朝だ徹夜じゃない!
チチ・・・チチチチチ
小鳥が鳴き始めました。あた~らしい朝が来た! キボーォの朝だ!喜びに腰をひねり、ツチノコ体操!ツィッツィッ!背中を逸らしてグギギギギ!今日も暑くなりそうです・・・さて、昨日一昨日といろいろやらかしまして、もう自重もしなくていいかなぁ。村長宅の庭先に植えた、桃の木1本と柿の木20本に緑魔法をかけます!
“緑魔法Lv.3養分吸収&Lv.4 成長促進!”
昨日植えた柿の種、見る間に成長していき、たわわに実りました。桃の木の方は・・・成ってる数が少ないね。昨夜集めた黒色土の森の土をちょっぴり撒いときましょう。ついでに柿の木の方にも一面に撒いときましょう。さて、朝食代わりに桃と柿をひとつづつ・・・どっちも甘いですなぁ・・・そう言えば、甘い柿は干したらどうなるんだろう?あまり長期保存に向いていない気がしますな・・・我、いくつか柿の実をもぎり
”緑魔法”Lv.5 品種改良!“
“プップー”
“どのような改良を施しますか?”
タンニンが多く、実を大きく・たくさんつけるようにしたい!
“プピピピピ”
”品種改良に条件付きで成功しました。条件:土壌を冨栄養状態にしてください”
ほいさ。そんじゃ、まずは柿の実のまま
“緑魔法Lv.1 発芽!“
うわわわぁ・・・ミからメがたくさんでてきた!ミメ麗しくない!むしろ気持ちわる~!出てきた芽をまとめて
“緑魔法Lv.2 移植!”
うん、相変わらず、この魔法は変な感じ。もやしみたいな芽が空中を浮遊している・・・さっさと土魔法で穴掘って一本一本間隔をあけて埋めていき
”緑魔法Lv.3養分吸収&Lv.4 成長促進!”
たった今芽を埋めたところから柿の木がにょくにょく生えてきて、すぐに実を付けた・・・こちらの実を一つもいで、ガブリ!ぺっぺっ!うん、ちゃんと渋柿でした!ぺっぺっ!
「おはよう、朝から朝飯前の仕事か?精が出るな」
朝一番に会うのは今日もボルちゃんです。軍人は規律正しいですな。
“ボルちゃん、おはようさん。他の人は?”
「奥様と若奥様は食事の準備をしていたのを見かけた。他は知らんな」
“今日はどうするの?”
「まだ馬が戻ってこないからな。動きようがあるまい。何頭いるか知らないが、村総出で馬を使っているのだろうか?」
“いっそのこと、牛を借りる?”
「牛に乗って移動するのか?時間が掛かり過ぎるな」
“村長の話だと、そろそろ街に出かけてた人達がもどってくるんじゃない?”
“そうだなぁ、馬を借りるまでは下手に出ておいた方がよいだろうな・・・”
ボルちゃんは声に出さず、額金通信機で我に話しかける。ああ、村長とポルちゃんが来たのね。
「おはよう、ボルドウィン殿。昨日の疲れは残ってないかな?」
「おはようございます。まあ、あれ位でしたら、とくには」
「さすがエルフ族、一日森を駆け回っても、大丈夫だな!おっ、スネークも起きとるな。昨日のやつ、頼むよ」
“ボルちゃん、ポルちゃんのうちどこか聞いて?”
「ポルティエ殿の家は、ここから遠いのですか?スネークが場所を聞いているのですが?」
「ああ、うちは・・・あの方向の、屋根が尖がってるところだ。見えるだろう?間違えようがない!」
“ああ、あそこね!庭に適当に植えとくよ。そんじゃ、一ジャンプでいってくるわ”
我、庭の桃を一つくわえて、ジャンプジャンプ、大蛇ーーーーーーーーーーンプ!小さいヘビの大蛇ンプ!あたりを見回し、良さげなところに桃を置き、土魔法Lv.1Lv.2で桃を埋め、緑魔法Lv.1で発芽、崖向うの土を植えたところにぶちまけると、緑魔法Lv.3で養分吸収、さらに緑魔法Lv.4で成長促進。立派な桃がなりました。あっという間ですな。我、さっと戻ります。
「もう戻って来たのか、仕事がはえーな!」
とか言いながら、村長んところになっている桃をもしゃもしゃ食ってますな!あ、今度は柿に手を伸ばした!その柿は!
