通信部隊見習いジャン君
我、南砦に戻る。扉が開きませんな! 我発声できない! 仕方ない、ここは風魔法Lv.4空気壁で階段を作りましてぴょんぴょん跳ねていきます。天国への階段ですね。高いところから見下ろしますと、我らが刈り取ったところはほんの一部分にすぎないことがわかりますな。ま、あれだけ広く刈り取ったんだから、ササの葉が飛んできても対処はできるだろう。砦の屋上に到着。我下へ向かう階段へ…… あ、ここもとびらがあったのだった。
”誰か、屋上のドアを開けてくれーーー。マギハンドは使いたくないんじゃー”
”カウントダウンが進むからな。ヴィン、頼まれてくれるか? ”
”大丈夫ですよ、スネークちゃん、すぐ行きますからねー”
待ってる間に我、刈ってきた孟宗竹をおえっと吐きます。どのくらい狩りましたかない? たくさんここに吐いてみましょう。おぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおえぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇおぇええおぇおぇおぇおぇぇおえぇ。
「お待たせしましたー……って、スネークちゃん。これは?」
敵を知るにはまず味方から。いや、ちがうな! それは敵を欺くには、だった。敵を知らないと。と思って刈ったものをもってきたのだ。あと、素材が役に立つのでちょっと出してみたのだ!
「この素材が何になるんですか?」
この節と節の間は空洞になってるから~、節を両端にするように切り取って~節近くを削って~、貯金箱とか。
「び、微妙ですね」
それは冗談だ。竹で一番重宝しそうなのはナーギーの串焼きの串に使えるところだな。木よりも簡単に作れるんじゃないかな? いろいろできそうだから持ってきたのだ。それはそうとして中に入るかい。
ハンナちゃんの後についていくと、そこはカレー臭漂う部屋だった。
「来たかスネーク。これが今回の最重要戦力だ。スネークよ、こちらのご老体が……」
イルゼ婆さんだったっけな。よろしゅうに。我、ぴょんぴょん跳ねて自己アピール。
「そして、こちらが……」
ジャンと呼ばれてた青年か。うむ、大儀である! 我、胸を反らす!
「なんだかイルゼ婆様の時と態度が違うような……」
だってー、なんだか貧弱貧弱ーだしー? 君、戦えなさそうだけど、ここにいて大丈夫なの?
「そう言ってやるな? ジャン殿はカール・レイハー殿の弟なのだそうだ」
誰だっけ?その人?
「メルゼブルグ最後の日に連絡をしてきた人ですよ? 通信部隊を名乗ってました」
そしたら君も通信部隊の人なの?
「ジャン殿はまだ未成年なのでそういった仕事は任されないそうなのだ、本来なら」
「兄がずっとこの砦に出ずっぱりだったので家族が心配してて…… 防衛隊の人に頼んで交代をしてもらうよう頼んだのです」
笹の葉だらけだったのは?
「笹の葉に刺されっぱなしだったのはどうしてか聞いているぞ?」
「私の結界魔法が鎌鼬だったからのう、許してくれ、ジャン」
あ、そうそう、なぜに鎌鼬が結界魔法なのさ?
「前にスネークちゃんに言いましたが、結界にはスネークちゃんのように認識阻害系とは別の結界があるのです」
知ってる、シュタイルハング村の近くにいたゴブリンがやってたやつがそうだね。
「あれはおそらくだが技能結界の一つだな。スネークが使うのとは別のやつだ」
「そして魔法で外敵を排除するのが魔法結界…… スネークちゃんの空気壁や土壁もある種の結界なのです」
するってーと、なにかい? 鎌鼬をたくさん出して身を守るのも結界というんかい?
「私の鎌鼬はぁ、数がだせんでのぅ…… ジャンに迷惑をかけることになったわ」
それでジャン君、YOUは何しに砦に?
「砦に来たのはなぜかと聞いてるな」
「それは兄がフランクフォートに連絡を入れてから2日経っても援軍がこないので、どこかで連絡が取れないかと思い……」
我らが来るのが遅れたから心配してたのか…… そういや、一日で来れるとか言ってたよね?
「まあ、魔物との遭遇があったし安全を見て丸二日かけたと言ってもらいたい」
「やはり魔物と遭遇されたのですか?」
「フランクフォートに連絡を入れた種類と、あとリーズィッヒ・コーイもいたな」
「リーズィッヒ・コーイ! どのような魔物でしたか?」
興奮するジャン君に、ハンナちゃんが色紙を見せた。
「じゃーーーん! これがリーズィッヒ・コーイのイラストです! 」
「こ、フ、これが…… フフへへ…… リーズィッヒ・コーイ? ププププーーーーー! 魚に顔がついてますよーーーーーーーーーーー!」
「よかったですね、スネークちゃん! 大爆笑が取れましたよ!」
いや、我はまじめに絵を描いたのだが?
本日はこれにて。お読みいただきありがとうございます。




