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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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フランクフォートの冒険者ギルド

祝! 10万PV越え!

お読みくださった皆様に感謝!



 迷路のような路地をカッポカッポと進んでいきます。ボルちゃんは迷わず進んでおりますが、他の二人はきょろきょろとあちこちを見回してますな。道幅はメルゼブルグより狭いし、何より計画性がない! なんだ? こんなところに三叉路が? ここ、街の中心地?


「いや、中心というわけではない…… 歴史ある街で徐々に街を広げていったと聞く。道もその時々に応じて作ったんだろう。本来街とはそういうものだ。メルゼブルグの方が珍しいんだぞ」


「これはたいちょーについていかないと迷子になりますねー」   


「まああまり長居もしなそうだし、わざわざ覚える必要もないのではありませんか? 」


「それにしてもなんだかおんなじところをぐるぐる回っている気がしますねー」


「すまない、ギルドにつながる道のは入り口がどこだったか……確かこのあたりだと思ったのだが」


ボルちゃんはしっかりと迷っていた…… が、冒険者らしき者どもがある方向からやってくるので、そちら側だろうと辺りを付けて道を進んだ結果、ようやくたどり着いたのだ。なんだか建物の表面をつたで覆われた古い洋館のような陰気な建物だな…… 雨降ってるからそんな感じに見えるのかしら? 建物からは人が出ていく一方で、入る人はおりませんな…… 夕闇時だとそんなものか。馬できてた人はいないようで、馬小屋らしきところには、職員さんの馬かしらね? 何頭かいますが、がらがらでした。適当なところに汗血馬ちゃん達を留めます。おとなしくしてなさいよ…… 馬小屋から続く石畳を歩いていきますと、ギルドの建物に到着しました。さて、はいりますか。


からんころん♪


”たのもーー! ”


入り口を入ると、大広場が目につきますが、そこのソファには誰も座っておらず、受付のところに人が何人かいるだけですな…… 入って左手の方に何やらにぎやかな場所がありますが、あれはギルド常設酒場ですな。ま、屏風のようなものに覆われているので喧騒は聞こえますがこっちの姿は見られません。ボルちゃん開いている受付嬢のところに行きました。


「ギルドマスターを呼んでもらえるか。私はアプフェル王国近衛軍所属ミア・ボルドウィンという」


「ギルドマスターなら先ほど帰宅なされましたが…… 伝言をなされますか? 」


「そうか…… 帰宅されたか。なら明日の朝また来る。ギルドマスターは毎日どのくらいに来られるか? 」


「そうですね、8時には来ておられます」


「わかった。それくらいにまた伺おう。それとだな、私はブレスローから来たのだが、道中ツァオバーべスぺの巣をつぶしてきた。ほかにも狩った魔物があるのだが……今時間帯だと職員もあまりいないかな? 」


「いえ、夜間勤務の者が居りますので…… 大丈夫、だと思います」


「蜂の魔物なのだが、大量にあるのでな……」


「そうですか…… 少々お待ちください」


受付のお姉さんは、席を立つと背面のドアを開け中に入っていった。やや間があって、ドアから肌の色が黒い、アフロヘアーの年配のおばさんが登場した。ファンキーやな!


「オリヴィアさん、こちらのミア・ボルドウィン様が蜂の魔物を大量に持ち込みをされたいそうなのですが…… 」


「ミア・ボルドウィン! あんたがそうかい! 早逃げボルドウィンって言われていたけど、戻ってきたんだね! 」


「私は逃げた覚えはないのだが…… 」


「なに、口性くちさがない連中がそんなこと言ってただけさ! そして減らず口叩いた挙句王里とやらに帰っていきやがったよ。うちのギルマスも頭抱えてたよ。そうかい、帰ってきたかい……で、かえって来て早々、蜂退治してきたと? 」


「こちらの方は?」


「ああ、シンディは知らないかい? 2か月近く前にエルフ族がここにたくさん来たことがあっただろう? そのうちの一人だよ。一度任務に失敗して、特殊任務を授かり東へ出向いたと聞いたんだけど? 」


「極秘任務だったはずですが、ギルドマスターから聞かされましたか? 」


「あっと、そんなこと言ってたね! 悪い悪い。でも、帰ってきたからにはその極秘任務は成功したんだろう? 」


「どうでしょう? 第一任務を成功させるためには必要だと思いますが、極秘任務それ自体は成功したとは言えないと思います」


「…… んんん! まあいいさね。あんたらの里を救うために必要なことなんだね。それで? 蜂の魔物を大量に狩ったというのは? ギルドマスターから国境沿いで蜂の魔物が出ているという報告を2日ほど前に聞いたんだが? 」


「ああ、たぶんそれです。ブレスローで蜂が出たというので退治してきました。そのとき、国境付近にも蜂が出るという話を聞いたので、ブレスローの冒険者ギルドからこちらに連絡を入れる、と言ってましたので」


