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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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魚料理と言えば?



 10分ほど待つと調理場の向こうからいい匂いが漂ってきた…… 


「お待ちどうさまぁ…… さあ召し上がれ! 」


看板娘がそう言って持ってきたのは…… 焼くと煮るしかない世界でどのような魚料理が出るのかと思っていたら、半身の焼き魚の切り身が入った煮物? スープだった。付け合わせのローゲンブロート…… なんだか小さいなぁ…… あとはキャベツの酢漬けが出てきましたな。野菜はスープの中にたっぷり入っているので、この酢漬けはいらないような気もします。ボルちゃんやハンナちゃんにはちょうどいいが、エマさんには足りないような…… あ、我は味見程度で十分ですよ。それではいただきます! まずはスープ…… おお、野菜から出しがしっかり出てますな……野菜だけじゃないぞ? 魚介の味もする。焼き魚とは別にサカナから出汁を取ってますな! お魚の切り身は…… エマさんをちらと見ると、もう全部食ってしまっていた。エマさんや、我に真ん中あたりの身をほぐして食わせてくれる? 残ったのは食べていいから。


「わっかりましたー! 」


ナイフで真ん中あたりを切り分けて、フォークでぶっ刺しまして切り身を我の口に持ってきます。カプ! もぐもぐもぐ……


「あーん! 私がそれをやりたかったーー! 」


おう! ふわっふわの焼き具合ですな! 塩加減がいい塩梅です! やりますなご主人! エマさん、どうよ! この焼き魚、なかなかうまいと思わんか?


「そうですねー、私が焼いたのよりはおいしいかもー? 」


願わくば、胡椒をもう少し効かせたらよかったかな? 我、ローゲンブロートをもぐもぐ食べながら思いました。それにしてもこのスープは魚と野菜のダブルスープですな。も少し油を足してもいいかもしれません……

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 ボルちゃんとハンナちゃん、メルジーナちゃんが仲良くハーブティーを飲んでいる中、一人追加でサンドウィッチと燻製肉を食べている人がいます……


「ごめんなさい、やはりブロートが足りませんでしたか…… 」


「気にしないでくれ、彼女は体を鍛えるため、特別にもっと食事をしないといけないのだ」


と、言う設定なのだ! 食器を下げて洗い物を終えた宿のご主人がメルジーナの隣に座る。


「で、どうだった? うちの料理は? って、蛇公へびこーに聞いてもしゃべれないか! 」


(ここからはエルフ通訳が入ります)


”うん、うまかったよ。川魚にしては泥臭くもなかったし。あれが名物料理なのか?”


「ほー、蛇のくせに言うじゃねーか。ま、この辺の一般的な料理だな。と言っても、その辺の家庭料理とは違うぞ? ちゃんと泥抜きをしてから料理に使ってるからな」


何んとなくポルちゃんを思い出させる人だな。元冒険者だったのかな?


”やっぱり大将も元冒険者なのか? ”


「なんだ、大将って? まあ元・冒険者だな。今でも辞めたつもりはないがな」


”やっぱり食事係か? ”


「食事作るのは冒険者ならみんなやるんだぞ? まあ、知ってる中じゃ俺が一番飯作るのうまかったけどな! ところでよー。うちの宿のメニュー、なんか新しい看板飯が欲しいんだけど、なんか教えてくれるか? 」


”焼くと煮る、しかやらない? ”


「なんでい、それ以外にもあるって口ぶりは? 」


”油は料理に使うのか? ”


「そりゃまぁ、焼くときに使わないと焦げるしな」


”油を使う調理法があるのだが…… ”


「ほぅ…… 油を使って食材を加熱するのか? それは俺もやったことがある。油が大量に残ってた場所でな。だけど、食材が油まみれになってべたべたになったぞ? 腹減ってる時ならともかく、店で出せるような代物にはならなかったが」


お? 料理人だね! 新しい調理法をチャレンジするのはまごうことなき料理人! だが工夫が足りませんでしたね。油につけすぎているのが原因ですよ…… 


”素材を吊るして加熱した油をかけるやり方をすればよいのです!”


