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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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お宿のお飯はなんでしょか~?


 受付のお姉さんに、本日泊まる予定の宿{恋するマーメイド}の場所をボルちゃんが買った地図に印をつけてもらい、冒険者ギルドを後にした。外はもう暗くなっていたので曲がる目安の場所までしっかり聞き込みしました。そうじゃないとまた迷いそうだ。建物を出ると100mぐらいの間隔でうすぼんやりと街灯が光っております。建物から灯りが漏れてるのより薄暗い…… あれなくっても見えそうだな。受付のお姉さんの指示は的確で、30分ぐらいで泊まる予定の宿屋についた。ボルちゃん、いったん宿に入るとすぐに出てきて、お馬さんを宿の裏手に連れていく。みんなもそれについていく。お、結構な馬小屋ですな! それに中庭も広い! 土魔法も使えそうですね…… お馬さんたちには水桶に水を入れて、飼い葉桶にはたっぷり飼い葉を入れて、あとは人参とか桃とか、岩塩とかを置いときます。たらふく食ってあとはちゃんと休みなさいよ? さて、お馬さんたちはこれでよし。我、ボルちゃんの頭に乗って、宿へ向かいます。


からららん♪


ここのお宿のドアの音はえらく軽いですな。中からはーい、と綺麗な声がきこえますよ。


「いらっしゃいませ。えーと、ボルドウィン様ご一行でしょうか? 」


見ればハンナちゃんとエマさんの中間ぐらい…… の年恰好の女の子が出てきた。あれ? いかついおじさんはどこ行った?


「ああ、夕刻に宿泊を決めたのだが用があって外出をしていた」


「シンディさんから夕食は遅れると連絡がありましたので。すぐに食事になされますよね。お部屋に案内しますので、荷物はそちらに置かれてください。私はここのお手伝いのメルジーナです。ようこそ{恋するマーメイド}へ」


めっちゃ可愛い看板娘が居るやんけ! どういうことよ、ハンナちゃん?


「あ、あのいかついおじさんは?」


「ああ、それはうちのお父さんですよ」


ぷくっと笑った看板娘。


「お父さん無愛想だから初めてのお客さん…… 特にお子さんには怖がられちゃって。あ、もしかして怖がらせてしまいましたか? 」


「あ、いえ、そうではなくってですね…… 」


うん、言いたいことはわかるぞ幼女エルフよ。しかし、それは父親を見てからや!


「今はお客さんも食事を終えた人ばかりなので食堂はがら空きですよ。あ、ここがお泊りの3人部屋です。荷物を置かれててください。私、すぐにお父さんに料理作るように言ってきます! 」


中に入ったらベッドが3つ並んでいた…… 狭い…… しかし、まあ清潔にはしてあるようです。特に何も匂わないし、汚れも見当たらないし。これが一般的な宿屋なのかな? しかし州都とか言ってたが、良心的な値段のようですな。ボルちゃん、剣を外しロッカーのようなものにしまいます。ついでに被っていたフードマントも脱いでハンガーっぽいところにかけましたな。あ、ポーチは外さないのね。他の二人も真似してロッカーにかけました。エマさんがドアに一番近いベッドにダイブします。


「ハーーーー、疲れましたねーーーー、おまけにお腹が空きましたーーー、さらに眠気が押し寄せてきましたよーーーー」


お腹減っているのに眠いんかい! 我、青魔法Lv.1覚醒アウェイクをかけます。


【WARNING!WARNING!WARNING!】

【水魔法消滅まであと75!】

【WARNING!WARNING!WARNING!】

【水魔法消滅まであと75!】

【WARNING!WARNING!WARNING!】

【水魔法消滅まであと75!】


「んんん? 急に目が冴えましたよーーーーー、あーーーお腹すきましたねーーー! 食堂に行きましょうーーーー! 」


「どうしたのかな、急に? 」

「お腹が空きすぎて目が冴えたのでしょうか? 」


ドアを叩く音がしていたのに気づいたのはエマさんがベッドから飛び起きた後であった。

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 「それではメインディッシュが来るまで、こちらをお召し上がりください。飲み物は何にされますか? 」


ハンナちゃんを見ながら飲み物を聞くメルジーナちゃん。普通の宿泊客なら今時間だとお酒の注文が多いんだろうなぁ…… で、この突き出しで出てきたのは、果物かな?