「そして、道すがら、蜂退治をしてきたわけだね。えらいねー。とっとと出て言った馬鹿どもに聞かせてやりたいよ! 」


「それで、えーとオリヴィア殿? 」


「ああ、あたしの名前はオリヴィア・ノートンっていうのさ」


「ノートン殿、蜂の巣をつぶしてきたのだが、魔物が大量にあるので、こんな時間に出しても構わないのかと思ってだな」


「そりゃ分量にもよるさ。蜂の巣退治ならそれなりに数はあるんだろ?」


「ヴィン、覚えているか? 」


「数を勧請したわけではないのですが、4つの巣をつぶしたので」


「ちょっと待て! ツァオバーべスぺといやぁ、それなりの魔物だよ? 1匹でもランク中位の危険度だ。


群れたらランク上位の下位程度になるんだが、それの巣をつぶした? 4つも? たった三人で? 」


「三人ではありません! スネークちゃんがいます! 」


ハンナちゃんが我を両手で持ち上げます! あ、ども、スネークちゃんでございます! 世界で一番いいおとこ! 好きな色は赤と黒、レッダンブラック! 赤は血の色、黒は罪の色! オレィ!


「時々ご機嫌になるのです! 」


「極秘任務は失敗、というにはあまりにも有能な従魔を借り受けたのです。これなら第一任務を必ず成功させますよ! 」


ボンバーおばさん、我をちらっと見て、なるほどねぇ~ただの蛇じゃなさそうだねぇ~、しかし丸々と太ってるねぇ、ちょっと心配だよ、などとつぶやいてます…… が、心配なのはおばさんの方です。これから大量に仕事するかもしれないのに。


「えと、話の途中なのですが、ちゃんと勘定したわけではないので正確にはわかりませんが、大体1つの巣に女王蜂が1、近衛蜂が3から4、兵隊蜂の中でちょっと大きめの蜂を兵長蜂と名付けましたが、6くらいですね。そして兵隊蜂が兵長蜂を入れて100程度、それに幼蜂が200はいたでしょうか」


「それが4組もあるのかい! またとんでもない狩りをしたもんだね!」


「練兵の一環でな」


「まったく無茶をしたもんだ…… さすがにそんな数は一人ではできないね…… で、あんたらはどうしたいんだい? 丸のままギルドに売るのかい? それとも素材が欲しいのかい? 」


「そうですねぇ…… ブレスローでは蜂のアルコホール漬けというのができましたが、そういうのはこちらでもやれますか?」


「ああ、だけど全部つけるにはちょっと量が足りないかな?」


「ブレスローでは蜂の幼体は巨大な魔道保冷庫に保管されましたが、こちらにそのようなものは? 」


「それなら大丈夫さ!最近は雨ばかりで魚の魔物もさっぱりだからね。むしろ兵隊蜂だって冷蔵できるさ!」


「それと、この街には{川婆かわんば}という人物が魔力ポーションを作っているという話を聞いたのですが」


「ああ、川婆なら女王のスープでポーション作ることができるな! そっちに持っていくかい?」


「そうですね。女王のスープはそちらに持っていくことにします」


「そしたら女王と近衛、兵隊と幼体の素材だね。丸ごと素材を売るかい?」


「そうですね…… 素材を抜いた女王蜂はアルコホール漬けにして、ここの領主と我が国王、あとはギルドマスターに献上することにします。幼体はこちらにすべて売却、兵隊は…… ヴィン、どうする? 」


「そうですね、最初につぶした巣からかなり取れましたので、すべて売却でよろしいかと」


え? 売っちゃうの? 我、ガラス容器たくさん作ったんだけど?


「ああそうそう、従魔が蜂のアルコホール漬け用の容器を作ったので、それを買取してもらっても? 」


「そりゃモノによるさ……」


「スネーク、一つ出してくれないか? 」


あい。んじゃ、女王蜂を入れるのに使うやつね。おぇえええええ! こんなん出ました!


「こ、これが保存容器…… クリスタル製? 」


「いや、ガラスというやつらしい…… ブレスローでは1つ大銀貨2枚で買ってもらえた。これより小さいのもあるが、それは大銀貨1枚だった」


「小さい方を出してもらってもいいかい? 」


おぇぇっ!


「こっちが小さい方かい…… 」


「ああ。大きい容器には8斗、小さい方だと5斗入るそうだ。蜂を入れたら小さい方は4斗だったかな? 大きい方は聞いてなかったが…… 同じくらいは入るんじゃないかな? ああ、女王蜂のアルコホール漬けは私の実家にも送っておくか。あと二人の兄上と姉上の嫁ぎ先にも近衛のやつを送るか」


「…… 数が尋常じゃないね!そしたら蜂の子と兵隊蜂だけ先に出しとくかい? あとはまた明日……明日も来てくれるんだよね?」


「あの、オリヴィアさん。一旦全部出してもらっても構いませんか? そうしないと討伐証明ができませんので! 」


「ああ、そうだね。シンディの言うとおりだ」


「あ、申し遅れました、わたくしフランクフォート冒険者ギルドの受付担当をしておりますシンディ・アンと申します。それではボルドウィン様、よろしくお願いします」


「シンディ、聞いた話だと解体室ではスペースが全然足りないみたいなので倉庫の方で作業するのだが、お前さんも手伝ってくれないかい?」


「わかりました。残業になりますが、良い経験だと思いますので見せていただきます」


ボンバーおばさん、全員を解体室へ連れていき、そこから外に出ました。外に出る前に我、ガラス容器を回収します。近くの倉庫に行くというので、ボルちゃん達は馬を引き連れあとをついていきました。


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