油淋鶏ゆーりんちーという料理ですな。それの素材を鯉にすればよろし! 衣を塗せば竜田揚げっぽくなるしな!


「わわわわ! やはりでました! レシピの泉! スネーク料理本! 今回は2つ出てきましたよ? {You リンチ!}と{タツタアゲー↑}。さあ! さあさあ! はよぅ! はよぅ教えろください! 」


宿の大将より、幼女エルフの方がふがふが鼻息が荒いのはなんでだ?


”油淋鶏は素材がガルスガルスとかハオスエンテだからな? トリニクを吊るして、熱した油をかけていく調理法です”


「唐揚げとはどう違うのですか! 」


”衣をつけるかつけないかじゃないのかなぁ? あ、でも油淋鶏も衣つけるってのもありですな。調理法の見た目が派手だから見世物の意味合いもあるんじゃないかいな?”


詳しくは知りません。それをした処理した鯉を丸ごと使えば、なんだか鯉が天に昇って龍になる感じがしますな! まさに登竜門! 油鍋がドラゴンゲート! 登ろうぜ! ドラゴンゲート!


「ふ~む、アイデアはいいが、問題は味だな。やっぱり油でべたべたになるんじゃないのか? 」


”そこでご主人! 油っぽいものにはさっぱりしたものを合わせればよいのですよ? 甘酢餡かけを揚げた鯉にかければよいのです”


「{甘酢餡かけ}! 」


”あー、はいはい。甘酢餡かけっつーのは…… ”


そう言えば、こっち片栗粉が気安く手に入らないんだよな…… お助けイモはあるのかしら? あまり食材としては普及してなかったような感じだが…… スープの野菜にもイモは入ってなかったよな。


「スネークちゃん、どうしましたか? 」  


”レオーノイモ粉はもらってきた? あとトマーテってこの辺で食材になってる? ゾヤゾーゼって知ってるかな? ”


「おう、そんな粉、聞いたこともないな。西の方で流行ってるのか? トマーテは食材としては普通だな。ゾヤゾーゼ……あのバカ高い調味料な…… 使っては見たいが値段がな」


「大体一皿にどのくらい使うか計量して、お料理の値段を揚げればよいのです。付加価値というやつなのですよ! これをたくさんつけられる人が価値あることになるのですから! 私が少し持ってますので料理をするときに使ってみてください! それでは、甘酢餡かけを作りましょう!」


「あー、悪いんだが、もう今日は素材がな……あんたらので終いだった。あとは明日の朝食のために取っておかないといけない」


「スネークさーん…… 竜田揚げ、食べてみたい……」


「素材ならスーススクローファやタウルスがありますよ?」


やってやれないことはないが…… もう夜遅くない?


「そうだな、もう一段落しちまったし…… 明日の朝、作って見せてもらおうか。材料費は払うぜ? 」


「それとねー、スネークさーん?」


どうしたどうした? 水が飲みたいのか?


「あのねー、ここのミスペル、おいしいのに実がちょっとしかないでしょーー? あれ、もっと大きくする魔法がありましたよねーーーー?」


そうか、エマさんは、ミスペルをがっつり食いたいんだな? それならすぐだが……


「そんな魔法があるのか? しかも蛇が魔法を使うのか? 」


「ほんとに? すごいねスネーク君!」


我、持ち上げられてしまった…… 物理的な意味で。この子も爬虫類が平気なタイプなのだろうか?


「私、鱗とか平気なんですよ。いつも触ってますから。でも魚の鱗と違ってつるつるですね。気持ちいいー!」


「わかりますか! スネークちゃんの鱗の手触りの良さが! それではちょっとだけ貸してあげます! 」


一人興奮状態の幼女エルフだった……


今宵はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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