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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第3章 風の谷、ナウ危機!
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髭おやじがお詫びの品を持ってきていた



 さて、そろそろここの用事も佳境ですな。冒険者ギルドの三人娘+1がデザートを別腹注文してやがってました。それ食うと昼食代で銅貨1枚は飛ぶぜよ!


「あー、従魔さーん! 聞きましたよ! アイスクリームというものが食べられるらしいじゃないですか! 今日は出ないのですか? あたし達、普通の女の子だから甘いもの大好きなんです! 」


ちょっと待て! 今は仕事中じゃないのか? それと誰から聞いた? 最後に材料がないから作れないぞ!


「材料の牛乳がないそうで、また村長さんたちが村まで特産品を持ってくるそうですよ? それまでは……市販の牛乳でよいなら、ここの料理長に個別注文してみてください、といってます。私たちは今日ここを離れますので」


「あーん、残念! ドンちゃんのお父さんがせっかく御馳走してくれるというから、この際食べてみたかったのに!」


「エルフさんたちはずっといるんじゃなかったのですかー?」


ドンちゃんは髭おやじと会って話をしたのか。仲直りはできたか?


「ドンちゃんのお父さん、すごく喜んでたね! ようやく娘が帰ってきたー!って?」


何を言ってるんだ? 娘は最初っからそこにいるだろうが?


”スネークちゃんは鈍感ですねぇ。ぐれる前の娘さんに戻ったって言ってるんですよ。ドナータさんは、あのあざとい感じが素なのです! 間違いない!”


ハンナちゃんは何を言っているのだ? リトルドンちゃんはマジで子供らしくて可愛かったぞ! 酔っぱらってて鬱陶しくもあったが! ”


”…… ははーん、なるほど…… スネークちゃんはああいうのが好みなのですね?”


いや、皆さん美人だと思うのだが…… ハンナちゃんはまだ子供だからな?


「ムキーーーーーー! また私を子ども扱いしているーーーーー!」


フハハハハ! 子ども扱いされて怒る子は子供なのだよ!


「それで、ドナータ殿?お父君はいずこか知らないか?」


「ドンちゃんのお父さんなら、ストーカーよろしくレストランの入り口でこっちをチラチラ見てますよ。堂々と入ってくればいいのに、ねぇドンちゃん?」


「あ、あぁ、そうだね。ちょっと恥ずかしいけど! 」


「そんなー、家族なんだから恥ずかしいことないよ!」


あれかな、授業参観で親を見られるのが恥ずかしい感じなのかな? もうええから呼んであげてーな! あ! ボルちゃんがあっちに行った! 我らもついていくんだ!ハンナちゃん、エマさん、お行きなさい!

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 髭おやじは手ぶらでエンタランスのところにいた。今日は例の青龍刀は持ってないようですね。特に誰かを威圧することもなく、威風堂々とした感じだ。


「ルカ・バドエル殿。お待ちしてました。こちらの事情によりすぐ出発しなければいけなくなった。約束の品、いただいてもよろしいか?」


「承知しております。お急ぎのところを引き留めて申し訳ない。剣士のボルドウィン殿には大剣を、魔術士の方にはふさわしい武器を、拳闘士の方には防具を、との注文でした」


「うむ」


「私にもいただけるんですね」


「あれ? 防具って、そんなこと注文してましたっけー?」


そう言えば、絹で防具をどうとやらという話をしたような? 


「モノは馬留所の馬車内に置いている。そちらまで同行願えるか?」


さてどんな武器・防具ができましたかね?




からころろん♪


 ホテルのエンタランスから外に出て、馬がたくさんいるところにやってきました。もしかして、バドエル様御用達の商隊っていないかな? と思って見回したがいないようですね。まだ檻の中かしら? それとも一晩泊まりだけだったのかな? いないからどうでもいいけど。


「おう、これはこれは王国認定特級鍛冶師殿ではないか? 何をしにこのホテルに来られたか?」


「これはこれは、領主殿。貴殿こそここで何をしている? いつもは鐘楼の真下で忙しく書類仕事をしているのに、今日に限ってなぜここに?」


ゲロちゃんちって、やっぱりあの鐘楼だったのか! あそこが一番目立つからな。でも、毎日毎日からんからん鳴られたらうるさくないのかな?


「なに、うちの娘がここのホテルに泊まっていてな? 病気療養中だったのだ」


「別に貴殿がここにいなくてもよいのではないか? 」


「ここは一昨日、昔の知り合いが買収してな、なかなか居心地の良い場所になったので、こちらを仕事場にしようかと検討しとるところだ」


「閣下!」


「領主さん、あーたが泊まるとランドルドの儲けが少なくなるから勘弁してやってくれ! 」


「お二方とも、じゃれあうのはそれくらいにして、先にこちらの用事を済ませてもらってよいかな?」


「じゃれあっているわけではないぞ!」


「左様ですぞ、ボルドウィン殿。こ奴は昔から何かというとワシに突っかかってきおるのだ!」


「なにを言うか!突っかかってきてるのはそちらの方だろう!」


「お二方とも、娘御の前で争いごとを続けられますかな? でしたら私が口を出すことはありませんが?」


気づけばレストランにいた人たちはほぼギルド建物の横の広場に集まっていた。あれれ? ホテルの従業員も子供たちもみんないるね? ギルドの人たちも集まってるよ?


「くっ…… ここはドンちゃんが見ている…… おい!」


「…… そうだな。わが娘ネルネには、こんなくだらないところは見せられん!」


両者ともに何とか矛を収めてくれましたな。


「ああ、美しい親子愛が争いごとを止めましたねぇ、父さん? ここは我らも争いごとはなしにしませんか?」


「ああ、お前が可愛げのある娘だったらそうするだろうさ! 」


「一物はランドルド並みだから切り甲斐はあるな! 」


「お前は黙っとれ!」


なに?この茶番劇……



本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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