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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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風魔法・鎌鼬の武装変換

ご無沙汰です。

花粉症も治まりました^^。もう少し投稿頻度、あがるかな?


 それは、突然起きた。時は昼下がりをうに過ぎ、日差しもだいぶ傾いてきはしたがまだまだ暑く、地上を熱するには十分な頃である。いつもなら日中は、グラニーラムゼースミスの里の、高さは1000mに及ぶかの外壁は日の当たる面が熱せられ、上昇気流を生み出しているのだが…… 


「くっ! 何だこの突風は!? ヴィン! 大丈夫か?」

「はいー! それにしても、急に風向きが変わりましたね? 今の時期の時間帯、あのような 風が吹くとは…… あっまた来ます!」


外壁頂上にわずかに残るマルス・プミラの落ち葉を巻き上げようと、再び突風が吹く。しかし、今度はそれほど強くなかったようで、落ち葉も吹き上がらなかった。


「これは! 風魔法!! 魔力を感じるぞ! ヴィン! 要警戒だ! 」

「了解です! イズミちゃん! 」


名前を呼ばれた水妖の大蛇は、二人と一本の大木の周りをぐるぐるりと回りだした。大木に留まっていた鳥は、異形の蛇に恐れをなしたのか、枝から飛び去っていった。


「ヴィンの水魔法も規模が大きくなってきたな! マルス・プミラ様より大きく太くなっているな! 」

「これも隊長がスネークちゃんを連れてきたおかげですねー! あ! また来ます! イズミちゃん! 世界樹さまと私たちを守って! 」


水でできた大蛇は、胴体を長く細く変えて世界樹の周りにいた二人のエルフごと巻き込んで蜷局とぐろを巻いた。蜷局の内側に入った二人のエルフが蛇の水壁から外を見ると、再びマギ・バンブーが筍の状態からどんどん皮が剥け、あっという間に脱皮して竹へと成長しているのを目撃した。しかも複数!

 

「まずい! せっかく刈り取ったのに! 頂上がまた竹林になってしまう! ミィアちゃん! 頼む!

 

空よ、無限の風を生み出す母よ、汝の子たる者の力を我に貸し給え。汝の子はわが魔力マナを与えさらに力をまさんことを欲す。その名は鎌鼬、そらから生まれ、くうを切り裂くものなり、その名は鎌鼬。


行け! マギ・バンブーを根から刈り取れ! 」


ボルドウィンは背負った大剣を抜き魔力を注ぐ… すると大剣の宝玉が青白く輝き、剣から現れた魔力が小動物を彩っていき、やがて実相をなした。ボルドウィンの風魔法、鎌鼬の完成形である。それにボルドウィンは自分の名前ミアに類してミィアと名付けていた…… その小動物はみぃあ!と天に向かって叫ぶと矢のようにバンブーに向かっていった。まっすぐに向かって進行方向にあるバンブーを刈り取ると、今度は方向転換して別のバンブーを刈ろうとする鎌鼬。しかし、今度は鎌鼬の進路がずれたようだ。目標としたバンブーに鎌は届かなかった。みゃ? と小首を傾げる鎌鼬。


「ミィアちゃん! 横風が吹いていたのか? 」


みゃみゃ!と魔力の送り手に首をくりくり横に振る鎌鼬。


「ふむ・・・・・・ よし、ミィアちゃん! もう一度、マギ・バンブーを刈り取ってきてもらえるか? 」


みゃー! と叫ぶ鎌鼬。だが、込められた魔力が無くなったのか、鎌鼬は、みゃ~~・・・・・・と言って消失していった。


「ヴィン、私はもう一度鎌鼬を使う。ミィアちゃんの軌道を見ていてくれ。あんなに目標から外れるはずはないのだ。ひょっとしたら」

「マギ・バンブーが風魔法を使ってきているかもしれないと? ・・・・・・ いままででそんな魔法は使っていませんでしたが、そんなことがありえるのでしょうか? 」

「わからん・・・・・・ わからんが、グラニーラムゼースミス様の魔力を吸ったのだ。できる、と考えたほうがよい。前例もあるしな」

「前例? 」

「スネークのことだ! あれはもともと土魔法だけしか使えなかったそうだ。それが、アシアティカ様、迷い惑わしの森におられたマルス・プミラ様から魔力をもらって属性魔法が使えるようになったのだと聞いた。この魔植も」

「魔力を吸って風魔法が使えるようになったと? 」


人差し指をこめかみに当てて、考えるヴィンデルバンド。


「どうした? 何か意見があるのか? 」

「えーと。魔力を取り込んだだけで、魔法が使えるようになるものなのでしょうか? 我らエルフ族が魔法を使えるようになるには、親なり師匠なりに教えてもらって、訓練してようやくできるようになるのですが? 」

「そこら辺が人と魔物の違いなのではないか? 」

「そうでしょうか? 魔力をただ持っているだけで魔法が使えるのは精霊だけだと文献で読んだ覚えがあります」

「すると、マギ・バンブーの魔法のせいではないと? 」

「いえ、そうではなくってですね・・・・・・ 」


何か言いたそうなヴィンデルバンドであったが、どんどんマギ・バンブーの数が増えていくのを見て、ボルドウィンは決断する。


「すまない! ヴィンの意見はあとだ! ミィアちゃんを出す! 」

「待ってください! さっきのままでは魔法の無駄打ちになります! 」

「ああ。そこは考えてある! ミィアちゃんの刃は速くて鋭い。しかし一撃の重みが足りない! ならば! 武器を鎌から変えればよい! 


空よ、無限の風を生み出す母よ、汝の子たる者の力を我に貸し給え。汝の子は

わが魔力マナを与えさらに力をまさんことを欲す。その名は槍鼬、空(そ

ら)から生まれ、くうつらぬくものなり、その名は槍鼬。


行け! ミィアちゃん! マギ・バンブーに風穴かざあなを開けてやれ! 」


鎌鼬、改め槍鼬は、小さな両手を頭の上に合わせるとその両手が一本の槍に変わっていった。そして再び天に向かって、みぃあ~と叫ぶと、マギ・バンブーへ槍部分から突進していった。今度は進路が変わることなく、突進した射線にあったマギ・バンブーを倒していった・・・・・・


「風魔法のエア・ドリルと鎌鼬の組み合わせだ。初めてにしてはうまくいったな・・・・・・ 」


何度か方向転換してマギ・バンブーを倒していく。だが、複数の魔法を組み合わせたせいか、ボルドウィンは魔力不足になりめまいを起こすと、槍鼬もみぃあ~と言って消えていった・・・・・・


本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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