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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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樹人族のオーレア

丑三つ時の投稿・・・



 雨の夜。暗闇の中、我の光を頼りに灌木かんぼくが生えている坂道を下りたり上ったりすること数分。時々思念体が我らの方をチラ見する…… ちゃんと付いてきているか確認してるのかな? 心配性やな。目的地に着いたのか、思念体とやらが動くのをやめた…… 見ると目の前には直径30㎝ぐらい?の大木というには線が細く、若木というにはそこそこ育った1本の樹木があった。これがラウルス・ノビリス? そんなに伸びとらんな!しかし、この葉っぱはどこかで見た気が…… 


この葉なんの葉気になる葉~♪

みんなが集まる葉ですか~♪

みんなが集まる~気になるでしょう~♪


ボルちゃんがさりげなく蒼天を出している…… イタチ・ふしぎ発見か?


「お招きを受けてくださいましてありがとうございます…… 私がオーレアの本体です……」


見るとボルちゃんの目の高さに、顔が浮かび上がっている……ひーーーー! ホラーや……


「申し訳ありません…… しばらく人型になっておらず、しかもこの長雨で、移動するにも光力が足りなくなって、このままでは立ち枯れてしまうところでした…… 」


ひかりちから! ちからみずっぽいな! 


「スネークよ、様子が暗くてわからないから、もう少し明るくなってみてくれ」


あいあい。我、光魔法のLv.2でもう少し光る範囲を広げます! ふむふむ、なんだか黒いものが葉っぱにまとわりついておりますな…… これがエマさんの言っていたスス病ってやつか? なるほど、確かにすすっぽいな。これを取ればいいのか?


「それは結果であり原因ではありません…… スート・ファンガスはシンメルですので一度そうなってしまうともう元には戻らないのです……葉を落としてしまうとさらに光力を得られなくなり、我らは立ち行かなくなります…… 」


ボルちゃん、さっきから言ってるシンメルってなんだ?


「シンメルか…… スネークが桃を食べる。食べかけてどこかへ行って何日も放置したとする。戻ってきたとき、何やら白いふわふわしたものが生えていたことはないか? それがシンメルだ」


桃を食べかけたまま放置することはあり得ないのだが…… それはいい。シンメルとはカビのことですな! なるほど、それなら我の光魔法が有効ですな!


「あのような乾燥魔法を使えるのであれば、私たちの表面を乾燥させてもらい、シンメルを滅することができるのではと思いまして様子をうかがっていたのです。幸い、私の思念体が届くところでお泊りになられましたので、こうしてお願いに上がった次第です! あと…… 」


ん? まだなんかあるのか?


「そちらの蛇様はなぜ光っておられるのでしょう? 光魔法の使役手なのでしょうか? 」


おうともさ!…… あれ? 返事がなくなりましたな?


「…… 思念体が実体に戻ったことで思念とやらが使えなくなった、といったところか? 乾燥魔法も光魔法もこの蛇が使っている」


ひかえーい!こちらにおわす方をどなたと心得る!ってやって欲しかった……


「ヒカエーイ、コチラニオワスカタヲドナタト、ココロエル。 その先はあるのか? 」


いや…… もういいっすよ……


「なにをおっしゃっているのですか? 」


「いや、スネークがこう言えと言ってきたのでな? 意味は分からないがとりあえず言ってみた」


何気ない会話をしていたら、オーレアさん、驚いた顔をしていた。


「その先は、”オソレオオクモサキフクショーグン、ミトミツクニコーデアラセラレルノダゾ! ズガタカーイ”であっておりますでしょうか? 」


「そうなのか? こういう時はヴィンがいてくれた方がよかったのだが?」


”なぜ、それを知っているのだ?”


「合っているのか? スネークよ?」


”あってるちゃーあってる…… つうか、なぜそれを知っているか、聞いてくれ! ”


「なぜそれを知っているのか、スネークが知りたいそうだが?」


「私の先々代…… おばあちゃんがお世話になった方々が宣っていたそうです」


「もしかして…… 」


もしかすると?


「ヴィンがときどき言っている、伝説の勇者達の話か? 」


”伝説の勇者達、が何なのかはわかりませんが、その昔お世話になった基本人族さんのお話です。あの、スネーク様の魔法を使っていただいても宜しいでしょうか……? ”


ああ、めんごめんご。急に懐かしいネタが出てきて驚いただけです。それでは、


”光魔法Lv.4滅菌ステリリゼーション


同時展開! 唸れ、我の金魔法!


”金魔法Lv.1 抽出”

“ン デデデデーン”

“なにからなにを抽出されますか?”

えーと、この木の表面についている黒いものを取っ払って

“テ・テ・テ・テーン“


青白く光る我。同時に黒いものが見る間に小さくなっていく…… ぽろぽろ落ちているのかな? 一応念のため、木の周りをぐるりと回りながら魔法を続けまして、ジャンプして木の上に登って隅々まで見て回りました。黒いものに覆われていたところはなくなりましたな…… ちょっと萎れているようですが…… これでええか? 青白い光から通常の光に戻しました我。


「終わったそうだが、これでよろしいですか? 」


「周りの木々にもお願いします…… この周りは我らの仲間ですので…… 」


えーと、周りの木々ってどこまでが仲間なの?


「私がご案内します…… 」


そういうと、オーレアさん、再び思念体として登場!


”まずは一番近いのがヴァリエガータ…… その向こうにいるのがアングスとティフォリア…… みな私の兄弟ですね…… ”


案内されたところに行ったら、枝がわさわさと揺れました。見たまんま木やな? どの辺が樹人なんだろう? そんなことを思っていたら


”ちょっと弱ってしまったので、人型になることができませんでした…… このように長雨になるとは思わなくて移住の決断が遅れたばかりに…… ”


”そんなにここが住みよかったのか? ”


”はい。こちらは日当たりもよく、なおかつ地形の関係で降った雨がよく集まってくるところでしたので…… この長雨でいったん避難も考えていたところ、スート・ファンガスにやられてしまいました…… ”


そう言えば、ビローン音が鳴らなかったな…… スート・ファンガスって魔物じゃなかったのか…… 我、案内されたところに行っては金魔法と光魔法の同時発動をしていった。


”次が、こちらにある大きな木です……シナモマム・カンファーラ…… ”


でっけー木だな! これ、クスノキじゃねーの? 我、ジャンプして一番近くの枝まで飛び上がり、そこで光魔法+金魔法の合わせ技を放ちます。ああ、なんだか気持ち良さそうなのは伝わってきますな。さわさわ木立が震えておりますよ。決して雨が降っているからではありません。何本かその周辺にある木にも飛び移り魔法を展開。


”そして、その奥の木たちです…… シナモマム・ヴェルム…… ”


何やらいい匂いがしますなぁ…… おっと! 光魔法+金魔法のコンボや! あとは? 


”以上で全員です…… 本当にありがとうございます”


「先ほど、私の仲間が言っていたのだが、虫除けをしないと症状が取り払われただけでは意味がないそうだ。また明日こちらに来てもいいか? 」


”はい……それでは日の出を迎えましたなら、その時にお邪魔をいたします。本当にありがとうございます…… ”


「なに、スネークの趣味だ。気にするな! 」


え? 誰かを助けるのが我の趣味? 



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