我、神樹さまを看取る
道標を頼りに元来た道なき道をたどって山道を登る、登る、登る・・・日が出てきたころにようやく神樹さまのところへたどり着いた・・・我、唖然とする。
あんなにたくさん茂っていた神樹さまの葉がすっかり落ちていた・・・
神樹さま!神樹さま!
「ああ、神の子ですか・・・見事です。デスファンガスを倒したのデスね(ププッ)」
これはどういうことですか!
「あなたがいつ戻られてもいいように、樹液それと赤い実をたっぷり作っておきました
・・・これがもう最後デス(プッ)」
そんなことをしたからこうなったのです。止めてほしかった、我はまだ聞きたいことがあったのに・・・
「今のうちに聞いてくださいね?」
我の卵はどうしてあなたのうろにあったのですか?
「ある方に頼まれたのです・・・外のあだなすものから守ってほしい、と。このものは私の願いをかなえてくれるだろうから、あなたのお役に立ちますよ、そう言われました。その方の言う通りでした・・・」
我、お役に立ちましたか・・・
「私から最後のお願いがあります」
神樹さまは我に赤い結晶を差し出した。これは?
「これは、とある人物、先ほどとは別人ですよ、その方から私へ贈られたものです。火結晶といいます」
火結晶?
「これを体内に取り込むと、火魔法が使えるようになります。私の体では使い道がなかったものです。これをあなたに使っていただきたいのです」
何のために?
「私はもうすぐいなくなります。いなくなった後、しばらくあなたには赤い実を植えていただきたいのです。そのために赤い実と樹液を残してあります。それがなくなったら・・・私の亡骸を燃やしていただきたいのです」
燃やすのですか?
「そうです、私の燃え殻が残ります。それをあなたの土魔法でまぜていただきます。そのあと、一番初めに芽吹いた種がありますよね。あれを今いる場所に緑魔法で植え替えていただきたいのです。あれにはあなたの魔法と私の亡骸を使って元の私のように大きくなってほしいのです。お願いします。私の最後の願いです・・・」
神樹さまのお願いなら、なんでも聞きますよ。。。我、涙が出てくる、ヘビにも涙・・・
ヘビが泣くかって?ワニだって泣くんです!あれはウソ泣きだけど!我のは本泣きだよ!
「ありがとう、神の子よ・・・最後にあなたに会えたこと、うれしく思います・・・ 本当にありがとう・・・ ・・・ ・・・」
笑顔のままの女神の恰好した神樹さまは、だんだん朝日に溶けていき、そして見えなくなった・・・
あ、我のステータス、どうなってるのか聞き損ねた><




