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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第3章 風の谷、ナウ危機!
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夜の予定




我、荷台で寝ていた相撲エルフを叩き起こし、御者見習い席に向かわせる。我もハンナちゃんにはいろいろ聞きたいことがある。ハンナちゃん、我を掴み抱きしめた。何してんねん、君?


「フフフフフ、これでスネークちゃんを独り占めなのです・・・」


あー、だめだこりゃ!目が逝っちゃってます!問答無用の赤魔法Lv.1入眠スリープ

ハンナちゃんに魔法をかけると、我を抱いたままこてっと横になった・・・お休みベイビィ!ハンナちゃんの両腕からにゅるっと抜け出た我、さっきまでエマさんが使っていた毛布をかけときましょう・・・どんだけでかいねん、この毛布!


ハンナちゃんを眠らせた後、我考える・・・考える・・・かんが・・・Zzz




ハッ!いつの間にか我寝てた。辺りを見回すと・・・だいぶ日が傾いてますな。ハンナちゃんはまだ寝てます。我が魔法で起こさないと起きないのだろうか?今度赤魔法使うときに実験してみよう。と、いうわけで、青魔法Lv.1覚醒アウェーク


「ハッ!いつの間にか私は寝てましたか?」


寝てました寝てました。我と一緒に寝てました。


「そうでしたか・・・スネークちゃんと一緒に寝てたのなら本望です。覚えてないのがもったいない」


君の本望とは一体・・・






もうすぐ暗くなるけど、どこまで進むのかなぁと思ってたら、大きく曲がった道のカーブ付近で馬車が止まった。今日はこの辺で野営するのかな?


「おーい、スネーク殿。今日はここで一泊だ。悪いが、馬と人用に水を出してくれるか?」


ホイホイサー!我、村長について行って飼い葉桶と水桶(馬用)、そして人用に用意された樽の中に水魔法で飲み水を吐き出す。魔法で出す水だと吐き気はしないんだよなぁ・・・技能“ためる”で溜めた水を技能“はく”で吐き出すときはおえおえになるのに・・・これも要実験だな。樽がもう一つあるので、こちらにも水を出す・・・ただし、おぇえええぉえええぉ!ウム、げろっぽい!しかし吐いたのは普通の水だ!


ハンナちゃんがやってきて


「あれれー、こっちはポーションじゃないですか~、こちらは普通の水ですね。飲食用には勿体ないからポーション用を使いましょう。洗い物とか洗面にはこちらの普通の水を使ってください」


なるほど、我が水魔法で出した水はポーションになるんでしたね・・・ボルちゃんもそんなことを言ってたな。それじゃあどこかで水をがぶ飲みしときますか。どこまで飲めるかも気になりますな!



ハンナちゃんは瓶に溜めた水を使って料理をしている。エマさんは朝に木工屋のホルザさんからもらった薪を、燃えやすいように小さい斧で薪割りしてた。なんだかお豆腐を切るようにスパスパ切っていきますな。村長たちは・・・テントを張ってるのか?ボルちゃんも?


“なあなあ、テント張るより我の魔法で石小屋作った方がよくね?”


「・・・と言ってるが、村長殿、どう思う?」


「そうだな、そうしてもらえるとありがたい」


と、いうことで、小屋を建てることになった。といっても、すぐ横は崖なので、崖に横穴を開け、出入り口にドアはつけられないのででかい石板を立てかけることにする。あとでドアは木で作ればいいということになった。町まで3泊の予定だから、あと2つ同じようなものを作ればいいのね。男性部屋と女性部屋、馬車べやもつくっといた。サービスしてトイレもつくったで。もちろん男女別や。男と女のマークにはポルちゃんとポルちゃん奥さんの顔をレリーフとして使った。気づくかな?


