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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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会議は進む、踊らないから


 そもそも、この竹の魔物はなぜここに生えたのだろうか? 我はデス・ファンガスとの類推から、ここのマルス・プミラの魔力を奪いに来たのだと思ったのだけど、それは早合点だったかもしれない。大体、里の中には入って来てはいないだろ?


「入ってこないという保証もない以上最悪を想定するべきだな」


「ですが、里の周囲はマゼンタ・フロスで囲まれています。中には入ってこれないと思いますが……」


マゼンタ・フロスの水深はどのくらい?


「時期にもよりますが、今年は雨が多く2mはあるかと……」


川底の下から根を広げるには十分な浅さだな。しかし、まだ里の内部には入っていないということか。里の広さってどのくらいよ?


「そうですね、大体端から端まで4km四方といったところでしょうか? 」


文字通り1里なんだな。うーん、そうすると半径2㎞の円の周辺部分がすべて竹で覆われているのか…… どのくらいの面積があるんだろうかね? やはり敵情視察をしないといけないようだな……


「敵情視察といってもどうするのですか? 」


ボルちゃんの風魔法か、我の風魔法で上空に飛んで、そこから地上を見下ろすのだ!


「済まんがスネーク、私はもう魔力が枯渇寸前だ。一旦仮眠をとらせてほしい」


そうですか。それでは我が飛んでみてくるかな。それは話し合いが終わった後にするとして、まだまだ気になることはある。


「うかがいましょう」


さっき、広場の西側でどんどんタケノコが生えてきたのだが


「タケノコとは何でしょう? 」


タケノコとは、バンブー、すなわち竹の芽のことです。地下茎から生えた芽はすぐに大きくなり竹になるのです。地上に出る前に収穫すれば立派な食べ物になります、じゅるり!


「なるほど、バンブーの若木のことを言うのですな! 」


だからー、木じゃないって。どうにか収穫したいもんだが……


「それは無理ですね。竹を刈り取ろうとするだけで笹の葉が飛んできますから」


土魔法の地形操作を使えばどうにかなりそうなもんだが…… それとな? ボルちゃん達が広場の東側の竹を刈ってた時間帯に西側の竹が異常に早く伸びていたのだが…… 我が水魔法で出した水をこぼした時にもっとその成長が早くなったことがあったのジャ。あの竹って、やはり魔力狙いなのかも知らんね。エルフの人たちは魔力を吸われたりした感覚はなかったのかな?


「我らが討伐に使ってきたのは大体風魔法だからなぁ………水魔法ならその魔力を根から吸収するとはおもうが、風魔法だとどうだろう? 」


他のエルフの人たちもそんな感じはしなかったと言ってたな。マギ・バンブーが魔力吸収タイプだとしたらデス・バンブーと名前を変えた方がいいかもしれない。マルス・プミラの魔力を吸いつくしたら…… どうなるんだ? デス・ファンガスの場合は胞子を飛ばしてどこかへ飛んでいくらしいのだが。竹だからなぁ。花を咲かせて実をつけて、種を誰かに運ばせるのかしら。はっ! 鳥とか鼠とかが配下だったら、そいつらに運ばせることもできるな! つーか、あの石臼? 石鉢のゴーレムも竹のしもべかいな? 


3つの僕に命令だ! やー!

カイチョ―つばめ~空を飛べ―♪ 

火だるま鼠は地に潜れ! 

石鉢変身! 手を生やせ~♪




「スネーク」


あ、はい、ご機嫌やめますね。えーと、ボルちゃん達が東側で飼っているとき、西側の方での竹のはえるスピードが速くなったという話なのだが、西の竹と東の竹はひとつと考えるべきだろうな。


「すると、一つの魔植が里をぐるりと覆っていると? 」


うん。東でボルちゃん達が刈っているところは手強いとみて反対側を侵食した来たと見えているんだけど?


「スネークの見立てが正しいとすると、マギ・バンブーは高い知能を持っているかもしれないな。それで、この後はどうする? 」


そうだなぁ…… 一応現状視察して、そのあと実験をしてみる。


「実験? 」


うん、いくら何でもぐるりと里を囲っているバンブーを一度に討伐できるとは思ってないよ。地下茎を分断して、バンブーの意識はどうなるのかを知っておかないと。もし両方に意識が残るなら厄介だけど……


「そうでないなら、少しずつバンブーを分断していけばいいわけですな」


その間、地上部はきっちり刈り取りしていかないといけませんな。


「それではそういうことで。私は3時間ほど仮眠させてもらう…… スネーク、例のやつ頼む」


赤魔法の睡眠な。ボルちゃんの額金は、置いといてや。


「ああ、そうだな…… それでは次はフランメがつけるか? 」


「おう、いいぜ! と言っても、特にできることはなさそうだけどさ」


ま、しばらくは食事の配膳だろうからな。




 ボルちゃんを建物の3階に作った仮眠室に案内して、赤魔法Lv.入眠スリープをかけた。3時間後にはすっきり目覚めなはれや。




本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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