リーズィッヒ・コーイ再び
誤字脱字報告ありがとうございます。
適宜修正させていただきました。
それにしても・・・自分で気づかないもんかなぁ?
私は南側砦に置いていた、スネークに付与魔法で内容量の拡張されたリュックを取りに行った。ついでに1階に置いてあったバンブーを切って器をいくつか作ってリュックの中に入れて、外で待たせていた守備隊員たちのところに戻った。
「そらジャン殿。ご所望の水だ。たんと飲め」
「たんと飲めって…… バンブーじゃないっすか! 」
「あわてるな、これから水を注ぐんだから。他の皆もここで水を飲んでおいてくれ」
竹の器を皆に渡して、リュックの中に入っていた水袋を取り出し、皆に水を進める。
「なんだかうまいな」
「これ、普通の水じゃねーな」
皆にはスネークが出した水だということは黙っておこう。皆はまだ魔力を使ってないし、この水を飲んだら魔力が回復するのだが、ま、気づかれないだろう。
「水を飲んだら、この飴をなめながら進んでくれ。疲れをいやす効果がある」
これまたスネーク作りの体力飴だ。
「ハー、疲れたときに甘いもの食べると元気が出ますねぇ! 」
「あれくらいで疲れて、どーするか! 」
「えー! だって僕、皆さんみたいに毎日トレーニングしてないし、疲れるのは当然です! 」
トレーニングしていない坊やは飴をなめて体力回復したようだが、他の面子は気が付かないようだな。と、いうことは彼らは全然疲れてないことになるな。ま、この程度で疲れてもらっては困るが。
「それではこれから東側砦までの間道を通ることにする。隊列は先ほどと同じだな。私はバンブーを見つけ次第刈り取っていくから、皆は私にかまわず先へ進んでくれ」
「そんなこといったって、隊長さん、結構な方向音痴だと聞きましたよ? 隊を二手に分けて、坊やとハーレを先に行かせたほうがいいんじゃないですかね」
結局その策を採用し、バンブーを見かけたらシュバンツ、オーア、ハーレ、坊やを先に進ませ、私が刈り取りをしている最中にナーゼ、ハント、ゲズィヒトを待たせるということにしたのだった。南側砦からの道は最初急な下り坂、その脇にわずかに平地があったが、そこにもバンブーが繁茂していたので私が鎌鼬(ウィップスの方)で切り取り、素材は…… 幹の部分を少しだけ採取だな。器に使えるだろう。
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低平地を抜けるとまたすぐに急な坂道になった。もう道と行っても獣道のようになっている。しばらく使われていなかったようでバンブーではない植物が生えているな。木では根が張れないのだろう。ま、多少は視界が開けてきたかもしれない。
「前方に感あり! 大きな気配があるぞ! 皆、武器を持て!」
「ぼ、僕、武器持ってないんですが!」
私はスネークに作ってもらった石の短剣を坊やに渡す。
「最低限、自分の身は自分で守れるように。これを使え」
「心もとない……」
「それじゃ無手でいいか、坊や! 強気だな、ははっ! 」
「ジャン殿はハーレ殿の後ろにいてくれ! おっ? 気配が消えた……? 」
「どういうことだ? つーか、隊長さんは気配察知も使えるのな! 」
「風魔法使いならそれくらいはやれるだろう? 」
気配察知の使えるオーア殿以外、互いの顔を見て首を振っている守備隊の面々・・・・・・ あれ? 私は何かおかしなことを言ったか? 疑問に思っていたら
「再び感! 上からだ!!!! かたまっていると危ない! 散れ! 」
見上げると、角の生えたコーイが上から落ちて…… 落ちて? 降りてきた! まずい! エア・ウォール!!! 顔から突っ込んできたコーイの軌道が逸れた!
「ドラゴンだ!!!!!!!!!!! なんでこんなところに! 」
急降下して獲物を捕らえそこなったコーイはどこかへ飛び去ったかと思ったが、再び上空に登ったようだ。
「あれはドラゴンじゃない! リーズィッヒ・コーイだ! スネークが一昨日遭遇したそうだ! 」
「空飛ぶコーイなんかおりゃしないですぜ! あれはドラゴンですって! ちらっとしか見えてないが首のところに玉があった!」
「コーイがでかくなって成長したらリーズィッヒ・コーイになるんだ! おっと、また来るぞ! 攻撃手段のある者は攻撃だ! 」
再び、上から急降下してくるリーズィッヒ・コーイ。スネークの描いた絵は…… 顔以外正しかったな。それにしてもあの絵は……フフッ。
本日はこれにて。
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