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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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夜間の訪問者



 食事を済ませたころには辺りはすっかり暗くなり、雨が地面や木々に落ちる音だけが聞こえる。水魔道具から出した水は風呂釜一杯になっていて、そこで水の出は終わっていた。3石……600Lぐらいでたのかな? 確か水袋に水を4L詰めるのに大鉄貨1枚…… と誰かが言ってたよな…… この魔石一つで大鉄貨150枚の価値があるのかな?


「魔石だけだとそれほどでもないさ。魔道具がなければただの石だからな。スライムの魔石は2個で大鉄貨1枚と言われなかったか?」


そう言えばポルちゃんが言ってたような…… すげー価格差だな! 搾取レベルだ! 


「そうだな。だから冒険者たちは金を貯めて水魔道具を買おうとするのだ。そしてみんなが欲しがる結果、魔道具の値段が上がる…… 水魔法が使える奴が仲間にいればそんなことはないのだがな。スネークが従魔になる前は、ヴィンが水を出してくれてたからあまり必要としなかったのだが、水魔道具が手に入ったからには取っておくのもいいかもしれない。それか、ヴィンとバウアーのギルドランクを上げるのに使ってもいいかな」


「私はどっちでもいいですよ」


「同じくーー!」


蜂討伐でランクあがりそうだからわざわざスライム魔石をギルドに提出する必要はなくない? それより水が一杯になったから銭湯ならぬ、お風呂にすれば? 我、一番に入って水をお湯に変えるのだ! 火魔法Lv.6火纏メンブランスフレーム! 全身に火を纏ったまま水の湯船にザブン!顎だけ湯船の縁において水がお湯になるのを待ちます…… ジワリと温かくなって…… 程よい熱さのお湯に代わりました。熱すぎたらもう一つ魔石をセットして水を出しなせい! 我はもうお湯をいただきました!

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 風呂から上がりすることもなくなったので、テーブルの上で伸びていた我……ハンナちゃんが1番にお風呂に入り、次にエマさん、最後にボルちゃんとなったらしい……どうでもいい情報や! 灯りは欲しいので薪は焚いているが、ちょっと暑いですな……外気は湿気ているし…… 索敵でもやる? 我、ドアの前に立ちます…… 何か気配が……


「スネークよ…… 」


ボルちゃんも感じるらしい。全神経を研ぎ澄ませてみる……


”…… お願いします…… 私の話を聞いてください…… お願いします…… ”


ぎゃーーーーーーー! おばけーーーーーーー!


「待て、スネークよ。それは念話だ! アシアティカ様とお前で話をしていただろう? あれだ! ドアを開けるぞ! 」


ボルちゃんがドアを開けると……そこにはうすぼんやりした白い女性が立っていた……


やっぱりおばけーーーーー!


”おばけではありません…… ありがとうございます…… 話を聞いてください…… ”


「その前に聞くが、あなたは精霊で間違いないか? 」


”はい…… そのようなものですが…… 少し違います…… 私は樹人族の思念体…… ” 


ジュジンゾク? なにそれ?


「ふむ…… 樹人族とはまた珍しい。とりあえず中へ入られよ」


<草>ではなく<樹>の方が来た!


”入り口をこのままにされれば入られるのですが、それでは灯りが漏れてしまいましょう……ここで話をしてもよろしいでしょうか……”


「わかった。あなたの名は? 」


”オーレアと言います…… ”


俺の名前はオーレア!  


”ラウルス・ノビリスが種名です…… ”


「マルス・プミラ様とは別の精霊なのですか? 」


”いえ、先ほども申した通り、私は精霊ではなく、思念体…… マルス・プミラ種は精霊となっておりますが、我らは精霊ではなく思念体…… ”


「違いが判らないのだが…… 」


”それは樹人族が人であるからでしょうね……私たち、一応は人族ですので、精霊にはなれません。たまたま、技能{思念体}が使えたので……”


人なら歩いて来ればよかったのに。


”歩けるほどの体力が残っておりませんでした…… ”


「それで、何用なのでしょう? 」


”雨ばかり降っているこの地に、これほどの乾いたところがあることを見つけました…… あなた方なら私たちを救うことができるのではないかと…… ”


「具体的には? 」


”この長雨のせいで、私たちの体に悪しき者たちが取り付いております…… それらを取り払ってほしいのです…… ”


悪しき者たち? もしかして、キノコか!?


「マギ・ファンガスというやつですか? 」


”いえ、マギ・ファンガスではありません…… もっと小さきもの……スート・ファンガスというものです”


ファンガス! キノコと違うのか? いやー名前が似てるからと言って混同するのはいくないですね!


”これらに取りつかれると、黒い粒子が私たちを覆い日の光の恵みを受け取れなくなってしまいます…… ”


ファーーー、いいお湯でした! 深刻な話をしている最中に、能天気な声が聞こえてきた。それではエマさん交代の時間ですよー! ちょっと待ってー! と、エマさんの声が聞こえたかと思ったらこっちにやってきましたよ?


「それはたぶんスス病だと思われますよー? シンメルの一種なのですが、シルドラウスという虫を避けないとまた病気に侵されてしまいますー」


うわわ! なんだか詳しい人がいた! どうしたらそのなんとかという虫を避けれるの?


「えーーー、虫除け作っておきますから、その間にスネークさんと隊長は様子を見に行かれてはーー?」 


「そうか、それではそちらは任せる。行ってみるか!」


こうして、夜の暗闇に我とボルちゃんは道案内の思念体の後をついていった…… 夜に灯りはないので我がライト代わりに発光するのだ!



本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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