夕食ができるころにはあたりが暗くなっていた。調理用の焚き火だとほんのりしてるなぁ・・・お晩飯は何ですか?黒パン、そしてボア肉と野菜のスープですか・・・我は食欲ないのでいりません。代わりに桃をくれ。


「なぁ、ボルさん。ちぃと頼みがあるんだが!」


飯をアムアム食べながら、ポルちゃんがボルちゃんに頼みごとを切り出した。


「私にもできることとできないことがありますが?」


「いや、あんたにしかできないことだな。今回連れてきたこの若造達をちょいと鍛えてくれないか?こいつら、村を出て冒険者になるんだが、俺たちの鍛え方が不満だったようでさぁ!井の中の蛙たちに大海を教えてやって欲しいわけよ!自分らの実力もわからずすぐにくたばっちまうよりは、世間の実力を知らしめて用心させる方がよっぽど長生きできるからな!」


「あんたの剣技、結局見せてもらってないからなぁ!自分の実力がどのくらいか知っておきたいのさ!」


「お、オレはそんなことは思ってないけどもよぅ!ちょっとでも強い人に教えてもらった方が後後役に立つと思ったんだよぅ!」


村長は何も言わなかったが、ボルちゃんの方を見ていた。


「うむ、夕飯の後、時間と体力の許す限り付き合ってもいい。それにしても」


ボルちゃんはエマさんを見てため息をつく。


「この向上心を見習ってほしいのだが・・・バウアー、どうする?」


「やめときます~、剣はあたしには向いてないです~」


君に向いてるのはフォークとナイフだもんな!このニク好きエルフめ!スープの入った鍋から肉だけ選んで自分の皿に入れてやがる!


“バウアー関は我が鍛える!”


「えぇーーーー?スネークさんが鍛えるんですかぁ?それなら剣の稽古、やります~!」


こらっ!どんだけ相撲の稽古が嫌いやねん!


「バウアーに関しては私が教えるよりスネークの方がうまそうだからな。そうしてもらうぞ!」


「えぇーーーー!」


うむ、言質はとったな!これで横綱への道は開かれた!






「ところで二人にはこれまで誰が教えてきたのだ?村長殿か?」


「村の若いもんに剣を教えるのは、村長とオレと、最近だと若村長だな」


「教えたと言うても、ほぼ体力をつけさせるものだけだったからな。あとは構えと、そして素振り。まじめにやっていれば、知能のない魔物とはそこそこ戦えるようにはしてある、と思う」


「冒険者は戦う相手が魔物だけじゃないからなぁ・・・人相手でも生きて帰れるくらいにはしておきたかったが・・・あまり相手にできなかったのは許せ、二人とも」


早々に夕食を食べ終わった村長が馬車のところに行ったかと思ったら、棒を持って帰って来た。棒じゃねーな?木刀?


「いつもの練習用木剣じゃねーか!」


「お前らに選別だ。最初はこれを使って身の安全をはかれ!」


「フツーは選別に金属の剣をくれるんじゃねーのか?こんなの下げてたら恥ずかし-ぜ!」


「オレも村長も、冒険者になったばかりの頃は木剣使ってたんだぜ?何一つ恥じることなどないわ!」


「時代が違うんじゃねーのか?今はみんな初心者でも銅の剣ぐらい差してるっていうぜ?」


「木剣で魔物を倒してコツコツ金を稼いで銅の剣を買いな!それが楽しみのひとつなんだぞ!」


「ホントかよ?」


たぶんホントです!我、就職した年に買った車は中古の軽自動車だった・・・だんだんとグレードが上がったときはうれしかったもんです。次はようやく新車を買おうとしてたのに・・・つい前世の記憶が思い出されてしまった・・・


しかし、木剣だけというのはまずいんでない?獲物が何か知らんけど、討伐したら解体しなきゃなんないんでしょ?解体ナイフ位はあげた方がいいんじゃない?あとで我が作ってあげましょう!



若者たちの特訓をするということで話はついた。あとは夜番だな。訓練の時に同時に番をするとして、最初にボルちゃんヴァッへ君ヴェヒター君、次にポルちゃんとエマさん、最後に村長とハンナちゃんという順番になった。あ、眠くなかったら我が魔法で強制的に眠らせます^^。




本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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