ツチノコVSタケノコ おいしいのは、どっち?
1時間ほど前に確かに刈り取った竹林が、密度は薄くなったもののすっかり再生しておりました。ボルちゃんよ、これってまずい状況じゃないか?
「ああ、もうじき夜が明ける。マギ・バンブーも目が覚める」
いやー、もう目が覚めてるんじゃないかな? そうじゃないと急に生えたりしないぜ?
「スネークよ、マギ・バンブーのこと、知っているなら教えて欲しい」
前世の記憶だと、竹っつーのは地下茎があればそこからまた芽?をだすそうだ。地下茎を伸ばして生息域を広げる、きわめて厄介な植物なのだ。我のいた世界では魔法は使えないから、こっちの竹と性質が同じかどうかは知らん。魔力を扱えるという点ではこっちの竹の方が悪質やな。我は、奴を見るのは初めてだが、ササの葉が飛んでくるのと、茎がしなるのと、根っこが伸びるんだったっけ? あとは切った後のやつがのびてくるっていうのもあったか? 他に何か奴の攻撃方法はあるか?
「完全に竹になる前の状態の物が、こちらに向かって飛んでくるそうだ」
タケノコかな? タケノコが飛んでくるのかな? 他には?
「いや、今話したものが我々の知っているすべてだ。しかし、あの繁殖力が一番の脅威だな」
そうだな…… この土壌ではそれほど成長しなさそうなのだが…… だって、竹以外の植物は地衣類がほとんどで、木や背の高い多年生草なんか全然生えてなかったもの。水はたくさんあるとして、光も山岳だから平地に比べたら地面に当たっている時間は少ないだろうし。いや、だからこそ、マルス・プミラの魔力を欲しているのかもしれないな。それと、奴はたぶんだが地下茎で繋がっている。どこかに意識の本体があると思うのだが。
「それでどうする? またさっきみたいに刈り取っていくか? 」
そうだな…… いや、鎌鼬は使わない方向で。
「なぜだ? 鎌鼬を使わないと相当時間がかかるぞ? 」
いや、向こうから人が来るんだろ? その人たちに鎌鼬が当たったらどうするんだ!
「うちのミィアちゃんはそんなことはしない! 」
いつの間にか剣から上半身を出したボル・イタチが、みぃあ~~と頭を振った。わかってんのかね? 人がいたら、その周りの竹を刈っていくんだぞ! 笹の葉が飛んで来たら守ってやるんだぞ!
「みぃあー」
嬉しそうに天を見上げて鳴くボル・イタチ。わかった!そこまで言うんなら行ってこい! 蒼天から立ち上ってきた魔力が鎌を持ったイタチの形になったかと思うとすぐに斜面に向かっていった。自分の前にある竹を一閃していく…… 我らも行きますか。ボルちゃんはウィップスの鎌鼬で道幅を広げて! 我はボルちゃんに風魔法Lv.4空気壁で回りを守りつつ、切った竹を回収していく! それと、人がいるところでは、我は風魔法を使わえないていでいく。
「それはどうしてだ? 」
ボルちゃんが風結晶を取られてしまったと言ったら体裁が悪いだろう?
「いや、もうそれはいいのだが…… まあいいか。ではいくぞ!」
ボルちゃん、懐のポーチからウィップスを取り出すと、ボル・イタチが刈ってできた小道の右側に立ち右手に持った蒼天で右側の竹を刈り、左手に持ったウィップスで鎌鼬を放ち左手側の竹を刈っていく…… 我は、風魔法Lv.4空気壁でボルちゃんの周りをカバーしつつ、刈っていった竹を飲み込んでいく。我の飲み込み速度も速くなったもんだね。 再び斜面に道ができました。時々笹の葉が飛んできましたが、空気壁でばっちり守られております。上ばかり気にしていたら、地面から殺気が! なんかやばいな!
”ボルちゃん! 足元に土壁をつくるっ! 土魔法Lv.26土壁! ”
とっさだったので30㎝くらいの高さの土壁しか出てこなかったがそれで十分だった。 土壁にタケノコがバスバス刺さっていきます。これも回収してしていきましょうね。お米があったらタケノコご飯ができるのになぁ。今のところ煮物しか思いつかん。そういや、とあるグルメ漫画でタケノコを生えたまま焼いて食べるっていうのがあったねぇ……
「スネーク! ぼうっとするな! 下へ降りるぞ!」
へーい。
本日は一話のみです。
お読みいただきありがとうございます。




