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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第1章 大きな神樹の木の下で
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我、神樹さまの話を聞く

な、何やら話が広がってきた・・・


 

「さて、どうでしょう?私が先代から聞いた話では、マルス・プミラを奪い合い、エルフ同士で殺し合いをしたしてたというではありませんか。単に我らが種を利用しているだけなのかもしれない、そう考えることはできませんか?ボルドウィン?」

「いえ、決してそのようなことは!マルス・プミラの精霊様の望まれるままに・・・」

「望まれるままに何をされているのでしょう?」


神樹さま、聞き方にとげがある気がするのだが・・・そんなことない?


「神の御子よ、我ら・・・我らに限らず、生きるとし生けるもの全てについて相通じることなのですが、生き物はこの世界に生まれ、育ち、地に満たんと欲するのですよ。我らマルス・プミラも同様です・・・しかし、我らは育ちが遅く、なかなかこの世界に仲間を増やすことができないのです」


”でも、名前は世界樹なんでしょ?世界に広がってるんじゃないの?”


「世界樹と呼ばれるのは、エルフの民人がそう呼ぶからですよ。エルフは我らマルス・プミラの実や枝、葉、幹とすべてを利用します。彼らにとって有用だから我らを育てているのでしょう。ですが、我らの成長は遅く、すべてのエルフの民人に等しく我らの果実を配ることはできません」


エルフ内格差が生じますな、きっと。


「我らエルフ族は、世界樹を利用するだけではありません。世界樹の発育に必要なものすべてを整えております。新しい種ができたら、それにふさわしい里を作っていき、今では20を超す里が出来上がりました」


「それはエルフの利益になるからでしょう?例えば、エルフ以外についてはどうですか?」


「エルフ以外のものが世界樹を扱うのは無理かと」


「エルフであれば有効に活用できる、というのですね?それではエルフ同士が争った場合は?先代から聞いたところによると、我らマルス・プミラを求めエルフの民人達は相争っていたそうです。争い合ううちに、獣人や魔人に付け込まれ、大きく広がった版図は精霊の宿る世界樹を中心にしたいくつかの里を残すだけになったそうです。それが、先代がここに来てからだいぶ後の話」


ウム、世界樹に歴史あり、やな。


「先代は、当時大賢者と呼ばれるエルフに、この地に植えられて、緑魔法によって精霊が出現できるまで成長させてもらいました」


こ、こんなところに大賢者が出てきた!


「大賢者は、先代を植えた後、争いの場に戻られたようです。その前に、先代が誰にも成長を邪魔されないように、迷い惑わしの木をこの山の周囲にやすんじられておかれました」


なぜに大賢者さんはそんなことを?


“今となっては知る由もありません・・・ですが、光の実が関係しているとは思います”


「それだけではありません」


お、何か知っているのか?ボルちゃん!





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