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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第2章 機動戦士ツチノコ
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エルフ要塞バウアー・食う


村長宅に到着。出ていった時よりも多くの人が集まっていた。


「あ、エルフさんたち帰って来たぞ!」


周囲から声が飛ぶ。あっという間に人だかりができるが、ボルちゃん、手刀ではいはい通してな、と言いながら村長宅の庭へいく。村長たちは戻ったのかな?庭では昨日までは見なかった大きな焚き火があった・・・キャンプファイヤーかい!しかもひぃふぅみぃよーいつつもある!焚き火は円形に配置され、その中央にはこれまた大きなテーブルが置いてあり、その上には・・・


「わーーーーーーう、オニクだぁ!」


ニク好きエルフのエマさんが嬉しそうに叫んだ。


「あーーー、戻ってきたかい。わしらもつい先ほど家に帰ったばかりじゃよ」


村長さん、ニクを細切れにしながらこっちを向いた。隣はポルちゃんがこれまた一生懸命ニクを細切れにしている。


「ボルさんのおかげで今日は村でニク祭りができるぜ!感謝感激!」


ポルちゃんはボルちゃんをボルさんと呼ぶことにしたようですな。この大量にあるニク、どうやって料理するんだろうと思っていたら、細切れになった端から棒のようなものに刺していって村人に渡していった・・・これは各自でニクを火にあぶって食え、ということだろうか?味付けはどうしたんだろうと思ってたら、シンプルに塩だけでした。へ、ヘルシーですね。それでもここにいる皆さん満足らしい・・・うーん、これでは肉焼くときにやけどしそうですな。我、人のいないところへ行って土魔法で石テーブルを作る・・・バーベキューセットのようなものですな。アミアミにはできないからせめて熱しても大丈夫な石板にする。テーブルの下も石で作り、地面と四方へ熱が逃げないように大きな石桶を作ってみた。あとは・・・石のテーブルで焼いても焦げないように油を使うか。


“ボルちゃん、こっちで肉焼いてみてんか?後、奥さんから油もらって来て”


「あー、奥方。スネークが調理場所を庭に作ったようなので、そちらでニクを焼いてもよろしいか?何だか油を使いたいとのことなので、昼間の油をいただきたいのだが」


「あらまあ、スネークさんはそんなこともできるのね。わかりました、油をとってきます」


アデーレさんに油を取りに行ってもらっている間、薪をエマさんに用意してもらって、ハンナちゃんに火を点けてもらう。我が火魔法使ってもよいのだが、何だかもめ事にしかならない気がしたので黙ってみていた。ハンナちゃんの火魔法は火力が少し弱いのだが、薪はきちんと燃え出した。アデーレさんが油をもってやって来ると、石のテーブルにぶちまけてもらった。ホントは薄く広がるようにヘラかなんかがあった方がよいのだが。エルフ三人の中では料理担当のハンナちゃんにオニクを焼いてもらうことにした。辺りでニクを焼いていた人たちもわらわらこちらへ集まってくる。


”この上にニク置いとくと自分で持たないで焼けるよ!”


「・・・焼けるよ!だそうです。皆さんもお試しください」


みんなが串打ちニクを石板に乗せていく・・・あかん、場所が足りない!我、再び人のいないところで同じシステムをあと5つ作る。子供たちも使えるように高さを抑えて作ったりもした。エマさんとボルちゃんで火を熾してもらいます・・・香ばしい匂いが立ち込めてきましたなぁ!焚き火でニクを焼いていた人たちもこちらの方が便利ということでわらわらやってきて、あっという間に埋まってしまった。


「それでは本日は本村に貴重なマウンテンディアのニクを提供していただいたボルドウィンさんに感謝を!」


村長の号令の下、集まって来た人たちが拍手をする。これで全員なのかな?中には今日あったスミスさんとか、ボーネンさん、エッゲルトさん、ヘルツさんがいた。他にも働くおじさん世代がけっこういた。どこで何してたんだろう?牧畜で食っている村のようだから、バターやチーズを作ってたのだろうか?


