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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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川婆は普通だった



「はい、いらっしゃい。ここに来たのはポーションが欲しいからであってるかい?」


白髪の、腰の曲がったおばあさんがそこにはいましたな。特に魔女っぽい人でもなく、普通のおばあさんだった…… 普通過ぎるな!


「あなたが、川婆であっているのか? 私はボルドウィンという。御覧の通りのエルフ族だ」


「そちらのお二人さんもエルフ族さんかい? …… そして…… あれまぁ立派な一物いちもつさんがいらっしゃったねぇ…… 」


一物いちもつさん! 我のことか? 我、一物さんではありません! 蛇! 蛇でござる! 立派な一物さんは村長さんなのでござる!


「この辺りでは蛇のことを一物さんと呼ぶのか? 」 


「いや、私の趣味じゃよ?」


うーん、どこまでも普通…… じゃねーぞ! 趣味で蛇を一物呼ばわりするんじゃない! まったくどういうことやねん!ヽ(`Д´)ノプンプン! エマさんがまたそっと我にスネークンを押し当ててくる。あれ? また光った?


「それで、ここはポーション屋なのだが、どんなのが欲しいんだい?」


「魔力ポーションが欲しいのだが…… ブレスローの冒険者ギルドの前にある薬剤屋で魔力ポーションを買ってみたのだが、エクストラ・ハイというのが最高品質だった。それ以上になるとここでないと作れないという話を聞いてな。これは手土産だ」


ボルちゃんが、ポーチからツァオバーべスぺのアルコホール漬けを取り出しました。横で見ていた従業員のお姉さんもびっくりです。


「まぁ! 川婆様! 久しぶりにこんな立派な蜂酒を見ましたね? 本当にこれをいただいても? 」


「ポーション屋には伝手つてがなくてな。これをもっていけば喜ばれると聞いた。最近狩ったばかりの蜂だからまだ薬効はそれほど出てないと思うが」


「ツァオバーべスぺという魔物だね! それならば”女王のスープ”を持ってきたのかい?」


「ああ、それなら持ってきた」


ボルちゃん、ハンナちゃんとエマさんがポーチの中から1斗鍋を5つ取り出し中を開けます。ハチミツとは違う、何やら白い固形物がありますな。ツァオバーべスぺって蜜蜂じゃないから蜂蜜採れないよね。これなんなん?


「これはツァオバーべスぺの女王蜂が次代の女王を育てるために出した女王の精ですよ?」


女王の精か…… シがつかなくってよかった。メスなのになぜ! とか思ってしまうところだったぜ! 我の考えを見透かしたかのように、お姉さんがぷくりと笑う。


「それで? 魔力ポーションと言ってもいろいろあるよ? 基本人族で売っているエクストラ・ハイなんてものは、はっきり言ってありゃ普通のポーションだね」


「そんなものを1本銀貨2枚大銅貨5枚で売っていたのか?」


「基本人族は価値がわからんだろうから適当につけてたらそうなったんじゃろーて。材料があるんならもっと安くもできるし、そうでなけりゃそんなもんさ」


「必要な材料はあるのか?」


「そりゃどの程度のポーションを求めるかにもよるがな。それと魔力過剰にならないようにするには使う人にもよるんじゃがな」


ここでボルちゃん、指を顎に当て、考え込みます……


「あ、時間がかかるようなので、私は飲み物持ってきますね」


ジレーネさんは、その部屋の奥に引っ込んでいきました。あっち側に調理場でもあるのかな?


「具体的に魔力量を測ったことはないのだが、ヴィンはどのくらいあるのだろうな? 私より多いのはわかるのだが…… それとバウアーの魔力量もよくわからないな。前は全然魔力を感じなかったのだが、日に日に大きくなっているのがわかる」


「スネークさんの水魔法のおかげですかねー?」


「こうなってくると、私に合わせた方がよいのかな…… いや、それぞれ個人に合わせて作ってもらった方がよいか……」


「なにをぶつぶつ言ってるんだい。そらそら、あんたら、もうすぐ飲み物が来るから、魔力ポーションのほかに欲しいものはあるかい? 」


「ダメ元で聞いてみるが…… 魔物植物を枯らす除草剤のようなものはあるか? 」


「…… できなくはないが…… それは禁じられていることぐらいお前さんもわかるだろう?」


ああ。それは使ってはいけませんな! 肝心の魔物植物が倒された後、普通の植物が生えなくなったりしたら何の意味もない!


「まあそうだな…… 忘れてくれ」


魔力か…… 魔力ねぇ……  他に体力ポーションとかは買わないのか? 金はたくさん手に入っただろう? あとは眠くならないオクスリとかな! 精神を高揚させるオクスリとかな! 逆に眠くなるオクスリとか? 我の魔法も青魔法は抑えていくので、その辺の状態異常回復とかも買っといたら? ひょっとしたら使用回数上限までスネークンを使うかもしれないし。


「ひょひょひょ。薬に頼っとるうちはまぁ半人前だわな!」


「それを薬屋のあなたが言いますか?」


「薬屋だから言えることもあるじゃろう?」


ンフーと鼻息荒い川婆であった。しかし、ブレスロー冒険者ギルドのギルマスとは違っていまいち迫力がありませんな…… あのヤマンバに比べると圧がまるきり感じられない。見たところ基本人族のようですが。そう言えば、川婆ってあだ名だよな。ホントの名前はなんでしょか?


「川婆というのは二つ名ですよね。ちゃんとしたお名前は何というのでしょうか?」


「私かい? ダミー・ドゥークーが本名さ……」


名前を入れ替えると、ドク・ダミー……ドクダミか。毒を出す草、ドクダミね。ドクダミ婆さんだな! ヤマンバはまんまマンバを使っていたが、こっちはそれとの対比なのかな?



本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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