隣三軒同じ家
三軒とも頭に「キューネ」が付くお店だった・・・最初のお店が「キューネ」のスパイス屋、ここが「キューネ」の乾物屋、次が「キューネ」調味料屋。乾物屋の両隣にスパイスと調味料屋をやるのはどんなんだ?
「ちょっと待ってね、おとーさーん、お客さんよー!」
しばらくして、奥からご老人が出てきた。村長よりもっとお年寄りな感じ・・・いやいや、さっき冒険者ギルドで見たじじいになった村長みたいだ。
「お父さん、お客さん。クノープラウホとイングウェアの買い取りをしてほしいんですって」
「ああ、クノープラウホとイングウェアね。それじゃここに出して。買取金額は売値の6掛けですよ」
我はクノープラウホをおぇおぇと吐き出し、ハンナちゃんはイングウェアをポーチから取り出す。
「へー、ヘビさんが飲み込んでいたんか。それにしては普通にその辺で売ってるのと変わらんな。生なんだな?なら、さらに2割引きだね。で、こっちはイングウェアの、こっちはきちんと乾燥されてるな。どれどれ、クノープラウホが、12㎏で、イングウェアが18㎏、っと。クノープラウホは100g大鉄貨1枚で、12㎏だから銅貨120枚、そこから6掛けでえーと、銅貨72枚、そしてそれの2割引きだから・・・」
72に0.8をかけるのだ!つまり7.2に8をかけるのだ!7×8で56枚。プラス0.2×8で1.6枚。すなわち57.2枚なのだ!銅貨57枚と大鉄貨2枚なのだー!
「めんどいから銅貨50枚でいい?だめ?60枚なら?それでいい・・・そんじゃそれで。大銅貨6枚ね」
チャリンチャリンチャリンチャリン。ちゃりんちゃりん。はいいだたきました。
さて、乾物屋さんといえば他に何があるかな?・・・おう、キノコがありますな・・・我、称号にキノコ好きってあるけど、言うほど好きやないで?ん?この薄くて平らで黒いものは・・・もしかして昆布か?こんなところに昆布があるのか?
「おや?ヘビがゼータングに興味を示しとるの。おかしなこともあるもんだ」
いやいや!昆布はうまみの元や。日本人なら昆布好きだぞ!ハンナちゃん、買ってちょー!
“もちろん調味方法は教えてくれるんですよね?”
「これは北の海で採れるんだが、輸送にコストがかかってのう、ここに来るまでに値段が高くなるんじゃよ。100g銅貨2枚と大鉄貨3枚じゃ」
そんじゃ2㎏大銅貨4枚と銅貨6枚でお願いします!
「それじゃあ物は袋詰めした方がいいかい?袋はいらない?お金はさっきの大銅貨5枚だね・・・お釣りは大鉄貨4枚ね」
ちゃりんちゃりんちゃりんちゃりん。
そしたら次はお隣の調味料屋さんね。あれ?おばちゃんもおじいちゃんも付いてくるんだ。
「あなたー、お客さんだよーーーー!」
ここでも大声を出すおばちゃん。まあ自分ちだからいいのか。奥からやって来たのは小柄なおじさん。おばちゃんは、おばちゃん体型だったがおじちゃんは小柄だった。ノミの夫婦っていうんだっけ?まあどうでもいいか。
「はいいらっしゃい。何をお求めで?」
“勢いで来てしまったが、酢なんかはあるんでしょうか?”
「お酢ですか?もちろんありますよ。何から作られたお酢がよいでしょうか?」
“何から作られたか聞いてみて”
「どんなものがありますか?」
「そうですね、やはり主流なのはエッスィヒ。トラウベから作るのが一般的ですが、所によっては穀物から作るところもあるようですよ。お酒ができれば酢まですぐです」
すまですぐです・・・すでぐすでます!何を言ってるかわからねー!で、お値段おいくら?
「一般的なものでしたら100mlで大鉄貨3枚からです。1升瓶で売ると銅貨7枚ですね」
「屋台で聞いたんですけど、東方から来た調味料というのはありますか?」
「えっと、ゾヤゾーゼ・・・のことでしょうか?こちらは輸送費にコストがかかりお高くなってますが・・・」
おいくら万円?
「100㏄で銅貨4枚と大鉄貨5枚となってます。1升瓶売りですと大銅貨9枚となっております」
ハンナちゃん持ってますか?隊長に貰った大銅貨が10枚あるから大丈夫?そしたら、酢を一升瓶追加で!大銅貨10枚で、3枚銅貨がお釣り!
「いいのか?ヴィン。ここでそんなに使って?」
「いいんです。これは先行投資・・・フフフ・・・これからたくさん返ってくるのです!」
目がマールマークになってるな!なんか知らんけど、この硬貨の中にマールという記号が入っているらしい・・・読めないからわからない!
ハンナちゃんがお金を払っている間、我、店内を拝見。調味料屋というのは、塩、油、酢、酒、砂糖もあるね。へー、白砂糖に黒砂糖、黄砂糖ってのもあるのか・・・後は蜂蜜か。マヨやらケチャップはないようですな。その場その場で作るんですかな?あと、ソースはなかった。醤油よりも簡単な気がするのだが・・・野菜と果物を塩漬けにしとけばいいんじゃなかったっけ?
「毎度あり~」
まあとりあえず、ここはこのくらいですか?




