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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第3章 風の谷、ナウ危機!
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我、ドワーフさんは自分勝手な種族かと疑う

なんだか頭がぼんやりしてますな・・・



「バドエルさんはよくわかった人でねぇ・・・自分が世界随一の鍛冶職人であることも、娘にその才がないことも、そのせいで自分の娘が苦しんでいることも。そして娘には別の才能があることに気づいたのは、彼女が鍛冶の真似事をしだしてからだそうだ。王家からの依頼で全身全霊をかけて不眠不休で3日間鍛造した剣があったらしい。自分でも自身の人生で最高の出来だったそうだ。それを見た娘は、“お父さん凄いね。鍛冶神の移し身が鍛造した王家の守護剣”だって、と言ったそうだよ。最初は、娘が単純にほめてくれたのだと思っていたが、彼自身には鑑定技能はないそうなので、何も言わずに知り合いの鑑定ができる人に見てもらったそうだ。結果は娘の言ったとおりだった。ならばと、その人は娘に鑑定士になることを勧めたそうだ・・・その結果、娘は反発し、父親は自分のことを理解してくれないと思い、今に至る・・・」 


父親の話は分かったよ・・・首飾りのことは?


「父親は、娘が成人した後、鑑定士として経験を積ませようと、いろいろ当たった挙句・・・ここに連れてきたんだ。うちとしても鑑定士は欲しい人材だったし、ちょうどよかったんだけどねぇ、本人のやる気がどうも・・・」


それと、首飾りがなんか関係あるのか?


「うちに来ても、行動が改まらなかった娘に、業を煮やしたのと、娘が喧嘩ばかりしているものだから体の心配をしたんだろうね、例の首飾りを付けに来たのが今年になってから。あれは、彼女に真面目に仕事をさせるため禁酒をさせるのが目的だったのさ」


ん?別に禁酒させなくてもいいんじゃないのか?ドワーフってのは、酒を飲まなきゃ生きていけないんじゃなかったっけ?


「酒を飲まなくっても生きてはいける。だけど生きる目的は酒といっても言い過ぎじゃないくらい酒が好きなんだ。つまり、あの首飾りは懲罰みたいなものだね。真面目に仕事をしてれば、鑑定時に魔力を使うから、その魔力を半分吸い取っていく。ある程度魔力が蓄えられたら自然と首飾りは取れるという手はずになっていたんだが・・・彼女の悪評が付いちゃってね、うちに鑑定の仕事が来なくなったんだ」


うん、それは自業自得ですね。


「僕としても、バドエルさんから娘さんを預かった身としては、どうにかしてあげたくてねぇ・・・だけど、本人のやる気はあれ付けたままだとどうしても削がれるらしくって」


じゃ、解雇すれば?それができないんなら、やる気を出させる方法を考えてあげれば?


「いや、我々にもどうしようもできなくって・・・ところが、喧嘩以外で彼女がやる気というか、自分の主張をしてきたのは今日が初めてだったのでね・・・君ならなんとかできるかなって思って」


なんじゃそりゃ?結局は他蛇たにん任せかよ。親に頼めよ、親によ!


「ルカ・バドエルという人は多忙極まるのでね・・・何せ人気鍛冶師なものでスケジュールが都合付かないんだよ」


”ボルちゃん、その鍛冶師、知っとるけ?”


「ああ、名前は聞いたことがある。あまり興味はなかったんで情報収集はしてなかったがな?私にはこれがあるし」


ボルちゃん、いつも帯刀している剣を見せる。


「一番上の兄上から下賜された、我が家の宝剣だぞ!見てみろ!この刀身に浮かぶ刃紋・・・」


なんだかボルちゃんが語りだしたが、それはほっておこう。つまりは、父親が娘の教育を放棄して自分の仕事に没頭しとるということか。そして、娘は娘で本来は天職であるにもかかわらず、違うことをしたかったと言ってぐれているということだな。完全にドワーフ家庭内問題やんか?


「というわけなのさ!君は賢蛇けんじゃなんだろう?解決策を教えてくれないだろうか?」

知らんがな!なんで我がそんなことせにゃならんのだ?




どこかで腹の鳴る音がした。音のする方を見たら、バウアー関が燻製肉をもしゃもしゃ食べていた。


「話長くなりそうですか~、もうお昼だいぶ過ぎてるんですけど~?」


「すまないが、話は聞いた。もういいか?」


いや、君は聞いてなかったでしょ?剣の話、しだしてたし。


「お昼ならこちらで用意させますので!どうか、お留まりください!」


「明日出発するので、いろいろ揃えたいものもある。そちらの話は聞けないな。もう行くぞ!」


ボルちゃんは二人を引き連れてフロアから出ていく。我も付いていきますよ。


「それでは、装備を整えられましたら、再びこちらへ来ていただけないでしょうか?」


「特に我らにメリットもないし、部下に暴行を働かれて、済まなかったな、だけで済まそうとするのが気に入らないな。もう行くぞ」


「気分を害されたのなら、私からも謝罪します。申し訳ありませんでした」


「私も同じ気持ちね。ドンちゃん・・・バルドルの行為は私からも謝罪します」




“スネークちゃん、一応また後で戻ってきませんか?このまま放っておいたらちょっと気分悪いですし?"


“ヴィンはそれでいいのか?いいならそうするぞ?スネークはどうだ?”


うん、わかった。被害者がそこまで言うんなら・・・まあ戻ってきてもよい。


「それでは、また後で戻ってくることにする。そちらにも都合があるだろうから、ギルドが手隙になる午後6時以降に宿舎に来るとよい。ボルドウィンという名前で呼び出してくれ。たぶん村長殿達も用事が済んでいるだろうから夕食をご一緒すればよいだろう。その時に御父上の意見も聞けばよいのではないか?それでは、二人とも行くぞ!」




本日も一話のみです。


お読みいただきありがとうございます。

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