「ああ、私とこっちの大きい人にはエールを。小さい人にはハーブティを頼みます。それから従魔には…… 」


ボルちゃんが注文したのはエールだった……


”スネークは何を飲む? ”


”そんじゃあ、我ハーブティを! ”


ハブじゃないけどね!


「ハーブティをお願いします」


んで? この果物は何よ?


「これはミスペルですね」


ミスペル! これがミスペルか! 果物界のホールマウス!


「果物界のホールマウス…… なんだ、それは? 」


種が大きくて、食べるところが少ないというエマさんの説明だったぞ?


「そーそー。よく覚えてますねーーー?」


こんな面白い説明、忘れんわ! 見た感じビワのようだが…… つうかまるきりビワじゃねーの? 我、ビワを食らう! ふむふむ、ビワだな…… 大きな種がありまするな…… 果物界のホールマウス…… 我、ホールマウスは食ったことないがよくわかる例えです……


「ミスペルにしては甘みがあるな」


なぬ? これで甘みがあるというのか? ボルデン!


「そうですね、果汁もしっかりしてますし、採れたてのようです!」


そうなのか? ヴィンデン!


「だけどやっぱりミスペルですねーーー」


やっぱり これはミスペルさ~♪ 少し実のあるミスペルさ~♪


「あ~わかります? これ、うちの庭でとれるミスペルなんですよ! この時期たくさんなりますのでサービスで出しているんです! うちの宿の目玉なんです! 」


あ、そうでしたか…… ホールマウスとか言ってごめんなさい。


「スネークには物足りなかったかな? それ、桃でもどうだ? 」


いや~、せっかくお宿自慢のサービスなんだから、ミスペル(そっち)食うわ!


「あ、お客様、プヒルズィッヒを持ってるのなら、ミスペルなんかいりませんでしたか…… 」


「いや、プヒルズィッヒは従魔の好物でな…… 」


「その蛇ちゃんがプヒルズィッヒを食べるのですか…… 変わった蛇ちゃんですね。うちのミスペルはどうでしたか?」


あ、たいへんおいしゅうございました!


「たぶん、スネークちゃんはミスペル食べるのは初めてなのではないですか? プヒルズィッヒやメローネと比べてはいけないのです! ここのミスペルは甘みがあって果汁たっぷりなのですよ?」


「食べるところは少ないんですけどね」


エマさん、その一言は余計です……


「メルジーナ! 飲み物取りに来てくれ! それと客人よ、サカナは食べられるかい? ここフランクフォートは川魚で有名なんだ。うちもご多分に漏れずメインディッシュは川魚さ! 食えねーと言ってもそれしかないけどな! 」


「ああ、大丈夫だ。みんなサカナは食べられるぞ! ……っと、スネークは大丈夫か? 」


我も魚料理は楽しみなのだ!


「従魔も魚料理を楽しみにしているそうだ!」


「お!そうかい? 4人分宿泊費をもらったが、3人しかいねーな? と思ってたんだ。その従魔の蛇が一人分と考えていいんだな? 」


「こいつは料理もするから、まずいもんだしたら噛まれるぞ! 」


「噛みに来たら、3枚におろして焼いてやるよ! 蛇のかば焼きだ! ガハハハハ!」


「はいお待ちどうさま、エール二つとハーブティ二つです! 蛇ちゃんスネークっていうんだ! 丸々太ってておいしいもの食べさせてもらってるみたいなのに、自分で料理するってどういうこと?」


「スネークちゃんは頭がよくって料理のレシピをたくさん知っているのです。聞けば魚料理のレシピを教えてくれるかもしれませんよ? 」


こら! 我の仕事を増やすんじゃありません!


「へー、すごいね! じゃあご飯食べたらお父さんに教えてくれる? 」


うーん、教えられるようなものがあるといいのだが……


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