! しかも方向を自在に変えられるのか! 」
「自在って訳じゃねーけどな! ガントレットをして独楽に魔力を込めるとあらかじめ念じていた動きをしてくれることに気がついたんだ! あれなら近づかなくっても敵にダメージをあたえられるぜ! 」
「なるほど! 」
「それで、あれは魔力がつきたらどうなるのですか? 」
「・・・・・・ そりゃ、熱くなくなって動かなくなるだけさ・・・・・・ 」
「あれ、スネークちゃんの作った水晶でできてるんですよね。放置しておくの、勿体なくないですかね? 」
「た、たくさんあるから、ちょっとぐらいいいんじゃね? 」
きちんとマギ・バンブーにタメージを与えたのに若干攻められるフランメクライゼルであった・・・・・・
本日はこれにて。お読みいただきありがとうございます。