「ぺっぺっぺー!なんだこりゃ!渋柿じゃねーか?スネークよ!どうしたことだこりゃ?」
“普通の柿よりも渋柿の方が長期保存に向くのだ!柿は皮を剥いて干すことで甘くなるのだ!生で食うなら
こっちの方を食べりゃんせ!”
「ポルティエ殿、スネークが、こっちの柿が甘いと言ってます。渋柿を植えたのは、甘い柿より長期保存に向くからだと。皮を剥いて干せば渋柿も甘くなると言ってます」
“食うだけのポルちゃんより、村長に話した方がいいか。渋柿の渋は色々使えるんだぞ。糸に塗れば強くなるし、紙に塗れば防水にもなる。木材に塗ると水に強くなる”
「・・・とスネークは言ってる。信じるかどうかは、村長次第です」
“でもまあ、最初は食糧にした方がよろしかろう。最初に会ったときに言うとったが、何だか雨が降ってないので、干ばつになるんじゃないか?そしたら食い物が足らなくなるだろう。ガルスガルスが食う分も見越して食糧を蓄えていたほうがいいだろう”
「・・・いいだろう、とも言ってるな」
村長は、うんうんと頷きながら話を聞いていた。
「そうだな、スネーク殿の言うとおりだ。ワシも今年は干ばつになると見とる。ここにボルドウィン殿とスネーク殿が来たのは天の配剤と言えるな。スネーク殿の使っている魔法は植物魔法のようなものだろう?種があればいくらでも収穫できるんだろ?」
「そうみたいだな。スネークよ、どうするんだ?」
“そうさな・・・ボルちゃんは木にウに引き続き、ガルスガルスの雌を捕まえて来てくれ。何人か村の人を借りていった方が効率よく運べるんじゃないかな?昨日ガルスを置いたところに塔を作っておいたから、そこに住まわせればいいだろう。我は、こっちで緑魔法を使った方がいいかもね。ここは黒麦・蕎麦が中心作物のようだから、それを促成栽培して、何回か収穫した方がいいね”
村長とポルちゃん、ボルちゃんで今日の予定を話し合う。村長の差配で、今日することが決まる。ボルちゃんとポルちゃん、あといつも門番をやっている若者たちを中心に20名がガルス捜索隊となることが決定。
“ボルちゃんボルちゃん、我らが崖を跳んできたところに、橋を作っといたから、みんなでそれを渡った方が近道になるよ”
「お、お前はそんなこともしていたのか・・・」
「スネークがまた何かしでかしたのか?」
「崖に橋を架けたそうだ・・・森から変な生き物が来ないように門を作ったから安心、とか言ってる。な
んかあったら橋を壊せばいい、とも言ってるな・・・」
「ホントかよ!スネークは植物魔法だけじゃなくって、土魔法も使えるんだな!便利だな!村に一匹欲しいぜ!」
「ボルドウィン殿の用事が済んだらまた村に来てほしいな!」
そんなことを話していたら、本日もやって来た。
「村長―、そんちょー!てーへんだ、てーへんだーーーーーーーーー!」
「何じゃ、今日も朝から騒がしいと思ったらやっぱりボーネンか!どうした?」
「やっぱりじゃねーよ、村長!うぉおお!また村長のところの庭もてーへんなことになってるな!」
「何がてーへんなんだ?落ち着いて話せ!」
「待てよ、ランドルド!落ち着かせるために桃でも食わせてやれや!」
ポルちゃん、勝手に村長宅に生った桃の実を二つもいで一つをボーネンさんに渡します。もう一つは自分用です。君、何個食うんや!
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「で、なにがてーへんなんだ?」
「ヤギを牧草地に話に行ったらよ、貯水池のところに変なもんがだだだっと建ってるんだよ!あっ、スネークがやったのか?」
今頃気づいたのか!そうです、我がやりました!
「それはたぶん、ガルスガルスの塔ですね。スネークが昨晩建てたと言ってました。中には入られたか?」
「いや、急にあんなもんができたら入る気はしないな!」
「ボーネンよ、ワシはスネーク殿と相談して、村に新しい産業を興そうとしている。それがその建物じゃ。村は畜産だけではじり貧じゃ。だから養鶏と、ほかにもいろいろ立ち上げるつもりじゃ。スネーク殿がいる間に、みなのしごとは一時中断、ああ生き物の世話は中断せんでもよい、してもらうぞ。皆を集めてくれ!」
ボーネンさんが村人を集めている間に、朝食となりました・・・
本日はこれにて。
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