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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第1章 大きな神樹の木の下で
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我、エルフさんは腹黒種族なのかと疑う



 我の青魔法でしびれが取れたエルフさん。我、落ち着かせようとして,桃を勧める。エルフさんは桃を手に取ると、じろじろと疑わしげに見てたが、さきほどウサギさんが爆食いしてたのを見て意を決したようだ、パクッ!


「あまーーーーーーーーーーーーーーーい!」


え?そうなの?そんなに甘くはなかったと思ったのだが・・・。エルフさん、あっという間に食べ終わったので、我、桃の枝に飛び跳ねて、赤くなっているものを取ってくる。ウサギさんは満足したのかうろの木に横たわって惰眠をむさぼっていた。エルフさん、我から桃を受け取るとかぶりつきながら、桃・栗・柿の木を見上げた。


まよまどわすの森には、このような人が食べられる実がなる木は生えていないと聞く・・・貴様がやったのだろう!」


片手で桃を齧りつきながら、片手で剣を探している。剣は預かっておいて正解だった。


「貴様、私の剣をどこにやった!?返せ!」


丁重に預かっております。返したら、襲ってこない?我、首をひねる。それと、お礼はどうなったの?クレクレお礼。


「ふん、私が丸腰と思ってあなどっているようだな・・・好都合だ・・・」

おいおい、丸聞こえだよ、我、あーたの言うこと、わかってるんだからね。嘘じゃないんだからね。ホントなんだからね。


 エルフさん、懐からなんだか光る石を取り出して、何やら語りだした。


「風よ、風よ、が祈りを聞き、願いを叶え給え。願いを叶えた暁にはわれ魔力マナが願い満たすだけ受け取り給え。風よ、風よ、が刃となってわれにあだなすものを、」


話なっげーな!


「切り裂け!鎌鼬かまいたち!」



 片手で石を持ったまま、空いている片手の手の平を我の方に向けたと思ったら、ひざがカックンとなった。手の平、我とはあらぬ方向へ向かい、その方向に風切り音が向かった・・・シューン!バサバサバサ・・・ガガガガッ!!!風切り音とともに広場を囲む木々が倒れていく・・・これ、魔法ですな!すごい威力や!我、冷や汗たら~り!エルフさんを見ると、口をあんぐり開けている・・・


「くっ、今まで狙いを外したことなどなかったのに!どうして?」


もう一度、呪文を唱え、


「鎌鼬!」「鎌鼬!」「鎌鼬!」「鎌鼬!」「鎌鼬!」

 何度やっても我の方向に手の平が向かない。あれ(どじっこの呪い)が聞いてますな!朽ち木の広場は丸い形から楕円のようになっていった・・・


 呆然とするエルフさん。弓矢の時と同様に、魔法の間隔がだんだん長くなってきた。さて、我はどうしますかね?ぴょんぴょん跳ねながら考えると、エルフさん、我の方向に向き直り

「申し訳ありませんでしたーーーーーーーーー!」


それは美しいジャンピング土下座だった・・・けど、許さん!

エルフさんには赤魔法Lv.2麻痺をかけ、そのうえで足の上に平らな石を置く・・・


「くっ・・・こうなっては是非もなし。殺せ!」


いだたきました、星三つ!くっころ発言ですーーー!殺しませんけどね。大体、謝って来るやつは殺されることは望んでない。何か目的があって、自尊心を曲げてでも自分の命を助けようとするもんだ。我、しばらくエルフさんを観察していた・・・


「このまま私はヘビに捉えられて慰み者にされた挙句、苗床にされてしまうのか・・・」

ちょっとちょっと、そんなことしませんがな。


「王との約束も果たせない・・・無能者をお許しください」

涙を流している。あの涙は本物ですな。女の涙はほぼ嘘だけど!


ふーん、なにか事情がありそうですな。ちょっと石を取って話を聞いてみますか。話してくれたらだけど。我、青魔法Lv.2回復をかける。痺れの取れたエルフさん、たちあがった。


「ム!貴様、どういうつもりだ?」


我、エルフさんの頭に丸々ボディをぶちかます。エルフさん、片手に持っていた石を離してしまう。石は薄水色をしていた・・・これ結晶石じゃね?風結晶だ!お礼してもらってなかったし、これ、イタダキ!


パクリ!


「あっ!」


すっぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!


口が梅干し食べたときのようにすぼんでしまった・・・


「返せ!こら!」

我ののどを締め上げるがもう遅い。飲み込んでしまったよ。


“テロリン”

“風魔法Lv.1”


来た来たーーーーーーー!


“風魔法Lv.1 そよ風が吹く”


よっしゃ!確かめてみましょ、


微風ブリーズ


 そよそよと我からエルフさんに向かってやさしい風が吹いた^^。

「あーーーもうだめだぁ!世界樹のところにはたどり着けないし、風結晶は奪われていしまったし、もうおしまいだ!」





ん?この人、神樹さまのところに行きたかったのかね?もう枯れちゃったんだけど・・・







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