凄惨な清算
ちょっと書けてしまったので……
ガラス容器が冷えるのを待っている間に、銭の勘定をやっておきましょう。
「えーと、まずはこちらの買取りの確認な。女王蜂の本体と魔石。近衛蜂の本体と魔石がそれぞれ3体。兵隊蜂丸のままが30体。幼蜂が203体。魔犬が8体。うち3体は損傷がひどいっと。あと、従魔が作った保存容器の大きいのが4つ。小さいのが90個を買い取り。これでいいか?」
「ああ、それでいい」
「あとは、こちらのアルコホールが、うーん、これどのくらいはいるかなぁ……一瓶5斗ぐらいか? 」
「詰めてみればわかるさ。解体した兵隊蜂を入れて…… 中に入れてもらってもいいか?」
アルコホールの入ったでっかい容器がそこにはあった…… これ、絶対魔道具だよな! 我が作ったのと似ている! そこから1斗壺に液体を詰めていきましょう。1斗壺が満帆になりました。
「これでいっぱい。まだまだ入るな。おい、お前ら。一途壺にアルコホール入れてこい! 」
「お頭! トロワのやつが、酔っぱらっちまったよーです! 」
「なにーーー? トロワって下戸だったのか? にしても弱すぎー! あと、お頭って呼ぶなって何度も言ったろーがーーー! チーフと呼べー!」
「「へーい!」」
作業員さんが測ったところ、小さい容器に蜂を入れた後にアルコホールを詰めると4斗入ったそうだ。
「そんじゃあ、4石分のアルコホール代は差っ引いとくな! あとは、運賃な。メルゼブルグまで8壺分を運ぶんだな! 」
「ああ、2壺は使わせてもらう」
「そしたら一壺につき銀貨1枚がメルゼブルグまでの輸送量だ。あて先は?」
「領主のところと冒険者ギルドの隣のホテルあてに半分ずつ。手紙を書いておくからそれも添えてくれ」
「それでは勘定いくぞ?
買取品 女王蜂の本体1 銀貨6枚
魔石1 銀貨4枚
近衛蜂の本体3 銀貨4枚×3=銀貨12枚
魔石3 銀貨4枚×3=銀貨12枚
兵隊蜂の本体30 銀貨1枚×30=銀貨30枚
幼体蜂の本体203大銅貨1枚銅貨5枚×203=銀貨30枚大銅貨4枚銅貨5枚
保存容器(大)4 大銀貨2枚×4=大銀貨8枚
保存容器(小)90大銀貨1枚×90=金貨9枚
魔犬(上質)5 大銅貨8枚×5=銀貨4枚
魔犬(低質)3 大銅貨3枚×3=大銅貨9枚
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小計) 金貨9枚大銀貨8枚銀貨8枚大銅貨13枚銅貨5枚
必要経費
アルコホール4石 1石銀貨1枚×4=銀貨4枚
輸送量 ガラス容器(中身入り)1個銀貨1枚×8=銀貨8枚
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小計) 銀貨12枚
合計) 金貨9枚大銀貨8枚銀貨86枚大銅貨17枚銅貨5枚
ふむ、銀貨86枚は大銀貨8枚と銀貨6枚だから、大銀貨は16枚になりますな! すると
合計は金貨10枚大銀貨6枚銀貨6枚大銅貨13枚銅貨5枚となりますよ!すると銀貨7枚大銅貨3枚銅貨5枚です。
「……と、うちの従魔が言っているぞ!」
「ちょっと待ってくれ……銀貨10枚が8組あるから大銀貨が8枚になって…… 前にある大銀貨が8枚あるから……大銀貨が16枚? そうだな、16枚だから…… 金貨が1枚大銀貨が6枚…… すげー! 従魔さんすげーな!」
いや、特にすごくはないのだ。
「それでは金貨10枚大銀貨6枚銀貨7枚貰おうか、端数はそちらの手間賃だ! 」
「聞いたかお前ら! こちらのおねーさんが、お前らに今日の飲み代を下さったぞ!」
「「「あざーーーーーっす!」」」
なんだ、このノリ?
