隙間時間で竹林伐採
「どうも空いた時間があると訓練に使ってしまうのですよ。貧乏性というやつですかな」
「ハハハ、それなら私も同じことです。それでは軽く行きますか?」
ちょっとこいつ等、コンビニに行く感じでどこへ行くっていうのか?
「ゲルダ婆様は今動けるかい? 」
「あほたれ! 飯食ってすぐ動けるわけがなかろう! 」
「レオンはいくつになってもやんちゃ坊主だねぇ! へっへっへ! 」
「イルゼさんや。85にもなってやんちゃ坊主はなかろうが。ふぉふぉふぉ! 」
「うーん、結界魔法が使えないとなると、あの笹が飛んで来たら怪我するな。ボルドウィン殿、屋上で木剣を使って模擬戦でもやりますか? 」
「風魔法で結界を張るのならスネークに頼めばやってくれますよ」
あ、ばらしやがった!
「そうかそうか、スネーク殿は風魔法が使えるのだな! なら話は早い! ボルドウィン殿は風魔法使いだから鎌鼬や空気壁も使えよう。スネーク殿には私に付いて来てもらってあの魔植物をどちらが多く刈り取るか競争しませんか? 」
「いいでしょう。やりましょう。バウアー、皆が起きたら朝食を食べさせてやってくれ。ヴィンは寝たばかりだからな。しばらく休ませておかないといけない。2時間はかからないと思うので、それまでここを頼む」
「わっかりましたー! おまかせあれー↑ですーーー! 」
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
砦の外に出た脳筋隊長二人(ボルちゃんとハート様)と蛇一匹(我)。ボルちゃんがハート様に一振りの剣をポーチから取り出して渡した。
「ハート殿、先ほどの剣の代わりと言ってはなんですが、こちらを差し上げます」
いつぞや「ワンちゃんの落とし物」で購入した剣のうちの一本ですな。我が祝福魔法で「頑強さと鋭利さを10倍増し」にしといたから、結構な切れ味になってると思うねん。で、だ! どうせ竹を刈るんなら刈ったものをどこかで保存しておけば、素材を使うことができるだろ? 竹林の再生産速度がどのくらいか知らんが、刈っても刈っても生えるんなら、刈り放題になるんじゃねー? 放題っていい言葉やね! 食べ放題、飲み放題、刈り放題!
「それはそうだが…… 素材を保管する場所は砦の一階か屋上くらいしかないぞ? 」
「ハート殿。スネークに任せておけばいい。やってくれ! 」
そんじゃ、やります! まずは土魔法Lv.30地形操作! 砦の目の前の斜面を平らにしてくれ! ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………… 斜面の一部が平らになりました…… だけどまだ竹が生えてます。我、風魔法Lv.10極大鎌鼬を放ち、さくっと切り落としまして、回収回収! そのあとは
”構造物生成! 床は分厚い石畳。あとは5階建ての倉庫を作って!”
ガガガガガガガガ………… 南砦よりも大きな建物ができた! これで中に長めの素材を置いとけるで! おい、どうしたお二人さん! 口があんぐり開いとるがな!
「あ、相変わらずデタラメな魔法だな…… 」
「こ、これがスネーク殿の土魔法か…… 規格外だな! 」
そらそらお二人さん。竹刈り競争するんなら、はよしーや。いろいろ考えるとあと1時間ぐらいしか余裕はないぞ! 我はハート様と一緒に刈るということでいいのか?
「待て、それは困る! 今みたいに一瞬で刈られるようでは勝負は目に見えているではないか? 」
でも、ボルちゃんだってボル・イタチを使うからずるくないか?
「だから、ミィアちゃんだと! 」
「ボルドウィン殿、ボル・イタチとかミィアちゃんというのは? 」
「ああ、私も風魔法鎌鼬の究極形態が使えるようになりました! 」
「鎌鼬の究極形態…… 確かボルドウィン殿の兄上が数年前に使い手になったとか…… 一家で鎌鼬の奥義を窮めるとは…… いや、さすがにボルドウィン家。王家の藩屏というのは伊達ではありませんな。しかしそれはなしにしましょう。私もスネーク殿には笹の攻撃を防いでもらうだけにしますので」
「わかりました。それでは究極奥義の方は使わないでおきます。それでは今から1時間後、私が持っている1時間砂時計の砂が落ち切ったときをもって終了とさせていただきます。本数は…… 数えるのが面倒なので刈り取り面積の広いほうが勝ちということで」
「わかりました。ボルドウィン殿は川上側を、我らは川下側に行きますので。それでは合図を」
「よーーーーい、始め! 」
脳筋隊長二人による竹刈り競争はボルちゃんの圧勝で終わった…… なぜかって、ボルちゃんには究極形態の鎌鼬を使わなくても、ウィップスによる鎌鼬が使えたからである。それに蒼天の切れ味が加わりあっという間に周囲の竹を刈り取っていった。マギ・バンブーも笹攻撃を出す暇もなかったようです。一方のハート様は1本1本竹を切っていったので笹の葉がビュンビュン飛んできます…… そのたびごとに我エア・ウォールで防御せんといかんのや! 我の気疲れや如何に……
本日はこれにて。
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