ボルちゃんの新武装・蒼天の威力
あと一話、いけるか・・・?
南側の斜面にはさっきの3人しかいないようです。我々が使った街道は緩やかな丘の稜線だったようで、蜂たちはそっちにはいませんでした。東に向かうところで止まってた気配があるが、もしや蜂たちにすでにやられた冒険者なのでは…… そちらの方に気配を消して我とボルちゃんで移動します…… もうすぐですね…… 前方30m…… プププププ…… 蜂の羽音が聞こえますよ! 寝起きドッキリのように声を潜めて会話……する必要なし! だって額金通信がありますけん!
”蜂が獲物を食らっているな…… やられたのは冒険者だろうか? ”
”たぶんな、まだ生きているかもしれないので慎重にいこう! ”
”わかった、蜂の数が問題だな…… 我、様子を見てくる。ボルちゃんは蒼天に魔力を込めておいてくれ! ”
”了解! ”
ボルちゃん背負った剣を抜き、気配を消したまま魔力を込めだした。我は、こっそり風下から近づき様子を見る…… 蜂がひぃふぅみぃ…… 10匹いますな! 食ってるのは犬の死骸でした! 冒険者じゃないじゃないか! あっ! 今ので気配が漏れたのか、気づかれた! 念のため、風魔法Lv.4空気壁でドーム状に覆います!
”ボルちゃん、見つかった! 蜂は10匹だ! 食われていたのは野犬3匹! 風魔法で閉じ込めに成功した!”
見ると、蜂たちは空気壁にくっついて動けないようだ。動かなければこっちのもんや! 行くぞ、風魔法Lv.10鎌鼬! 一番近くでもがいていた蜂を切り裂くことに成功! びろーん。次は、と思ってみてみると、何やら空中を飛ぶ小動物! なんや! 新手の魔物か? 見ていたら蜂を次々に鎌で切り裂いている…… 空飛ぶイタチ? 我が呆けているうちに、イタチは全部蜂を狩ってしまった…… 何いまの? ボルちゃん! 新手の敵だぞ! おい、どうした!
”スネークちゃん、大至急! ”
”どうしたハンナちゃん! ”
”たいちょーが倒れています! ”
なーにー! やっちまったなー! さっきの魔物か!? 我、急いでさっきのボルちゃんのところに戻ってみると、ボルちゃんがぶっ倒れているところにハンナちゃんが様子を見ています。エマさんはおろおろしていますな!
”ヴィン…… 私の…… ポーチから…… ”
「隊長、意識はあるのですね! 」
”早く……気を失う前に……ポーションを…… ”
「わかりました。失礼します! 」
ハンナちゃん、ボルちゃんの手を取り、ボルちゃんのポーチの中に手を突っ込ませる。ボルちゃんはかろうじて残っている意識を振り絞ってポーション瓶を取り出したようだ。ハンナちゃんがそれをゆっくりとボルちゃんに飲ませる。全部飲み干した後、こと切れたように動かなくなった。
「どうやら眠ってしまわれたようです。これからどうしましょうか?」
うん。とりあえず、蜂10匹やっつけたから回収しときました。それと新手の魔物がでたよ? イタチが空中飛んできて蜂をズバ切りしてった。あと、冒険者がやられてたと思ったら犬の魔物がやられてた。以上です。
「そうですね。状況はわかりました。ここは速やかに撤収した方がよいですね」
犬の魔物はどうしよう? 蜂たちの食事になってるようだから回収しといたほうがいいと思うけど。
「虫寄せ香の代わりになるんじゃないですかね~、ここに置いておいたら蜂さんたち気づくんじゃないですか? 」
「…… うう、虫寄せ香をここで焚いてある程度蜂をおびき寄せた方がいいかもしれないな…… 」
「隊長、気づかれましたか! 」
「ああぁ、まだ頭がくらくらする…… なんだあの威力は! 思いっきり私の魔力を吸い取られたぞ……」
……やっぱりさっきのはボルちゃんの風魔法だよね……
「どうした、スネーク?」
なんだかイタチが飛んできて蜂を切り裂いていったのだ! 9匹いっぺんに切り裂いてしまったのだ! アレ、ボルちゃんの鎌鼬だよな! モノホンのイタチが出てくるなんて聞いてないよ!
「……イタチ…… とは?…… 」
ああん! イタチってのはネコみたいな小動物でネズミの天敵や!
「小動物が、出てきた……だと? 」
見てないんかい! 我はちゃんとこの目で見たで! あれはまごうことなきイタチやった! 色はなんか透明だったみたいだけども!
「いや、見てはない…… 剣を振りかぶった瞬間に意識が遠のこうとして、かろうじてこらえたのだ…… そうか、小動物が……ははは 」
おっ? 気でも触れたか?




