異世界のパンは前世と変わらないはずだが
朝はパン、パン・パ・パン!
串焼き屋のおやじさんの説明通りに、大通りに出て、進んで右のやや細くなった通りを進むとすぐにおいしそうな匂い、ニクの焼ける匂いではなく、麦の香ばしい匂いだ。パンパ・パン!昼もパン!小麦のパンや~白パンやで!おコメもいいけどパンもね!ボルちゃん、おもむろに店の扉を開ける。
「あー、昼に来て申し訳ないが、ブロートはあるか?」
何で昼に来て申し訳ないんだ?
“だいたいブロートというのは夕方前に買っていく人が多いのです。その日の夕食と次の日の朝食用にするのですよ。だからお昼にはあまり売ってないということです。朝、焼き立てを食べたい人用に作っているかもしれませんが。隊長はそれを尋ねているのでしょう”
「申し訳ありません、お客様。まだ仕込み中でして・・・夕刻にまたいらっしゃればご用意できておりますが」
「それでは予約をお願いできるかな?」
「はい、どうぞ」
「それでは・・・ロッゲンブロート30斤」
ロッゲンブロート・・・いつも食ってた黒パンね・・・パンの単位も斤ですか。1斤450gだったっけ?店で売ってた四角い食パンって450gもあったかなぁ?
「そして、コミスブロート30斤」
む!新しいパンですな?なんですかなコミスブロート?
「たいちょ~コミスやロッゲンは食べ飽きました~。ヴァイツェンのほうがいいです~」
「しかし、バイツェンだとかさばるし、ポーチにあまり入れられないから日持ちがしないぞ」
「たいちょ~お忘れですか?」
背負っているリュックを見せる・・・
「お―、そうだったな!すまない、今のは取り消してくれ!その代わりにヴァイツェンブロート30斤、ヴァイツェンミッシュブロート30斤。一応念のためロッゲンブロートも30斤買っておくか!」
「ヴァイツェンブロートが一斤大鉄貨7枚、ヴァイツェンミッシュブロートが一斤大鉄貨6枚、ロッゲンブ
ロートが一斤大鉄貨5枚、でそれぞれ30斤づつだと・・・えーと」
一斤平均大鉄貨6枚でそれが90斤。銅貨54枚。もしくは大銅貨5枚と銅貨4枚でお支払い。
「スネーク換算によると、銅貨54枚か、大銅貨5枚と銅貨4枚の支払いだそうだ。あってるか?」
「個別に払ってもらってよろしいですか?えと、ヴァイツェンが銅貨21枚、ヴァイツェンミッシュが銅貨18枚、ロッゲンが銅貨15枚。あわせて・・・銅貨54枚です・・・あってる」
「大銅貨5枚と銅貨4枚だな・・・それでは夕刻になったら受け取りに来る」
「はい、こちらが預かり表です」
なあなあ!ここには菓子パンとかないんか?クルミパンはこれかな?それっぽいのが塗してあるが?
「・・・と言ってますね。しかし“菓子パン”なるものを私たちは知りません。一体どういうものでしょうか?」
“ブロートに何か混ぜるというのはあるんでしょ?実際にくるみが入ってるのがあるし”
「あの、お客様?」
「ああ、なんでもありません。スネークちゃんが新しいブロートができると言っているのでやり方を聞いているのです」
「えと、それお私たちに教えてもらっても?」
かまへんで!
「・・・それはいいと言ってるのですか?・・・いいんですね?」
言うても簡単なもんやで!単に乾物のフルーツをパン生地に混ぜるだけや!レーズンならあるんじゃないか?今ない?それじゃ、ボルちゃん桃出して!サンプルに桃でしっとり目のドライフルーツ作るから!
金魔法Lv.1抽出!
“ン デデデデーン”
“なにをどうされますか?”
桃から水分をゆっくり取り出して!
“テ・テ・テ・テーン”
桃がジワリとしぼんでいく・・・ハイストップ―!このくらいでいいかな?そんじゃ皮剥いて実を適当に切り分けて、種は抜いてね!あ、いらないか、ハンナちゃんもろといて!それじゃ試しに作ってみて!できたら試しに売ってみて!まずかったら、この人が買います。そしてこっちの人が食べますけん!
「それじゃ、夕刻になったらまた来る!」




