燻製肉を作りましょう!その2
食べ始めの頃はまだほんのり明るかった空も夕食後にはとっぷりと闇色に染まった。今日の夜番は、エマさんと村長、ボルちゃんと若手ズ、ポルちゃんとハンナちゃんだ。若手ズには真夜中の夜番の経験をさせたいらしい・・・が、稽古だけで警戒はおろそかになると思うんです・・・確実にそうなる!ま、いいか・・・特に危険もなさそうだし。
皆で片付けをやった後、早番以外の人に就寝体制になってもらい、赤魔法Lv.1をかけます。
“赤魔法Lv.1入眠 ボルちゃんとヴァッヘ君・ヴェヒター君は3時間後、ポルちゃんとハンナちゃんは6時間後に目が覚めるように!“
かかったかどうかはわからんが、物音がしないからかかったんだろう。
さて、夕食前にやっていた作業の続きです。どこまでやったっけ?
「オニク切って調味液に付け込んだところまでですよ~、オニクが多過ぎてそのままになってますけど、いいんですかねぇ?」
イクナイ!それじゃ、もっと漬け込み壺を作りましょうかね・・・土魔法Lv.13土石変換で大理石を作り土魔法Lv.18石細工で30個ばかし20Lぐらい入る壺を作った。そして、塩の岩石をおえっと吐き出し石テーブルに乗せる・・・
“風魔法Lv.10鎌鼬!小さくて強い奴たくさん!”
テーブルの上の塩岩が見る間に砕けて10㎏くらいのサイコロになった。100個ぐらいあるんかしらね?
「スネーク殿?何をしとるのかね?」
“オニクを長期保存できるように燻製にしようとしてるんだが、塩が足りないのでその辺から魔法で拾ってきた!あまったらあげるよ!”
「・・・って言ってますねぇ。けど、オニクは余りませんよ~」
まあそうでしょうね!ああ、エマさんは燻製にするための薪をつくってちょー!我がそこの辺に転がしている木があるでしょー?金魔法で乾燥させておいたから、半分は燃料用に、もう半分はチップ・・・細かく刻んで!我は燻し用の窯を作ります。
「今からスネークさんが燻製肉を作る窯を作るそうです。使い終わったらここに置いておきますので村に持って行って使ってね、と言ってますねぇ」
「今から勉強させてもらってもいいかね?」
「もちろんですよぅ」
村長にはニクを漬け込みやすいように薄く切ってもらった。
「このナイフ、さっきも使ったが切れ味がすごいな!」
使いやすいですか、それはなにより。みんなに1本づつあげるように作ったのだ。あ、鞘はボルちゃんに作ってもらったけどな。あと、短剣も作ったからそれも1本づつ・・・ヴァッヘ君とヴェヒター君にあげてください。村長とポルちゃん用のもあるぜ!まあ、短剣は後にして、今は燻製肉だ・・・作業に入る前に、夕食前にやっていたことを説明する。味付け液を作って、オニクに味がしみ込みやすいように切っていくこと、味付け液は水1Lに対して塩、糖が塩の半分ぐらい、酒を少しいれていること、谷で見つけたクノープラウホ(ニンニク?)とサルバイ(シソもどき?)とレモンの皮を使ったこと、これらは調整できるから、自分たちで研究していくことなどを教えた。
”そう言えば、塩ってオイクラ万円しますのん?“
「スネークさんが塩の値段を知りたいそうですよ~」
「そうじゃな、1㎏で大銅貨2枚といったところか?」
“大銅貨一枚がわからんつーねん!”
