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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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召喚魔法・鎌鼬

誤字脱字報告ありがとうございます。適宜修正させていただきました。


丑三つ時の投稿・・・


 

「隊長! 大丈夫ですか! 」


慌ててボルドウィンの元へ駆け寄るヴィンデルバンド。倒れそうになっていたボルドウィンの体を下から支えた。しかし、まだまだ子供のヴィンデルバンドの体では鍛えられたボルドウィンの体を支えることはできない。ヴィンデルバンドは、ゆっくりと地面に倒れ込みそうになるボルドウィンをどうにかして地

面に座らせたのであった。


「あ・・・あぁ済まない・・・・・・」

「隊長! いきなり新しい魔法を使うのは無茶です! 早く回復を! スネークちゃんの魔力水晶を使ってください! ポーチに入っているんですよね! 」

「あ・・・・・・ あぁ・・・・・・ そうだな・・・・・・ そうだ・・・・・・」


ボルドウィンはポーチに手を入れ、従魔から受け取った水晶玉をとりだそうとした・・・・・・。だが、ポーチから取り出したものは別のものだった。


「隊長! これは違います! スネークちゃんに作ってもらったヘッドランプです! 」

「あぁ・・・・・・ そうか・・・・・・」

「意識が相当混濁しているようですね! それは地面に置いておいて・・・・・・ 失礼します! 」


ボルドウィンの右手を取ったヴィンデルバンドは、そのままボルドウィンのポーチ

の中にその手を突っ込んでそれらしきものを取り出させる。出てきたのは青く輝く水晶玉。これだ! これに蛇の従魔は風魔法の魔力を込めていた。


「さあ隊長! 手を当てて、魔力を取り込んでください! 」


言われるがまま、水晶玉に手を当てるボルドウィン。目をつむり、息を整える。深呼吸をするたび、少しずつではあるが水晶の輝きが失われていく。


「ふーーーーーー、ヴィン、ありがとう。助かった」

「魔力を吸収したのでお疲れではないですか? 飴をどうぞ」


ヴィンデルバンドは自らのポーチに入っていた飴をとりだした。これは従魔とヴィンデルバンドが共同して作った、なめると体力が回復する飴だ。魔力の過剰放出の状態から一気に自身の持つ魔力の最大値まで魔力を吸収すると、倦怠感に襲われる。それを解消するのがこの飴であった。ボルドウィンは素直に飴

を受け取り、口に入れる。ヴィンデルバンドはついでに自分の腰のポーチから青藍色の水晶玉を取り出して、その中に閉じ込めてある水魔法の魔力を吸収したあと、自身の口にもひとつ、飴を放り込んだ。


「毎度のことながら、スネークちゃんの作るものは常軌を逸してますね」

「同感だな。さて、もう一度、ミィアちゃんを出すか」


まだまだマギ・バンブーは繁茂が衰えない。加勢が欲しい、そう思っていたら、遠くから掛け声が聞こえた。先ほど額金通信で呼んだボルドウィンの部下の一人、ボーデンだった。尋常でない早さでこちらに向かってきた!


「隊長ー! 」


その声に反応したのだろうか? 竹林からの疾風が声の方向に飛んでいく!


「まずい! ボーデン、土魔法で防御しろ! 」


その声が届くよりも先に突風はやってきたボーデンに突き刺さる! 


「笹の葉が・・・・・・風に混じっているの・・・・・・? 」


顔は両腕で防御したものの、体中にできた切り傷から血が吹き出した。ボーデンはよろよろとボルドウィン達のもとにたどり着く。ボルドウィンはポーチの中からクリスタルスネークン、すなわち治癒魔法が使える蛇人形をボーデンに押しつけた。するとスネークンは一瞬光を放つと、すぐにボーデンの傷が塞が

った。


「ボーデン、大丈夫か? 」

「・・・・・・ あ。痛くなくなってる・・・・・・。師匠の魔道具、こんなに効くの? 」

「ああ。だが、傷は塞がっても失った血は戻らないらしい。結構な出血だったが、大丈夫か? 少し動かないでおけ! 」

「ごめんなさい。加勢に来たのに足手まといになっちゃった・・・・・・ 」

「ヴィン、しばらくボーデンのことを頼む。私はミィアちゃんと一緒に出るから、どこか泉蛟から出る場所を作ってくれ。それではミィアちゃん! 」


右手に持つ大剣の宝玉の部分に左手に持つ風魔法の込められた水晶玉から魔力を受け流すボルドウィン。大剣の宝玉の輝きが増したとき、再び魔力でできた小動物が現れた。だが、その小動物は、先ほどボルドウィンが落としたものを凝視していた。


「どうした? ミィアちゃん! いっしょにこの水の蛇の外に出るぞ! 」

「そのヴィーゼル・・・・・・ ミィアちゃんはスネークちゃんが作ったヘッドランプが気になってるようですよ? もしかして、その光玉の魔力が欲しいのでは?」

「何? そうなのか、ミィアちゃん?」


みゃ~~とヘッドランプの周りをうろうろするいたち。ボルドウィンの方をチラチラと見ている。


「なにか口から垂れているものがありますが・・・・・・ 」

「わかった。ミィアちゃん、それは好きにしていいから! 」


ボルドウィンが許可をだすと、鼬はみゃーと鳴いてヘッドランプに頭を突っ込んだ。すると鼬の透き通った体は、これまで光の屈折具合でかろうじて人の目に見えていたのだが、どんどん視認できるようになっていった。


「あれはスネークちゃんの光魔法を込めた水晶玉でしたよね? スネークちゃんの光魔法を取り込んで、実体化したのでしょうか・・・・・・ そんなことがありえるのでしょうか・・・・・・ もはや、これは風魔法の一種と言うより、召喚魔法と呼んだ方がいいのでは・・・・・・ って、隊長! ミィアちゃんをなでている場合ではありませんよ! 」

「おっと、私としたことが! 」

「隊長、ミィアちゃんがスネークちゃんの光魔法を取り込んだのなら、ひょっとしたらミィアちゃんも光魔法が使えるようになったのでは? 少し確認してみてください! 」

「そうだな・・・・・・それでは、ミィアちゃん・・・・・・ ヴィンについた細かい切り傷を治してみてくれるか?」


鼬は、みゃ!っと右手を挙げ、左手にいつの間にか持った薬壺の中に手を突っ込んで、ドロドロになった右手をヴィンデルバンドの傷に塗りたくった。しゅわわわんと塗った液体が発光し、ヴィンデルバンドの傷が癒えていく。


「これはすごいです! スネークちゃんと同等の治癒魔法が使えるならば、ものすごいことですよ! 」

「ああ。だが今は治癒魔法より攻撃魔法だな! ミィアちゃん、鎌鼬になってもらえるか! 」


鼬は、みゃ!と返事してふたたび体が透けていき、両手の爪が鎌になっていった。

「それでは、ヴィン! 頼む! 」

「はい! イズミちゃん、竹林と逆の方向に、隊長達が通れる隙間を空けて! 」


マルス・プミラの大木とエルフ三人を囲っていた泉蛟は、蛇の胴体の一部を広げた。そこからボルドウィンと鎌鼬は出て行った。


本日はこれにて。お読みいただきありがとうございます。

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