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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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里防衛だよ! 全員集合!

誤字脱字報告ありがとうございます。

適宜修正させていただきました。これまでのところにも読み返すと相当修正箇所があります。地道に直してる><


「お前たち! 里長であるワシの命令が聞けんというのか! 」

「戦闘に関してはあなたは素人なんですから黙ってた方がいいわよ? ついでにいうと介護室長の判断としては、このまますぐに魔植に突っ込んでも怪我人が出るだけで、あとから来た人たちの邪魔になるからやめた方がいいわね」

「しかし、待っている間にもあれはどんどんえてくるぞ! マルス・プミラ様にもしものことがあってみろ!」

「でしたら、うちの隊長たちを呼べばすぐにやってきますよ? 」

「部外者を里の中に入れられるか! というか、小童こわっぱ、お前どうして中に入っているのだ! 里令を知らんのか! 」

「あー、私の名前はヴィンデルバンドといいます…… えー、里令は知ってますが、王令によって立ち入らせていただきました」

「あなた、ヴィンデルバンドちゃんは援軍の衛生兵をされているのよ? 王令には、衛生兵の活動行為は王命・上官命を除き何人なにびとも妨げられない、って書いてあるの、わかってるでしょ? あなたが助かったのだってヴィンデルバンドさんが入ってきてくれたおかげじゃない。恥ずかしいとは思わないの? 」


ぐぬぬぅと唸る里長をよそに、エンゲルは小さな衛生兵に語り掛ける。


「ヴィンデルバンドちゃん、里の中に魔植が入ってきたの。このままじゃまた怪我人がでるから、こっちのお人形、貸してもらえる?」

「ええ、私のは今日はまだ何回かしか使ってないですから。でもそれ1体だと不安なのでスネークちゃん…… 隊長の従魔をここに呼べば問題は解決すると思うのです。というか、緊急事態令を出せば、私たち援軍って里に入れるんじゃありませんでしたっけ? 前回と違って人数は減りましたけど、その分我々も動きやすくなって魔植の討伐がしやすくやると思うのですが? それ以外に里が助かる手段はあり得ないと進言します」

「我が里軍を侮辱するか!? 」

「いえいえ…… このまま里軍だけでやると、たくさん怪我人が出るはずです・・・・・・この像・・・・・・スネークンというのですが、これはあと4体ありまして、使える回数が丸々残っていたとしても500回です。怪我人を延べ500人治したら今日は終わりですが…… 」

「この人みたいにバカな突撃したりしたら、すぐに使えなくなりそうね? 」

「まあ、使用回数が過ぎてもスネークちゃんが治してくれるので問題はないのですが…… それにしてもスネークちゃんをも中に入れないとなると、いちいち怪我人を里の外へ出さないといけません。それは効率的とは言えません」

「ヴィンデルバンドちゃんの言うとおりね! 」

「それに・・・・・・ 」

「まだ何かあるのか! 」

「ええ、こんなに悠長にしてていいのかなと? さっきからマギ・バンブーがどんどん生えてきているのですが……」


里長はヴィンデルバンド衛生兵が見上げていた場所を振り返る。すると、先ほど撤退した場所はすでに魔植に覆われていた。あろうことか、魔植は下には伸びてこず、上へ上へと新たなる新芽を発生させていた。マルス・プミラは里を覆っている壁面の上層部に靖んじている。その方向へ、植物としてはありえない速さで侵略をしているのだ。


「あなた! ご決断を!」

「里長! ご決断を!」

「えぇーい、うるさい! まずは里の者で対応する! そら、向こうからこちらに来た者たちがいるではないか! 」


そう言って、里長は今いる集団の後ろからやってくる人々を指差した。


「あれ? お母さんたちですね。あとは午前中まで介護室にいた人たちだわ……」


確かに向こうには今まで怪我で戦線離脱していてひょろひょろになってしまった防衛隊の面子のほかに、砦まで通信部隊を守るための老婆たちが確認された。


「母上! 何をしに来たのですか! 危ないから部屋の中に入っていてください!」

「何を言うとるか、このバカ息子! マギ・バンブーを討伐するのにやってきた援軍をなぜ中に入れん? 」

「援軍には外に生えている魔植を討伐してもらえばいいではないですか! 里のことは里の者で解決する! 」

「そんなこと言って解決できなかったから援軍を呼んだんじゃろて…… はぁ、意地張っとらんではよボルドウィンさんを呼びなさい。大体、その像もボルドウィンさんが貸してくれたんだぞ? それのおかげで里の者の怪我が治ったんだし」

「あら、そうなんですね。あなた、ボルドウィンさんのおかげで怪我が治ってよかったですねーーー」

「いい加減、俺らだけじゃ討伐なんてできないことを認めなきゃダメですぜ、里長! 」

「里長! はよ決断しないと、どんどん魔植が広がっているぞ! 」

「里長! なんのために援軍呼んだんだよ! 」


里長は里の皆から突き上げられる・・・・・・ そこに小さな衛生兵から救いの一言が。


「うちの隊長も早く魔植を討伐したがってるんですよ。だから、里長さんが許可さえ出していただければ、もうあっという間にやってくれるはずですよ(にこっ)。おまけに、討伐したら、持ってきた食糧はみんなで食べることになります(にこにこっ)。そう言えば、隊長、お酒もたくさん持ってきてましたねぇ、祝勝会に使うおつもりかもしれません(にこにこにこっ)」

「そ、そんなに簡単にいくものか! 我らだって数か月経っても討伐できなかったんだぞ? 」

「息子よ…… お前ボルドウィンさんに会ってなかろう? あの子は数か月前とはまたひときわ違っておったぞ。鍛錬に鍛練を重ねたんじゃろう・・・・・・ おまけに連れてきた従魔の蛇ちゃんがまたすごいんじゃ! あれなら魔植などすぐにでも討伐してくれるわ! あたしゃ祝勝会が楽しみでね! どんな料理をあの蛇ちゃんが出してくれるかと思うと、よだれが止まらんわい! 」

「ふぉっふぉっふぉ、イルゼさんや、ほんとによだれを垂らしてどうするね! そういうわけで、里長さんよ、ばばあ一同はボルドウィンさん一行を里の中に入れることに賛成じゃよ? 」

「子持ちレディスも同意見! あの人たち、赤ちゃんたちのことも考えてくれてるわ! 」

「あとは里長さんのご決断だけですね」

「えーい、わかったわい! なんかあったら責任取れよな! 」

「責任取るのは里長の仕事じゃろうが! このバカ息子! 」


そういうわけで、里内にボルドウィン小隊を呼ぶことに決定した里長であった。


本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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