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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第3章 風の谷、ナウ危機!
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土建材屋にて

今日は、あと一話・・・ダメだったら許してちょんまげw



ほうほうの体で雑貨屋を出たエルフ三人と我。土建材屋はちょっと遠いらしいので、我ボルちゃんに乗せてもらって、他の二人には別行動をとってもらうことにする。


「すぐ戻ってくる。何かあったら額金通信を入れてくれ」


「エマさんがいるから安心ですね。どこに行きますか?」


「そうですねぇ、鐘楼のところにでも行ってみますか~?」


暢気な会話をする二人を置いて、ボルちゃんは我を頭にのせてさっさと鐘楼のところへ走っていく。風のように早い!なんでそんなに早いのさ!


“風魔法を使っているからな!”


“鎌鼬じゃなくってか?”


“ああ、走るのと同時に無詠唱で自動的に起こる魔法だ!便利だぞ!”


そう言えば、風魔法のレベルいくつかにキリってのがあったけど、それかな?我も使ってみる・・・レベルいくつだったっけ?1は微風、2は風、3が・・・速い風?疾風?4は空気壁だった。レベル5だったっけ?


”風魔法Lv.5空気錐エアドリル?”


”おおっ!スネーク、お前、今魔法使っただろう!やたらと走りやすくなったぞ!”


アッ!ボルちゃん走りすぎ!鐘楼を中心に円環になった道路を一周していた・・・




目指す場所はすぐわかった。町の一角に巨大岩石や砂山、足場用材木と板、要するにホームセンターの資材置き場のような状況だったからだ。ボルちゃん、そこにいた人に尋ねる。


「あ~そこの人、ここの店員で間違いないか?」


「いや、オレ、客だけど?」


「それは失礼した。ここの店員はどこにいるか、ご存じか?」


「あぁ、店舗の中に行けば、誰かしらいるんじゃないか?」


「そうか、礼を言う」



とりあえず、我が威嚇しといたから、何事もなくボルちゃんは店内に入っていく。


「御免!ここの店員はいるか?」


中で作業していた人はみんなボルちゃんを見たが、我が威嚇すると目を逸らしていく・・・勇気のあるおじさんがこちらにやってきて


「あの・・・何か御用でしょうか?」


「こちらの店員か?土嚢袋をスネーク・・・私の頭の従魔が欲しがっているのだが、こちらにあると聞いた。見せてもらってもよろしいか?」


「・・・土嚢袋ですね?外に置いてあります。そちらまでご案内させていただきます」


うむ!


外に出ると、最初に話しかけた男がこちらを見ていた・・・まあ気にしない。


「こちらが土嚢袋です。一番大きいもので50L、40L、30Lとなっております。本店にある土嚢袋はこれで全部です。お値段は1枚で大きいものから銅貨1枚、大鉄貨8枚、大鉄貨6枚となっております」


”どうする、スネークよ”?


“村って確か50軒ぐらいあったよね?50枚でいいんじゃね?”


「それでは一番大きな奴をくれ。数は50枚だな!大銅貨5枚だ!」


「お包みはしなくても?」


「ああ、大丈夫だ!このリュックに入るからな。それが受領証だな。ありがとう。もういい。我々だけでやるから大丈夫だ」


「毎度ご利用いただきありがとうございます」


そう言って店員は戻っていった。我、ボルちゃんがリュックに入れる前に



“青魔法Lv.4祝福セレブレーション


“プップ~”


“どのような祝福を施しますか?”


“容量を50倍増し、重量を1/50でお願いします”


“パヤヤヤ~ン”


でけた。これにも銘とかが入るんかしらんねぇ?ボルちゃんが買った土嚢袋をぽいぽいと詰めていく・・・あ、さっきの男がこっちに近づいてきた!


「ちょっとすまない。そのリュック、マジックアイテムか?」


「そうだと言ったらどうする?」


「い、いや、どうもしないが・・・今、そのヘビ、君の従魔か?魔法を使っただろう!」


「ほう・・・基本人族のくせによくわかったな」


「ああ、オレは魔力をちょっとだけ感じることができるんだ。かんじるだけでなにもできないけどな。それで、その土嚢に魔法をかけたということは、その土嚢もマジックアイテム化したということで間違いないか?」


”面倒くさい奴に見られた感じがしますな!“


「それで?」


「お、オレにそれを売ってくれないか?その土嚢は、たぶん見た目よりたくさん入るのと軽くなる魔法を施したんだろ?オレはこの町で土建業を営んでいるんだが、もっとこの町が発展するのにその袋を使いたいんだ!頼む!」


“どうする?”


“この土嚢は売れない。余ってるやつを買ってもらってそれに付与をつける?問題はどの程度真剣か、だな”


「いくら出す?」


「いくつ売ってくれる?」


「今買ったものは売れない。そこに残っているものを買ってくれ。それでその袋に付与を付ける。従魔がかけた付与は袋の容積が50倍に広がり、重量が1/50になるというものだ。これにお前はいくらの価値を付けるか?」


ごくり!男は唾を飲んだ・・・


「金貨2枚と大銀貨7枚・・・オレのうちにあるから持ってくる・・・全財産だ。ここで20分待っててくれ!すぐ持ってくる!」


男は慌ててその場を走り去った。本気のようだ・・・それじゃ、袋代はサービスしときますか!ボルちゃんは買った土嚢袋を全部詰めると、残った土嚢袋全部、大5枚、中30枚、小30枚をお買い上げ。銅貨9枚と大鉄貨2枚をお支払い。我が青魔法Lv.4で付与を施して、しばらく待っていたら男が戻って来た。


「約束通り、金貨2枚と大銀貨7枚持ってきた」


「金貨2枚にまけておく。それと、土嚢代金はサービスだ。一番小さい奴でちょっと試してみろ」


男は受け取った大銀貨を使って30Lでは収まりきらないくらいの砂を買って来た。店員には自分で運ぶからといって店内に戻らせ、買った砂を土嚢にいれていく・・・入れてるのは砂だから砂嚢でスナ!砂嚢と言われて、鳥の砂ずりが食べたくなる我・・・


「ホントに30L以上入るんだな・・・」


「ああ、さっきも言ったように容量50倍、重量1/50だからな。それと、このものの出どころは内緒にしてくれ。騒がれても困る。それでは、さらばだ!」


「あ、お名前を・・・」


と言ってたが名乗る必要もないのでとっとと立ち去った。現在この男は、この町で小さな土建業を営んでいたのだが、将来この土嚢袋を使って街の発展に寄与し、街の名士として一生を終えることになる・・・人の出会いと少しのひらめき、そして機会を逃さず捕まえたこと。それを幸運と呼ぶのか、いや、それは彼の人間力のなせる業、といえるだろう。



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