エルフ剣士の実力はいかに?
ヴェヒター君目線です^^
なかなか村を抜けれません><
やあ、オレオレ、オレだよぅ、ヴェヒターだよぅ。今日はエルフ剣士さんの狩りの様子を見ることができるって聞いたんだよぅ。ヴァッへが考えなしにエルフ剣士さんに突っかかるのは、やっぱり女性だからと思ってるのかなぁ?あの人の身のこなしを見たら、相当腕が立つと思わないのかなぁ?アルバンさんと模範試合でもしてくれないかなぁ?アルバンさんっていうのは村長さんの義理の息子だよぅ。あの人も初めて見たときすごいなぁって思ったけど、ヴァッへのアホが
「どーせ、顔がいいだけで、アデリナさんに近づいたにきまってるさ。それで冒険者同士でくっついたに違いない!」
涙目で力説していたのには、ちょっと笑ってしまったけども。アルバンさんは一見優男に見えるけど、剣の腕は確かなんだよぅ。いっつも俺ら村の若者に稽古をつけてくれんだよぅ。それで、たまに実地訓練って言って、黒色土の森に一緒につれて行ってくれるんだよぅ。運がいい時はホールマウス、ブラウンラビットやフォレストディアが罠にかかっていて、それを仕留めるんだけど、あの人急所を一突きで仕留めて苦しめずに殺すんだよなぁ。俺ら、初めて見たときはビビってしまったんだなぁ。何度か一緒に行ったけど、いまだに慣れないや。だけど、一番びっくりしたのは、ブラックベアと遭遇した時なんだな。いやー、あんときはオレ死んだと思ったんだな。だけど、アルバンさん、ブラックベアの対処法知ってて、逃げながら痺れ草を集めていて、すきを見て剣に塗りつけて切りつける、を繰り返し、最後には動きが鈍ったクマ公にとどめの一突きをお見舞いしたんだな。あんときはホントにオレ死んだと思ったんだな、大事なことなので2回言ってみたんだよぅ。
「冒険者というのは、生き残ることを第一に考えるものさ。あとは、なるたけ危険は避けていくこと。それができなければ長続きしないね」
15年も冒険者やってた人の言うことには重みがあるんだよぅ!結構いいランクまで行ったって聞いたんだよぅ。村長の現役の時のレベルより高いんだってアデリナさんが自慢してたの、聞いたんだよぅ。アルバンさんの言ってることは、よく聞けば臆病者のセリフにも聞こえるけど、あの人は臆病とは無縁だと思うんだよぅ。剣の腕も、ポルティエさんに、勝てないまでも負けないし。それにしても冒険者の使う罠というのは面白いんだな。落とし穴に、括り罠。かご罠、エサ罠。いろんな生き物を捕まえるのにその生き物の特性に従って罠を変えていくんだな。面白いんだよぅ。ガルスガルスなんかはエサ罠でかかるんだけど、あいつら用心深くてなかなかかからないんだよぅ。
だけど、今日のエルフ剣士さん、ボルさんってポルティエさんは言ってたっけ、あの人の狩りはそんなもんじゃなかったんだよぅ。ガルスガルスを雄が七羽、雌は一羽生け捕りって、どうやったんだよぅ!
「今日は村長に頼まれて、ガルスガルスの雌を生け捕りにする。諸君らはその運搬に協力して欲しい。今日は崖を下りずに跳び越えていく。途中までは諸君らの速度に合わせた移動をするつもりだが、狩りの時はおそらく私一人でやることになる。皆が一緒だと気配で気づかれるからな」
「崖を跳び越えるって、結構幅あるぞ!俺らには無理だ!」
「私の従魔のスネークが橋を架けたそうだ。皆はそれを使うとよい」
「生け捕りって、具体的にはどうやるんだ?」
「ガルスガルスは高いところにいる。見つけたらマヒマヒの実を燃やしてその煙で麻痺させるんだ。オスは普通通り矢で刈っていく」
「弓矢を持っとらんようだが?」
「そこは心配しなくてよい。それでは時間が惜しいので駆けていくことにするぞ」
「ちょっと待ったーーーーー!」
あ、またアホのちょっと待ったがでたよぅ。目も当てられねェ!
「ヴァッへ殿だな。何か質問でもあるか?」
「あんた、昨日ずるしてガルスを刈ってたんだな!」
「ずるとは?」
「崖を下りずに近道をして黒色土の森に行って狩り放題してたんだろ!この卑怯者!」
「・・・何を言っているのかわからないが、崖を跳び越えていったというのが卑怯だというのなら、君たちもそうすればよかったのでは?わざわざ崖の下から迂回すると時間がもったいないぞ」
「あんな崖、跳び越えられるわけないだろ!だからずると言ったんだ!」
「では、崖のところに行ってみるか、橋がどの程度のモノか知らんが、それが渡れたら問題あるまい?今日も勝負をしてほしいのか?だが、今日の目的はガルスガルスの雌を生け捕りにすることだぞ」
「あんた、剣も使えるんだろ?剣技で勝負してくれないか?」
ボルさんは無言でポルティエさんを見る・・・
「お前なぁ・・・いや、無知な奴には見てもらった方が早いか・・・」
「今日は剣を使わない・・・四つ足獣がでたらその限りではないが。ヴァッへ殿にはだれか、村長やポルティエ殿が剣を教えているのか?」
「村の若者にはだいたい村長の息子が教えているようだ」
「村長の息子はうちを出ていったと聞いたが・・・若奥様の夫君のことか?」
「まあそうだな・・・俺たちじゃ教え方が温すぎる、らしい」
あーーーー!口元が笑ってる!ポルティエさんの教えって、あなたのはひたすら肉体の鍛錬しかやってないじゃないかよぅ!あれで温い?なにをおふざけになってるんですかよぅ!!しかも俺たち、剣の技って言われても、木剣でひたすら素振りすること、しか教えてもらってないですよぅ!
「この村人が剣技を使っているところは見たことがないから、何とも言えないが、剣を振るうにしても体力がないと戦場では生き残れない。狩場まで私についてこれるくらいの体力があれば、剣の勝負をしてもよいぞ!」
「あー、手加減はもちろんしてくれるんだよな!」
「さて、どうかな?もういいか?他に何かなければもう出発するぞ!」
「あの~、あなたのことはボルさんと言ってもいいのかよぅ?」
「ああ、何でも構わないぞ。ちなみに皆には名乗ってなかったか?昨晩名乗ったはずだが。もう一度名乗るぞ、私の名前はミア・ボルドウィン。アプフェル王国近衛軍の筆頭剣士だ。今日はよろしく頼む。君はヴェヒター殿だったな」
「俺たちに殿なんて付けなくっても大丈夫だよぅ。頑張ってボルさんについて行くからよろしくお願いしますよぅ」
本日はこれにて。
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