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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第2章 機動戦士ツチノコ
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世話焼きスネーク



“そんじゃあ、今日のやることは・・・ボルちゃんはガルスの雌をたくさん生け捕りにしてきて。ガルスの塔は50建てておいたから、たぶん足りると思う・・・足りるよね?”


「そんなには無理だと思うが!」


“なるだけ多く狩ってきて!雌の数が多ければそれだけ最初に増やせる速さが違うから!あと、雄も何羽か生け捕りにして、繁殖用に雄もいるでしょ?それと・・・”


「まだ何か?」


“うーん、森の中に、人が使える植物が何かないか、あれば実とか種とかを持ち帰って来て欲しいんだけど?柑橘類とか葡萄類がないかな?今のところ見かけなかったけど、見落としているかも知らないし”


「わかった。使える実だな。あとは、村長殿、ガルスを縛る紐か縄を大量に使わせていただきたいのだが」


“ああ、あとポーチの中身は置いていった方がいいと思うよ。何とかポーションとかは持って行っていいと思うけど”


「そんなにたくさん持ち帰ってくると思ってるのか?」


“ボルちゃんは優秀なハンターだからたくさん持って帰って来るでしょう。あと、ハンナちゃんは通訳に必要だからこっちに残ってもらうとして、エマさんはどうする?”


「そうだな・・・どちらかというと狩りより農作業の方が得意だから、そちらで作業させておいた方が効率はいいな。あとは、なにか?」


“何かあったら、額金で連絡するよ”


「わかった、それでは村長殿。狩りに何人かつれて行くから人選を頼みます」


「ワシはスネークと一緒に村で仕事した方がいいだろう。ポルティエ、お前に任す」


「任された!といっても、俺らはボルさんについて行くのがやっとだと思うけどな」


「一人ではガルスガルスを運ぶのが大変なのでな。村長殿やポルティエ殿のように力が強くて足の速い奴で頼みます」


「そうはいってもな。ま、できるだけはやるさ」


「あなた、がんばってくださいね?あなたの頑張り次第でおうちのワインがなくなることになりますよ!」


「えーーーー?俺、いつも頑張ってるじゃん・・・」


ぼやくポルちゃんを横目に、我は村長と今日の予定を詰める。


“ハンナちゃん、通訳してね”


我、村人が集まって来る前に、村の黒麦、その他に魔法をかけて収穫できる状態にしておくから、村長は集めた収穫物を食糧貯蔵庫まで運ぶこと。食糧貯蔵庫が満杯になったらもう一つ作っていいか。総動員した方がいいが、生き物の世話をする人たちは除いた方がいいか。収穫し終わった畑には、我が崖向うの森から土持ってきたから肥料代わりに撒いて、また魔法使って収穫できる状態にすること。奥様達には何人か料理を作ってもらうこと。子供たちも果物の収穫物を運んでもらうこと。その間食べても大丈夫なこと。あいているスペースがあったら、そこに崖向うの森から木を持ってきたから、我がそこに木を置いておくので、今後それを使って宿屋やその他必要な建物を作ること(これは我らがいなくなった後のこと)。我、思いつくまま、やることを話す。ぼちぼち村人も集まって来たようなので、我一足先に離脱。





村長宅の前にやってきた村人達。


「あーあー、皆。よく聞いてくれ。今年の天候はだいぶ不順なことは皆も気づいていることと思う。おそらくこのままいくといつ以来かの干ばつになることは間違いない。ワシはスネーク殿と相談して全面的に彼の力を借りることにした。今日明日はいつもの仕事は止めて村の収穫をやってくれ。家畜の世話をしているものはこの限りではない。あーー、スミスもいいぞ!注文したものを作っといてくれ。みんな朝飯は食ったか?」


おー、食ったぞー、俺まだー、馬鹿早く食ってこいやー!いろいろな声が聞こえる。


「それと、スネーク殿に相談した結果、村に新産業を興すことになった。その第一弾が養鶏だ。そのためにボルドウィン殿のお力を借りてガルスガルスの雌を黒色土の森から生け捕りにすることになった。狩りはポルティエ、先ほどの手はず通り20人連れていけ。ガルスの世話に関してはエッゲルト、任せていいか?いま、ガルスガルスの雌が一羽、貯水池のところにいるはずだから、黒麦を持って行ってくれ。たぶん人一人分の量で足りるはずだ」


「ああ、そりゃ構わんが!どこで飼うのか、決めているのか?」


「あああああああああああー、あれかぁ!あれ!そのために作ったんだろ?」


「ボ―ネン、お前には朝一番に説明しただろう?何を聞いとったのか・・・」


「おい、ボーネン?何を聞いたんだ?」


「いや、朝一番でヤギたちを貯水池のところにつれて行ったらよ、得体のしれない塔が建ってるじゃあーりませんか!慌てて村長に報告しに行ったら、スネークがやったんだってよ」


「そうか、あのヘビなら何でもありな気がするなぁ・・・ヘルツ、牛の面倒は任せていいか?これからガルスの世話を考えなきゃならん」


「え―?俺一人?」


「ボ―ネンもいるだろうがよ!」


「だからー!俺一人―?」


「ちょっと待て、それは俺が役に立たないと言ってるのか?」


「正解です!」ニヤニヤ


「それじゃあ、食糧貯蔵庫のカギは開けておくから、皆、刈ってあった黒麦は背負子で持ってきてくれ。足の悪い年寄りたちは、今、家の庭に成ってる果実の収穫だ。子供たちも手伝わせろ。働くことを覚えさせるにはちょうどいい機会だ。あとは・・・」


村長は奥様に首を向ける・・・


「婦人会のみんなは朝から畑の収穫で、それが終わったらみんなの食事の準備。ひょっとしたらスネーク先生が新しい料理を教えてくれるかもしれません!」


「それでは、皆、今日はそんな感じで動いてくれ。あと何かあったら、ワシかエルフさんの二人に聞いてくれ。以上だ。今日明日でこの村の未来が変わるかもしれん。みんなで頑張ろう!」




おおおおお!皆さんの雄叫びが、遠くにいる我にも聞こえてきたヨ。


本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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