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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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夜襲


 ヒカリ娘が馬の世話を終えて3階へ上がってきた。


「な~、隊長さん、出がけに食った晩飯じゃ腹が減ったんだけど、飯食っていい?」


「弁当は食べなかったのか?」


「馬に乗りながらは食べられないよ~」


「あたし~、半分食べちゃいました~」


「それではバウアーは食事はいいか? 」


「半分しか食べなかったのは飽きちゃったからです~、オニク~」


「それでは食事と休憩とする。砦にいた2名が起きたら連絡してくれ」


「隊長さんはどうするんだ?」


「夜襲だ」

「「「「「夜襲? 」」」」」


ああ、夜の方が不活発なんだろうから暗いうちに敵を減らしておきたいんだろうね。


「それもある。が、あんなに生い茂っていたのでは馬の安全が確保できないからな。それでスネークよ、あれの名前は何というのだ? 」


あれか、あれは竹という植物だが、ただの植物じゃないようだから、この際、マギ・バンブー、あるいはデス・バンブーと呼ぶことにする。マギ・ファンガスと同じ要領ですな。魔力を吸い取る様子が見られないからまあマギ・バンブーの方が適切か。


「それではこれ以降、マギ・バンブーと呼称することにする。私はこれからグラニーラムゼースミスの里の入口までの通路を確保しに行く」


え? ここってグラニーラムゼースミスじゃないの?


「まあそうなんだが、人の住んでいるところではないな。人の住む里はさらに崖で覆われた崖の中にできているのだ。崖底は川になっているしな。だからこそマギ・バンブーも里へは侵入できなかったのであろう」


つまり川中島みたいになっている場所と思えばいいんやな? 川中の赤壁や!


「それでは私はちょっと出かけてくる! スネークは…… 来るよな」


まあ疲れてもいないしな。道を借りて竹を刈る作戦やな。


「それでは砦の二人が起きたら食事を与えてくれ。最初は粥のような消化に良いものを、食事が進みそうなら肉類を、ご老体には食べやすいように配慮してくれ。それでは行ってくる! 」


「「「「お気をつけて!」」」」


「いってらっしゃーい!」

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 我と、ボルちゃん、砦から出ます。ボルちゃんよ、さっきボル・イタチを出したが、魔力の方は大丈夫か?


「全然問題ないな! たぶん数回は使えるはずだ。それに私の魔力量を入れると10回は越えると思う……というか、スネークが魔力を込めた水晶玉を使うなら、それこそ数えられないくらい使えるぞ? 」


いや、何回使ったか数は数えておいた方がいいぞ? いざというとき使えませんでしたじゃ話にならないからな?


「それもそうだな。さて、いくか!」


ここからまっすぐ下っていけばいいのね? それで竹狩りじゃーーー! 本当はタケノコを刈りたかったのだが。いったるでー!


 ここからは共同作戦でも何でもなく、単に竹の乱伐をしていったに過ぎない話です。竹は孟宗竹という種類に似てますな。加工すればいろいろと使えそうだから、鎌鼬で刈ったらそのままにせず丸呑みしていきます。何本、いや、何十、何百と刈っていき自分が何をしているかわからなくなってきたところで崖下に着きましたな。遠くの方でざしゅざしゅという音が聞こえます。音のする方へ向かいます。あたりは乱伐の影響で夜空が見えますな。お月様もだいぶ傾いてしまいました。この世界も月はひとつですね。星座は全然違いますが。


”あーあーあー、隊長、スネークちゃん聞こえますかー。砦のお二人が目を覚ましました。お話をするなら戻られてください。討伐を続けるのなら、こちらに指示をください”


”わかった。こっちは伐採しながら戻ることにする。スネークはどうする? ”


”刈った竹を飲み込むことにするから先に帰ってくれ”


”了解した。ヴィン、食事ができそうなら食事をさせておいてくれ。他の者たちはどうしている? ”


”エマさんは食事をしてからいつもの睡眠です。あとはボーデンさんもベッドに入りましたね。フランメクライゼルさんとトレーネさんは屋上で魔力操作の稽古をするとか”


”わかった、ヴィンは頼りになるな!”


”ありがとうございます。えへへ。それじゃ、スネークちゃんもほどほどにして帰ってきてください”


あいあい。ほどほどって言っても砦から下った斜面は大概切り倒したな…… むしろ回収作業の方が手間がかかります…… タケノコなんか生えてませんかね? 目を皿のようにして見回しましたが見当たりませんでした……


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