援軍の上級兵の実力
久しぶりの一日二話投稿・・・
ボーデン兵長が壁面を登っては竹を切ること三度。地上に降りたったボーデン兵長はヴィンデルバンド衛生兵に問いかける。
「うーん、このままでは全然討伐にならないね。刈るスピードより生えてくるスピードの方が早いみたい。ヴィンデルバンド君、なにかいい案はない? 」
「いまはどうしようもないです! とにかく少しでもマギ・バンブーを伐採しておかないと・・・・・・ 」
再び生い茂った笹の葉を地上へと投げ下ろすマギ・バンブーであったが、ヴィンデルバンドの水魔法・泉蛟の柔らかな防御によって無効化されてしまう。今はまだ防御できているが,このままマギ・バンブーのエリアが広がっていけば泉蛟だけでは防御できなくなってしまう。内心で焦るものの
「嬢ちゃん、あんた達すげーな! 前回のとき,いたっけ? 」
「ほんまやな! 今回が初めてとちゃううん? そうやなかったら前回で討伐できてたんとちゃううんか? 」
「オレ、こっちの水蛇は前にも助けてもらったから覚えてるぞ! 」
「へーそうなんだー! んで、こっちの嬢ちゃんは? 」
「あ・あ・あ・・・ぼ、僕も前回いたんだけど・・・・・・ 前来たときは・・・・・・ こんなふうには・・・・・・」
あれれ? ボーデンさんは緊張してるんですかね? 里のエルフ達に囲まれ出して緊張しまくっている兵長を見て,ヴィンデルバンドはどうしたものかと考える。ボーデンがきて竹を刈ったと言ってもまだまだたったの3本だけなのだ。こんなところで喜んでいるようではバンブーの討伐などできない。もっと戦力が必要、そう考えていると
「おーい! 衛生ちゃんはいるかー? 」
能天気な声が聞こえてきた。
「まったく、リーちゃんたら私たちのことも考えてよ! いきなり走り出して! 」
「ごめんごめん! 緊急連絡が入ったので! それより二人とも、里の中にバンブーが入ってきているよ! 隊長は東側砦経由で里に入るそうなので,あと30分ぐらいこれないらしい」
「あの人方向音痴だから,道案内がないとどこにいくかわからないからね」
「例のブーツでうえから飛んでくりゃいいのにさー,何でわざわざ地上から来るんだろう? 」
「それは里長さんが許可しなかったからですよ。お二人とも、マギ・バンブーの幹を切ることはできますか? 」
「切るのは無理だが・・・・・・ 何発か殴りつけりゃへし折ることはできるぞ! 」
「馬鹿ね! どうやってあんな高いところまで・・・・・・ いい案があるんだけど? 聞く? 」
「いんや、聞かねぇ! あそこまで行かなくっても! 」
やってきた二人の援軍のやりとりを,里長は何か言いたそうにしていたが、その勢いに飲まれて何も言えなかった。
「ちょっとヒーちゃん、何する気? 」
二人の援軍のうち、ヒーちゃんと呼ばれた方が腰につけていたポーチからキラキラした石を取り出すと,一番近くに生えていたバンブーに、とう!といって投げつけた! 投げられた石はバンブーの幹に当たり,ミシッという音とともに折れてしまった。
「あー、もったいない! たくさんあるとはいえ、魔力を出し入れできるクリスタルでしょう! 壊れちゃってるじゃない! 」
折れたバンブーの真下にはなるほど先ほど投げられた石が,砕けて落ちていた。
「フランメクライゼルさん、今度は独楽に魔力を込めて投げてみてください! そうすればマギ・バンブーの防御魔力に負けないと思います! 」
「なるほど! さすがは衛生ちゃん! それじゃ、やるぜ!
熱よ、熱よ、我が祈りを聞き、願いを叶え給え。願いを叶えた暁には我が魔力を我が願い満たすだけ受け取り給え。熱よ、熱よ、我が持つ独楽に宿りて、熱くなれ! 炎の独楽! 」
呪言を唱えたフランメクライゼルの左手には再び水晶でできた石・・・独楽が握られていて,それが赤く輝きだしたかと思われた次の瞬間炎が立ち上った!
「よっしゃ! うまくいったな! それじゃまた、おりゃ-----! 」
再び投げられた独楽がマギ・バンブーの一つの幹にあたり、今度は壊れることなくバンブーをへし折った。白い蒸気をあげているものの燃えていないところを見ると,マギ・バンブーは相当の水分を持っているようだった。
「ま、へし折ることができることがわかっただけでもいいか! それじゃ、どんどんいこうぜ! 」
10分ほど独楽を投げ続けたフランメクライゼルだったが,急に動かなくなった・・・・・・
「ちょっとヒーちゃん? もう魔力切れ? まだ20本くらいしか、バンブーを折ってませんよ? 」
「うるせー! お前もやってみろ! すぐ魔力切れになるわ! 」
フランメクライゼルはポーチから先ほどまで取り出していた石とは違う,大きく赤く輝くクリスタル球を取り出す。
「・・・・・・ すーーーー、はーーーーっ。しっかし、いくら魔力の蓄えがあるとはいえ、これはきつい・・・・・・」
「ああ、飴食べてください」
ヴィンデルバンド衛生兵は懐のポーチから飴を取り出した。
「ああ、スネーク作成の体力飴な・・・・・・」
フランメクライゼルは飴を受け取ると口の中に放り込んだ。
「そういえば、トレーネさんが先ほど言っていたいい案というのは? 」
やってきたもう一人の援軍のトレーネに,ヴィンデルバンドは問いただす。
「にゃめろにゃめろ、ほうせろふなもんひゃねー! 」
「ちょ、何言ってるかわかりません!」
「ヒーちゃんが飴なめて体力回復したらやってみますか! 」
「ガリガリガリガリ・・・・・・ ほら見ろ! 碌なもんじゃねーーーーー! 」
「まだなにもやってないでしょ! ほら、剣を持って! そして、剣に魔力を込めて! 込めたわね? それじゃ! ロングテイル! 」
トレーネは懐のポーチから鞭を取り出し装備する。左手には長さ20mはあろうかという鞭、右手には9本に分かれた鞭だ。そのうち左手の方の鞭、ロングテールに魔力を込める。
「フランメクライゼルに巻き付きなさい! 」
「あーーーーーーーー! やっぱり碌なもんじゃねーーーーーーー!!」
「いくわよ!これがホントの炎の独楽!おほほほほほほほほほ! 」
フランメクライゼルに巻き付いた鞭を引き絞ってマギ・バンブーの方に投げつけるトレーネ。高速回転しながら剣を離さなかったフランメクライゼルは先ほどクリスタルのコマを投げた時と同数のマギ・バンブーを刈り取ることができたのだった・・・・・・が、そのあとフランメクライゼルがめまいを起こしたためこの融合技は使えなくなったのであった・・・・・・
本日はこれにて。
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