我、ゴブリンと遭遇す
おお、異世界に来た感がありますなぁ!これがゴブリンかぁ。でも、なんか変じゃね?ぐったりしてる感じだ。気配察知に引っかかるということは生きてるということだが・・・なんか死にそうな感じだ。我、にょろにょろ接近す・・・武器もないし、一人(一匹?)で何してるんだ?
ゴブリン、我に気づいた!我、ゴブリンに気づかれた!
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“ぉぉぉ・・・ょぅゃっと・・・ぉむかえ・・・来てくれたゕ・・・ゎしのおむゕぇは・・・蛇様じゃったか・・・”
おや、このゴブさん喋れますな。
“そりゃ・・・しゃべれますともさ・・・わし・・・村でぃちばんながくい・・きたから・・”
話をしてみると、ゴブリン爺さんの村はちょっと先の崖(我が黒い帯に見えたところですな)にあり、そこで食糧危機が起きたそうな。ゴブリン村の意見では、森の中で食糧を探そうという意見と、イチかバチか人間の村を襲ってみようという意見に分かれたそうだ。ゴブリン爺さんは森で食糧を探してるうちに、体力の限界!もうここで死んでもいいかと思っていたそうだ・・・食糧問題か・・・どこの世界も厳しいね。しかしこの世界のゴブリンはおとなしいね。人間を襲っても返り討ちにされるほど弱いらしい。ゴブ村の人口(ゴブ口?)は人間の村の半分以下よりもっと少ない・・・そんなわけでゴブリン爺さんが戻らないともう人間の村を襲うしかない計画になってるとのこと。そんな迷惑な話があったのか。我ら、その村に用があるんで厄介ごとはごめんだなぁ。こういう時は得意の緑魔法だ。おっとその前に、さっき食べた桃の種をここで植えましょう。その前にゴブリン爺さんに光魔法Lv.1で疲れをとっておき、水魔法Lv.1で無理やり水を飲ませた。
“爺さん、ちょっと待ってな!”
便意はあまりないけれど、無理やり息んで体内の種を排出・・・見事なお花が咲きました!これを土魔法Lv.1で埋めて、緑魔法Lv.1で発芽させ、水魔法Lv.1をぶっかけ、準備OK。
遠からんものは音に聞け、近くばよって目にも見よ。天にも届け我が奇跡。
”養分吸収“
そして
”成長促進“
ソイヤッーーーーーーーーーー!
我の食べた桃の種、見事に成長し桃の木が3本重なりあって大きく高く聳え立った。そしてその枝にはたわわに実った桃の実が鈴なりに成っていた。我、ジャンプしてゴブリン爺さんに一つ桃の実をくわえてもいで来る。
“そら、爺さん。これ食ってみ?”
爺さん無言でしゃぶりだす。あ、歯がないのかな?我の光魔法Lv.6を試してみるか・・・
“光魔法Lv.6 格の癒し”
ゴブリン爺さんに向けてはなった魔法で、爺さんが一瞬光った後、なんかシャキーンとなった。
“あああ、歯が・・・歯が生えてる。蛇様・・・これは一体?”
“我の魔法だ、気にすんな!それより桃はどう?”
“あああ、とてもうんまいです。のどの渇きが収まります。収まりますが・・・”
“うん、そうやろね。飢えを満たすには足らんやろね。それについては考えがある。みんなをここに連れてこい。我が、栗と柿を植えておくから。あとはそれを栽培して木を増やせ。そしたら飢饉も収まるハズ。だから人間には手出しするな!”
“はーーーーーーーーーーー、畏まりましてございます、蛇神様”
あ、我、神じゃないんで、ただのヘビなんでそこんとこよろしく。そんじゃ、ゴブ村への連絡、頼んだよ。我いったん離れるから!
我、びょーーーんと飛んで簡易ハウスの位置を見つけ、次のジャンプで飛び去った。
簡易ハウスに戻ってみたら、ボルちゃんまだ寝てた。我、もう一度赤魔法Lv.1“入眠”をかけておく・・・これでまたしばらくは起きないだろう。我、赤い実の入った我用の背負子を背負い、ボルちゃんの背負子の中にある栗と柿をひとつづつ口に含んで、再び外へ・・・
ジャーーーーーーーンプ!
まだゴブリン爺さんがいた。めんどくさいから、ゴブジでいいや^^。ゴブジはご無事だった(プッ)。
我、柿と栗を緑魔法で植樹し、大きくする。これもたわわに実りましたな。柿の木と栗の木が1本、桃の木3本だと心もとないので、成った実をすべて落とし、全部に再び緑魔法をかける。これでしばらく大丈夫?あ、栗をもっと増やしておいた方がいいかな?もう一度、今度は栗だけ実らせてその実を落とし、三度の緑魔法・・・こうして栗林ができあがった。ゴブジは口をあんぐり・・・
“ゴブジ、これ実だけ食え。種は残してね”
赤い実をゴブジの口に突っ込みます。目を白黒させながらもぐもぐ食べてました・・・
“どうだ、ゴブジ。これ美味しいだろ?”
ゴブジ、涙を流して呆けてます・・・
“なんちゅう、なんちゅうもんを食わせてくれたんや・・・”
“パパラパッパパパパパ~ン”
“ゴブリンが眷属になりましたことをお知らせします”
さっきまで死にかけていたゴブジ、急に元気が出ている・・・そんな効果、赤い実にあったっけ?食べるとIPが増えるだけなんじゃないの?
“このゴブジ、命を救われたばかりか名前で頂けるとは!蛇神様の命をその名に刻みましたぞ!我らゴブリン一族。この地を身命をかけて守って見せましょう!”
声に張りがありますな!なんか若返った感じがしますな!我、ゴブジを連れて林の真ん中付近に来る。ここに神樹さまの苗木を植えましょう。ゴブジから赤い実の芯の部分を受け取って、いつもの手順・土魔法Lv.1、Lv.2緑魔法Lv.1、Lv.2光魔法Lv.1水魔法Lv.1。苗木が出たところで、緑魔法Lv.3、Lv.4。ゴブジ、また口をあんぐり開けてます。
“ゴブジ。これがさっき食べた赤い実の苗木ね。これは世界樹だから、絶対守ってくれ”
“わかりましたぞ、蛇神様。我らの中に結界魔法が使えるものがおります。そやつに結界を張らせましょう!”
“それじゃあ、人間の村に行こうとしてるやつを止めてきて、こちらに誘導してくれ。ここに住んでも構わないぞ”
“ははーーーーーーーーーーーーーーーっ!我らゴブリンにここまでしていただけるとは、ありがたき幸せ!蛇神様に絶対の忠誠を誓います!”
“あー、我、神様じゃないから”
“ではなんと?”
“うん、神樹さまのお使い蛇だな。さっきの苗木は神樹さまの次代の苗だから、それは何としても守ってね”
“かしこまりました。お使い蛇様”
こうして、我は一つしか持ってこなかった赤い実をゴブリンのためにつかってしまったのだった。ま、いいか・・・あいつらが増やしてくれたらこっちも助かる。




