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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第1章 大きな神樹の木の下で
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我、エルフさんに驚かれる



昼なお暗い森を抜けると、そこは雪国・・・じゃなかった。少し見晴らしの開けたところに森のなかとは樹種の異なる木が生えていた。木と木の間には我が植えた、食べられる植物や、多分食べられるけど名前がわからない植物があった・・・エルフさん、さっそく植物トラップに引っかかってらっしゃる。


「な・・・なぜここに魔霊草が群生している・・・あ、あちらには神霊草が・・・、向こうにはマヒマヒの実が・・・なんだ、ここは?あっ、あれは世界樹の若木ではないか!むむ!向こうにも若木がある!」


狂ったようにそこらを動き回るエルフさん。ウサギさんはそこら辺の葉っぱをもしゃもしゃ食べだした。あー、また寝ちゃったね。ポカポカ陽気だし、そのまま寝かせておくか・・・しかし、エルフさん、貴様はだめだ!貴様は許可しない!我、エルフの背中にボールジャンプ!


「う・・・済まない。つい、夢中になってしまった。まだ先があるな、行くぞ!」

イクゾ、じゃないだろ?まったくもう・・・坂の頂上見えてるでしょ!あそこまであとちょっとなんだから!


 頂上に近づくにつれ、エルフさんが言う。


「まさか、まさかとは思うが・・・」


そのまさかでございます。頂上に連れて行った我、エルフさんが枯れた巨木の前で呆然と立ち尽くしているのを見ました。


「枯れてる・・・なぜ?・・・これで私がここに来たことは無駄足だったのか・・・」


へなへなと座り崩れるエルフさん。何が目的だったんだろう?赤い実かな?光の実かな?あとは、神樹さまの樹液?あ、我がもらった火結晶かもわからんな。座り込んでるところ悪いんですけど、もうすぐ日が暮れますぜ。まあ、とりあえず、落ち着きなはれや。我、ぴょんぴょん飛び跳ねる。エルフさんは起き上がり、その辺りを見て回る・・・我のつくった水たまりを見てびっくり。


「こ、これは何だ?ただの水にしてはただならぬ魔力が感じられるが・・・世界樹のつくった水なのか?」


いいえ、我が吐いた水です。

エルフさん、ポーチから瓶を取り出し一掬い・・・飲んでる!


「やはりミドルポーション・・・しかも、魔力・体力両方が回復する、ダブルポーション・・・こんなにたくさん!これはもらっていいか?」


何にも言わないうちに、エルフさん瓶をたくさん取り出して掬っていく、掬っていく、掬っていく・・・おい、これが目的なのか?ところでその水より樹液の方がうまいのだが・・・

我、エルフさんに体当たりして、神樹さまの根っこまで来てもらう。


「せっかく来たのに枯れていては話が聞けないではないか・・・まわりの若木たちではまだ精霊状態にはなれないだろうし・・・枝でも貰っていくか・・・おい、いいか?」


まあ、枝位ならいいけど・・・というか、気になる情報をおっしゃいましたね?神樹さまの女神様は精霊状態だったというの?我、ひらめいた!ピコーン!我、一番近くの若木を緑魔法Lv.4でおおきくしてしまえばいいんじゃね?魔力が足りなくなったら神樹さまの樹液を飲めばいいんじゃね?ああ、神樹さまの遺言通り、いったん燃やして燃え殻を肥料にしなきゃならないから、うろの中の樹液、抜いといたらいいんんじゃね?


我、土魔法で大きな穴を空けて池にする。無論地面にしみこまないように底や横を石にするのも忘れない・・・あとは・・・土をこねてといを作っていきそれを石にする・・・完成したら、神樹さま、ごめんなさい!礫弾ストーンショット!うろの底と思われるところにつぶてをあて、穴を空ける・・・樹液が樋に流れ出し、新しく作った池に流れ込む・・・木の上で大きな枝を切っていたエルフさん、枝を持って降りてきた。


「お、お前、何やってるんだ?・・・これは世界樹の恵み・・・こ、これも分けてくれ!」


新たにポーチから瓶を取り出して、また瓶の中に入れている。こちらの方が価値があるのかね?まあ、そうでしょうね、我、効果を実証済みですから。


全部流れ出すのを待ってたら宵が訪れた。ウサギさんはどうしたかな?まだ寝てるので穴を掘って土をかぶせ頭だけ出しておいた・・・我、完全にお母さんやな!


 エルフさん、我の作った火魔法練習ハウスで暖を取り出す・・・あ、火は我がつけてやりました。エルフさんのポーチはなかなか便利なようで、大きな枝もすっぽり入っていった。今は、お湯を沸かすなべを出している。そろそろお晩飯の時間かな?何を食べるんだろうと思ってたら、下で拾ってた栗だった。あれを湯がくのね。そう言えば、桃と柿もいでたな。あれ、ウサギさん用・・・


「しかし今日は驚かされっぱなしの一日だったな・・・アナーキンラビットがまよまどわしの森にいたかと思えば、デブヘビが魔法を使ったり・・・迷い惑わしの森を抜けたと思ったら世界樹が群生したり・・・目的の世界樹が枯れていたり・・・あー、王になんといえばいいのか・・・。お前はなにも食わないのか?」


コクコク。我、朝に食ったから大丈夫。


「それにしても、どうしてお前はここに住んでいるんだ?お前は一体何なんだ?世界樹と何か関係あるのか?私が・・・もっとレベルが高ければお前と話せるのに、お前は私の話が分かるようだが、そんなにレベルが高いのか?」

どうなんでしょう?ステータス魔法が機能してないのでわかりません。


「あー、もう今日は疲れた・・・ここは魔物はでるのか?一応、魔よけのお香をくが、気になるようだったら別の場所で寝るが、いいか?」

エルフさん、魔よけのお香とやらを焚いたが、我、特に問題なし。我、魔物ではないと言われたし。我、じっとしてた。


「変な奴だな、お前・・・」


また変って言われた。我、変じゃないよ。


「私はもう寝る・・・あとはまかせた・・・」


あーおやすみなさい。我の夜はこれからだ。







我の夜はこれからだ!


今宵はこの辺にて。お読みいただきありがとうございます。

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