「大銅貨一枚は千マールじゃ・・・マールがわからんか」
貨幣の説明をしてもらいましょうか・・・
鉄貨1枚 1マール
大鉄貨1枚 10マール
銅貨1枚 100マール
大銅貨1枚 1,000マール
銀貨1枚 10,000マール
大銀貨1枚 100,000マール
金貨1枚 1,000,000マール
大金貨1枚 10,000,000マール
国によっては単位が変わるが、大体どこもこんな感じらしい。で、鉄貨一枚でいったい何が買えるねん?誰か飯時にお金の話をしていたような・・・水4Lで大鉄貨1枚?だったっけ?2Lのペットボトルの水2本で大鉄貨1枚・・・100円?200円?100円として1マール10円ぐらい?塩1㎏で大銅貨二枚・・・2,000マール→2万円?高すぎない?100g2,000円の塩・・・超高級品やな!谷底に行って抽出してきたけど、どこかに岩塩の層があるんじゃねーか?この崖よりたくさん取れたから。
「谷底に岩塩層があるかもしれないと?」
ま、そこらへんは自分らで調査してちょ!あそこにはいろいろ役に立つ植物があったし!ここの石小屋拠点にすればいいんじゃないか?
「・・・じゃねーかとか言ってますねぇ・・・スネークさん、薪割りは終わりましたけど、チップってどのくらい細かくすればいいんですか~?」
そうですね~く・・・木串を作る要領でやってみてちょ!あとはそれを細かく切っていくのだ!
「ああ、あれ位ですねぇ?量はたくさん必要ですか~?」
燻す用だからそんなにいらない。薪5本分くらいを使ってちょ!
村長が細切り肉を、エマさんがチップを作ってる間に、我、土魔法で燻し窯を作る・・・基本構造は大きな筒です。最下部で薪を使って火を燃やし、チップを加熱させるが炎は出ない程度に抑える・・・竈部分とチップの間を石板にして熱だけを伝導させるようにして、最上部にはニクを吊るす場所を作って・・・まあ試作品だし、最初はこれでやってみるか・・・
「こっちはできましたよぅ」
「ニクは切ったが・・・調味液が足らんような・・・」
そしたら調味液から作ってみてみて!自分で試してみるのもいいよ!昨日ポルちゃんが干し肉を酒のつまみにしてたけど、あれが標準的な干し肉なのかな?
「ああ、あれは冒険者ギルドで売ってるやつだな。多分一番長持ちする奴をポルティエは出したと思う。あいつ、塩辛いのが好きだからな」
そんじゃ、塩分濃度を色々変えて試してみてちょ!塩はここにあるやつ使っていいから・・・あ、今日作るのはテストなので夕飯前に作った調味液につけたニクだけにします・・・
そんじゃあ、やってみますかね・・・夕飯前に作った漬け込み肉を木串に刺して吊るして、と。あ、チーズもやってみませんか?あとは、お助けイモとか?ゆで卵とか?卵はガルスガルスの巣に入ってるでしょう?鍋で煮て・・・ついでにお助けイモも皮剥いて!その間に、村長!チップを石板の上に均等に並べて置いてって・・・置き終わった?そしたら下に薪をこれも均等に・・・並べ終わった?あとは茹で卵とお助けイモ待ちやね!
・・・
全部の準備が終わり、筒の上に石蓋を乗せる。下のかまどに並べた薪に
火魔法Lv.1点火!
お久しぶりの魔法ですね。Lv.2とかLv.3とかでは強すぎる感じがしまして。あとは待つだけですな。そう言えば、村では肉はどうしてたんだっけ?
「ワシやポルティエ、婿殿とあとは何人かでたまに狩りをしておったがなかなかうまくいかんでのう。飯の種の牛やヤギに手を付けるわけにもいかんし」
”そんじゃあマヒマヒの実を使えばいいんじゃないか?“
あれなら最初に降りた谷底に植わってるから。エマさん持ってたよね?
「これですねー。ひとつあげますよ~」
「これはボルドウィン殿が使っていたやつと同じですか?」
そうそう、絞って矢に付けたりするんだっけ?え?ボルちゃんは火を使ってた?そういう使い方もあるかもしれません。その実を谷底で探しなせぃ!多少狩りがうまくいくでしょう!燻製作りって暇やね・・・




