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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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疾きこと、竹のごとし

誤字脱字報告ありがとうございます。適宜修正させていただきました。



「素晴らしい手際ですな! いっその事、介護室長が討伐隊を率いた方がよかったのでは? 」


ボルドウィンは手を休めず、介護室長エンゲルの手腕を褒め称える。


「いえいえ、私なんかでは討伐などには向きませんよ? いまは、あの葉っぱが飛んでこないからいいのです」

「隊長。そいう言えば、いつになく、この魔植、おとなしいとは思わない? いつもだったら、すぐ、葉っぱを飛ばしてこっちを攻撃してくるのに」


確かにそうだ…… なにかが違うのだろうか、だが、ここの魔力を吸ったからもう用はないのかもしれないし。それにヴィンデルバンドの毒が聞いているのかもしれない、だが、他に何か意図があるのか? ボルドウィンは考える。



”ボルドウィン殿! 緊急事態だ! ”

”その声は、レイハー殿か! なにがあった! ”

”里の地上部で魔植が増殖してきた! しかも風魔法らしきものを使って旋風を起こし例の葉をとばしている。怪我人も出てしまった。いま、こちらは戦える人間はほぼいない状態だ! どうすればいい? ”

”レイハー殿はハート殿と連絡は取れたか? ”

”いや、まるでだめだ! ”

”そうか…… 非戦闘員や怪我人は一旦里の外で待機しておいてくれ。南砦のところがいいだろう”



「ボルドウィンさん…… なにかありましたか? 」

「地上部でマギ・バンブーが生えてきたそうです。怪我人も出ているので皆には一旦里の外に出るように指示しました」

「どうしましょう? ここは引き払いますか? 」

「・・・・・・・・・ ボーデン」

「何か任務? 」

「里長と介護室長を里の外まで護衛してくれ。戦えそうな者がいたらそれらを率いてマギ・バンブーと戦ってくること。どうやら、彼奴は風魔法を使えるようになったようだ。しかも風魔法の中に笹の葉ナイフを混ぜてきている。危ない時には、土魔法で防御するんだ。どれだけ使えるようになった? 」

「・・・・・・ 葉っぱくらいならブーツからの土壁で大丈夫、だと思う」

「と、いうわけで介護室長殿、せっかくこちらに来ていただいたのに、恐縮なのですが。地上部には怪我人もいることですし。里長はボーデンに背負ってもらいます。あなたはそのあとについていってください」

「ボルドウィンさん? 」

「なんでしょうか? 」

「私のことはエンゲルとよんでくださいね? 姓で呼ぶと里長と同じで紛らわしいでしょうから」

「それでは私のことも、ミアと呼んでいただければ」

「わかりました。それではミアさんの指示に従っていきます。えーと、ボーデンさんのお名前は…… 」

「リージーです。リージー・ボーデン」

「それではあなたのことはリージーさんで。よろしくお願いしますね」

「はっはい、はい、よろしくお願いしまます! 」

「ボーデン、戦いのときはリラックスだ。緊張してもいいことはないぞ。当面は怪我人を里の外へ運ぶことだ。エンゲル殿の指示に従ってくれ」

「任務が終わったらどうすれば? 」

「・・・・・・待機だ。次の指示を待ってくれ」

「わかった」

「それじゃ、リージーさん。私はあなたより足が遅いので、悪いんだけど、里長を運んでもらってもいいかしら? 」

「そっちの方が早そうですですので。あああとはわたくしに付いて来てももらえば、幸いですです 」

「それでは、エンゲル殿、下のことは頼みました。ボーデン、あとはよろしく」

「わかりました」

「それではでは、エンゲル様、わたくしの後に付いて来てください! 大地疾走ランドクルーズ! 」



おいおい、その走りには誰もついていけないぞ? そうボルドウィンは思ったが、来た時の速さよりは数段速度が落ちている。やはり荷物(里長)を抱えて走るのは大変なのだろうか?



「さて、竹の侵食とボーデン達の撤退とはどちらがはやいのだろうな…… 撤退するのに間に合ってくれればいいが……」


お読みいただきありがとうございます。

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