「私はアプフェル国の近衛隊筆頭剣士、ミア・ボルドウィンという。とある任務のため本村へ立ち寄らせてもらった。私たちを受け入れてくれた村長並びに村民の皆様に感謝の意を表すため、狩った獲物を供出した。皆さん、今日はニク祭りということで楽しまれてくれ。以上だ」


いつの間にかボルちゃんがあいさつしていたよ。ボルちゃん、あいさつの後皆に囲まれて話をしている。軍人らしくかたっ苦しいが真面目に丁寧に話していってます。ハンナちゃんはどんどん肉を焼いていってお子様達やお年寄り達にあげてますなぁ。若いのに世話焼きなのかもしれません。衛生兵にはぴったりですな・・・最後のエルフ・・・バウアー関、どこからか持ってきた椅子に腰かけて石板で焼いていたオニクを焼けた端からかたずけています・・・動かざること山のごとく、侵略すること火のごとし。


「おお、お姉さんすごい食いっぷりだねぇ!」


「ほら、ヴァッへ、狩りでは負けたんだから、大食いで勝ちにいけよ!」


あ、ヴァッへ君もそこにいるのね。ヤジに乗せられてヴァッへ君が大食いチャレンジをしていますが、バウアー関、我関せずと静かにニクを片付けること林のごとし。よく塩味だけであんなに食べられるな!それと野菜も焼いて食べなさい!赤根とか、丸根とか、いろいろあるでしょ!あ、あと油の代わりにバターを使ってお助けイモを焼くのもありですな!あ、そんなこと考えてたらヴァッへ君の動きが止まった。腹いっぱいになったようだ。まだバウアー関はニクを食らい続けている。どれだけ食うんだ一体!






ひとしきり挨拶をし終わった後、ボルちゃんが村長のところに行って話をしている。我もそちらへ行ってみる。


「それで、村長殿。ガルスの雌を貯水池のところに置いているのだが、あそこに養鶏所をつくってもよいか?」


「ああ、全然かまわんよ。むしろありがたい位だ。新しい仕事が増えるんだからな」


「雌を何羽か生け捕りにした方がいいかもしれないな。ガルスガルスは一日でどのくらい卵を産むか知らんが一羽だけでは仕事にならんだろう。それとエサ代も馬鹿にならんと思うが?」


「そうだなぁ、週に一度、村人に卵一つを食べさせることができるくらいにはしたいな」


「雌の数次第ということかな?あっ!そう言えば!」


“スネークよ、プリンとやらはどうなった?すぐに作れるのか?”


“牛乳、バター、卵が手に入ったから、あとは甘味をどうするか何だけど・・・”


「どうした、ボルドウィン殿?」


「いや、スネークのやつが卵を使ってプリンなるものをつくってくれるというのだが、甘みが足りないと言っていてな」


「甘みというと蜂蜜とかか?」


“いやー、蜂蜜よりも、植物の汁を使った甘味があればいいんだけど・・・砂糖とかはないよね?”


「甘みと言えば果物の干したやつとかでいいのか?」


「いや、砂糖が欲しいと言っているが」


「そんな高級品はちょっと手が出せない」


“やっぱり砂糖はお貴族様御用達かな?でもあることはあるんだ。イモから作れないかな?”


我、お助けイモを用意してもらって、金魔法を使ってみる・・・




“金魔法Lv.1”

“ン デデデデーン”

“なにをどうされますか?”


また聞こえたあいまいな質問!お助けイモから砂糖を作りたいんだけど・・・


“テロリン”

“金魔法Lv.1抽出固定になりました。金魔法のレベルが上がりました”

”金魔法”Lv.2分解“

“テ・テ・テ・テーン“


変な音とともに、白い粉とイモの残りかすが分かれた・・・


“ハンナちゃんちょっと!この白い粉なめてもらえるか?”


オニクをひたすら焼いていたハンナちゃん、こっちへ来ると、言ったとおりに白い粉を人差し指につけて

舐めてみる。


「あ、甘い!スネークちゃん!!これはなんですか!!!」


”これは、たぶん糖やね。甘みの元や。お助けイモがあれば作ることができることが分かったから、明日プリンを作りましょう!“


「・・・作りましょう!とスネークちゃんがやる気を出しています。しかし、卵の量は足りるのでしょうか?」


「村人全員というわけにはいかなそうだな・・・」


「明日もガルスを狩ることになるのか・・・」




ため息をつくボルちゃんであった・・・




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