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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第1章 大きな神樹の木の下で
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我、エルフの伝説を聞く




「我らエルフの、文字を持たぬ時代の伝承です。かつて我らは、世界樹の力を借りて、この大陸のほとんどを領土にしておりました。その頃は、王国ではなく帝国と呼ばれていたのです・・・」


“その話、長くなりそう?”


「ヘビには難しい話か。要約すると、アシアティカ様の(しゅ)は光の実を生み出す世界樹なのだ。お前は使ったことがあるのだろう?光の実は光魔法が使えるようになる実なのだ。光魔法とは、癒しの術が使えること・・・つまり」


“つまり?”ゴキュ


「いくら傷ついても回復する手段があるということだ。すなわち・・・」


“すなわち?”ゴキュ


「いくらでも戦争ができるということだ!」


“ははーん・・・なるほろ~・・・ダメじゃん!”


いつの世も 争いの種は尽きまじ 人の心の浅ましきかな  びと知らず 





全領土を征服しようと皇帝は考えたそうだが、それに待ったをかけたのが大賢者だった。領土ばかり広げても意味はないと主張した大賢者だが、時の皇帝は野心にかられ全方面に軍を進行させていったとかいかなかったとか・・・いったのか、いかなかったのかどっちなんだーい?いったんかい!


「そして、周辺部へ軍を動かしたはいいものの、それを不満に思っていた連中が基本人族に生まれた勇者を手引きして帝都を落としたそうな」


“勇者は何で帝都をおとしたかったんかしら?”


「当時の帝都は光の実を実らせる世界樹が神として祀られていたそうだ・・・」


なるほろなるほろ。勇者に回復魔法か、虎に翼を生やすようなもんだ。それは勇者さん、欲しがりますな。


「大賢者は、ある程度予想していたようだが、まさか帝都にいきなり勇者が来るとは思ってなかったそうだ。結果として世界樹は光の実を奪われ、切り倒されていた・・・そのあと皇帝は捕らえられ、留置所で幽閉、反乱分子がもめている最中に勇者は基本人族の元へ帰っていった」


“ふんふん、それで?“


「騒ぎの収まった後、大賢者は切り株になった世界樹に魔法をかけたそうだ。それが伝説の緑魔法」


“伝説ですか、なるほど”


「伝説の緑魔法をもってしても、切り株が成長することはなく、ただ切り株から生えた孫生ひこばえから一つの実をつけるのが精いっぱいだったという。時のアシアティカの精霊様から、この実はエルフのいないところで育ててほしい・・・そう託されたそうだ。それで大賢者は人知れずその実をいずこかへ持ち去ったという・・・これは我らエルフの民に伝わる伝説だったのだが・・・」


“だがーーー、続きがあるんだ!”


「数十年前に、現代に生きるエルフの賢者が、伝説を復活させたのだ。エルフの民はその伝説以降光魔法は使えなくなっていた・・・失われた魔法だったのだ。時が過ぎ、光魔法はただのおとぎ話としてしか認識されていなかった。しかし賢者は光魔法を復活させていた。先代のアシアティカ様を見つけたのだろうな。当時のエルフの民は躍起になって探したものだが・・・」


「迷い惑わしの森に阻まれた、ということですね?」


「はい。当時、賢者は今と似たような問題を抱えていました。謎の植物がとある里を包囲したのです。その時は火魔法と風魔法で撃退したそうです。しかし、死傷者が大勢出ました・・・そのことを嘆いた賢者は光の実を実らせる世界樹を探す旅に出たのです・・・」


“そして見つけることができた、と”





あったんだ。伝説の木は、本当にあったんだ!


今日のところはこの辺で。

お読みいただきありがとうございます。

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