解体されるの、我じゃない!
頂いた感想の中に、「つちのこ解体」の報告が! 我、いつの間に解体されちゃったの?と思いましたが……
詳しくはあらすじで!
ボルちゃんを送り出した後、入れ替わるように大将が帰ってきた。
「おう、蛇公! お前の言っていた、刷毛ってこれでいいか? 」
買ってきたのは確かに刷毛のようだが…… こんなもん、何に使うんだ?
「文字を書いたり絵をかいたりするのに使うのですよ? それよりも、これ売ってる雑貨屋さん、近所にあるのですか? 」
「まあ近所と言えば近所だな。何か買いたいものがあるのか? 」
「まさにその刷毛が欲しかったのです! 」
ハンナちゃんは刷毛を使って何をするんだ?
「そりゃあもう、筆とは違って、ジャ…… げふげふ、なんでもありませんじゃ!」
なんで語尾がジャになってるんジャ?
「そんなことより、蛇公。{かば焼き}を作るんだよな? 」
作るのは我じゃないよ、大将だからね?
「ナーギーを調理するのは大将だと言ってますよ? ご主人。私はやったことありませんし。あ、そうそう! {ウナギのかば焼き}という料理には必要不可欠な調味料だそうです! これ、ゾヤゾーゼが1斗使われてますので、その分の代金は徴収しますね、ってスネークちゃんが言ってます。お代は大銀貨1枚に負けてやる! だそうです」
「えーーーーーーーー? ってなに? この鍋の中に入ってるの? うわわーーー! 」
大将が鍋のふたをカパッと開けると黒い液体が!
「俺は今、ものすんごい詐欺に引っかかった気がする…… スプーン1杯銅貨1枚の調味料がこんなに…… こんなものを買わされたのか、俺は…… 」
そう言われてみれば、黒い液体が銅貨に見えてきましたな。まあ頑張って稼いでくんなまし。お金がなかったら婆から金、引っ張ってこいや! あ、なんだか悪役っぽくなってきたな! ま、いいか! 早速ナーギーを捌いていただきましょう!
「え? もうやるのか? 」
捌いている途中でメルちゃんも帰ってくるだろ! ちゃんと準備しとけや!
「そんじゃあ道具とナーギー持ってくらぁ…… 」
大将がその場を離れると、今度は入れ替わりにメルちゃんが戻ってきた。メルちゃんには何頼んだっけ? 炭と串だった? そうだったそうだった。
「うわあ…… なんですか? いつの間にこんな小屋ができてるなんて! 」
「これがスネークちゃんの真の力のほんの一旦なのです! ここでナーギーを捌いて焼いて売るのですよ! メルジーナさんも手伝うのです! 」
「はい! わかりました! それ買ってきたものはどこに置けばいいですか? 」
「炭はその脚のある長方形の鍋に均等に並べてください。串の長さと太さはどんなものでしょう? 」
そうねぇ…… 串ってこんなものなの? もっと細いものかと思っていたが…… まあ買ってきたものはしょうがないか。店売りだけにするなら金属の方がいいのか…… 各具い用ならこんなものなのかな? あ、並べ終わった? そんじゃ、火を点けますか。火魔法Lv.1点火! しっかしこの炭、竹でできてるのね。珍しい…… よし、準備は整った! あとは、おっさん待ちだな! と言ったとたんにおっさん帰ってきた。片手に小箱、片手に竹籠、唇に火の酒~、背中に人生を~♪ あ~あーあ~あー♪
「なんだかスネーク君がハミングしているように感じますが? 」
「これぞ、スネークちゃんのご機嫌状態! 放っておいて大丈夫です! 」
「おい、蛇公! 準備できたが、もう捌いていいのか?」
やっちゃってください!
大将、竹籠からぬるりとナーギーを取り出すと、作り立てのまな板に直線に伸ばして、アイスピックを頭にブスリ。あっという間に内蔵を取り出した。
「あー、ここには洗い場がねーな」
いや、洗い場はあるが水がないだけやな。ハンナちゃん、水出してもらっていい?
「はいはい、スネークちゃんに活躍の場を奪われてましたが、私の水魔法、いきます!
水よ 水よ 我ら命の運び手の水よ 流れのままに 命を運びたまえ」
今の呪文かな? ハンナちゃんの手からお水が流れてきましたな。あの水、どこから来てるのかしらね? そら大将、ぼっとしてないであれで洗わんかい!
「こ、これ使っても平気なのか?」
「魔法で出した水ですから飲み水にも使えるのです。洗い物には贅沢だと思います」
これどのくらい出せるの?
「スネークちゃんほどではありませんが、結構出せますよ」
水道の蛇口を半分だけひねったような感じの水がハンナちゃんの手からちょろちょろと出てますな。我が、川の水を吐いた方が洗い場の水は早く溜まりそうだが……気持ち悪がられるのもしゃくだしな。
「それではご主人、続きをどうぞ」
気を取り直した大将は、我くらいの太さのナーギーを次々と素早く解体していった……なんだか我が解体されている気分だった……
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