「それではこちらの清算シートを受け取っていただいて、端数はこちらにいただけるということで!」
「それでは、ヴィン、代わりに手紙を代筆してくれ。内容は、こっちで健康に良いものを手に入れたので領主閣下とホテルオーナーに送る、と」
「わっかりましたー。お任せあれ!」
「私は清算してくる。ヴィンとバウアー、ギルドカードを預けてくれ」
ボルちゃんはハンナちゃんとエマさんからギルドカードを受け取ると、受付へ行った。我もついていくべし!
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ボルちゃん、受付で清算シートと3人のギルドカードを出しまして待つことしばし。
「おめでとうございます。エマ・バウアー様とハンナ・ヴィンデルバンド様のランクが4に上がりました。ミア・ボルドウィン様はもう一度今回と同程度の討伐をなされますとランク6になります」
「そんなに簡単に上がるものなのか?」
「はいー!脅威度の高い魔物をたくさん討伐なされましたので! 1日の討伐数はブレスローの新記録だと思いますよ! それと精算金を受け取られましたらギルドマスターのところへ行かれてください」
ボルちゃん、ギルドカードを受け取った後、清算カウンターでお金を受け取り、小銭をムキムキおじさんに渡しまして、ギルドマスターのところに行きます。
「ボルドウィンかい、はいりな」
「さて、もう用はないはずだが?」
「端的に言うよ? お前さんあのガラス容器とやら、あといくつ持ってる?」
「あれが欲しいのか?」
「ああ。あれは王家への献上品にできるくらいの逸品だ。女王蜂のアルコホール漬けはもう献上することにした。あと3つのうち一つはここの領主へ送ることにする。小さいのはそうさな、貴族どもにでも売ってやるかい!けっへっへっへ! 」
「まあ、どうしようとそちらの勝手だがな」
「辺境領でつい最近宝玉を使った酒杯が売りに出されたそうだ…… あれはお前さんたちの仕業だろう? 」
「さて、なんのことやら?」
「なに、面倒なことにはせんさ。うちではあのガラス容器をつくってくれないかい? 」
「数は? 」
「そうさねぇ、でかいのが100、小さいのが500もあればいいかね?」
「金は用意できるのか? 大きいのは大銀貨2枚出してるぞ? 小さいのでも1枚だ」
「ま、そこそこ金は貯めてるからね。大金貨7枚程度ならすぐ出せるさ」
「ギルドとやらは金を貯めるのに容易なのだな」
「町を守るためには多少は蓄えとかないといけないものさね。それにこれだけ使ってもちゃんと元が取れるからな。しかも大黒字で元が取れるわさ!」
”どうだ、スネーク?”
”いいんじゃねーの? ここで金を稼いで、フランクフォートで物資を整えればいい”
「わかった。でかいのが100個、小さいのが500個だな。それではここで料金を受け取っても?」
「それ、大金貨7枚じゃ! それでは行くかの?」
「言っておくが、どうやって作ったかは口外するなよ?」
それじゃつくりに行きますか!
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……こうやってガラス製の大きな保存容器が110個、小さな保存容器が550個ができました。1割はサービスです。一応ガラス製なんだから衝撃には気を付けなはれや! 耐熱ガラスにしたから多少は割れにくいと思うけども。ハンナちゃんの書いた2通の手紙とともに蜂のアルコホール漬けがメルゼブルグに送られることになりました。用が済んだのでこの町ともお別れですね。さっさと馬に乗り町を出ますよ。門番さんに従魔証のスカーフを返してサヨナラです。
「この度は町の危機を救ってくださってありがとうございます。それと……個人的にも子供達の危機を救ってくれてありがとうございました」
なんだ知ってたのか。知ってて見逃していたんだな。
「彼らの知り合いか?」
「ええ、あなた方が通ったら剣のお礼に渡してくれ、と言っていました。いい子達でしょう?」
渡されたのは乾燥した草……あの子らが採取していたハーブですな? ネッセルって言ってたっけ。
「わかった、ありがたく受け取っておく。ちゃんと訓練して死なないように頑張れ、と伝えてくれ」
「はい」
簡単に返事をすると、すんなり通してくれた。それじゃ、再び出発です。目指すはグラニーラムゼースミスの里。西へ西へ。行く手には黒い雲が現れていますよ!
とりあえず
お読みいただきありがとうございました。
もう本当に寝るorz




