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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第2章 機動戦士ツチノコ
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恐怖!機動ビッグ・ガルス

タイトルに偽りの可能性があります^^

どうも体調不良でお話を考えてる余裕がありませんでした。



岩場から離れたエルフ剣士ボルドウィン。しばらくは気配を消して静かに動いていく。まだまだガルスガルスの気配は濃厚だが・・・


「ふむ、ここらは雄しかいないようだ・・・雌はどこかな?」


気配を殺すのを止め、高速移動に切り替える。上り坂でしかも木が生い茂っているが、エルフ族には問題にならないようだ。平地を駆けるがごとく進んでいく。



一山を越え、なおも進んでいくと再びエルフ剣士ボルドウィンは水場を発見する。ここいらで小休止するか、と思ったその時!


「どでかい気を感じるな・・・あちらの方向か!」


再び気配を消し、水の流れていく方向へ進んでいく。目視できる領域には気の持ち主はいない・・・四つ足獣の気ではなさそうだ。地面よりも高いところにその気が感じられた。


「ははーん・・・樹冠に巣をつくってるようだな」


ボルドウィンは目的の獲物を発見した!目線の先には、ひときわ大きな樹木の頂上に枝でできた大きな鳥の巣が鎮座していた。獲物はそのなかにいるようだ・・・ボルドウィン、気配を消したまま、腰のポーチから世界樹の生えていた山のふもとで採取したマヒマヒの実を取り出し、近くに会った大きな石の上に置き、もう一つ握るのに手ごろな石を使って実をすりつぶしていく・・・


「ここからだと少し距離があるかな?半分で足りるか?」


そう呟きながら半分はポーチから取り出した皮袋に収め、もう半分はそこらで拾ってきた小枝になすりつけていく。


「今は風もないし、このまま木の真下でも大丈夫か・・・」


そう言って実をすりつぶしたものと一緒に小枝を置き、食ところから魔道具を取り出して火をけた。何もしていない小枝が燃えだした後、実をすりつぶしたところから白い煙が立ち上る・・・


「準備はできたな」


ボルドウィンはまっすぐに白い煙が立ち上るのを確認すると、その煙を吸わないように風上にある木の裏に隠れた。煙は木に沿って立ち上り、周りの木々よりも高いところに来ると見えなくなって拡散していく・・・


「これで効くかな?」


マヒマヒの実は、すりつぶしてやじりや剣につけ、直接獲物に傷をつけて獲物をしびれさせる薬効がある。しかし、あの巣にいるのはおそらくガルスガルスの雌・・・生け捕りを狙っているボルドウィンとしては傷をつけるわけにいかず、次善の策としてマヒマヒの実の成分を煙として獲物に吸入させようというものだ。その狙いは成功した。鳥の巣から出てきたのは・・・今までのガルスガルスとは違う、巨大な鳥だった。形状はガルスガルスに似ているものの、鶏冠がない!目的のガルスガルスの雌だ!二本足で巣からでてきたガルスガルス。雄鶏のガルスガルスより十倍の大きさはあろうか!


「これが、ガルスガルスの雌か・・・」


下から見ていたボルドウィン。そのせいもあってか雌のガルスガルスは鳥とは違う別の生き物のようにも見えた。ビッグガルス、巣から出たはいいが、何やら頭がふらついている・・・


「マヒマヒの煙の効果はあったようだな・・・」


頭があっちへゆら~り、こっちへゆら~り・・・気絶したままあそこから落ちれば大怪我だ!ボルドウィンは木の下で燃やしていた小枝に土を被せ火を消してこれ以上煙が出ないようにした。ここからは時間との勝負。煙がなくなったのを確認すると、素早く木を駆け上り、一気にビッグガルスの足元へたどり着くと、ポーチから縄を取り出しビッグガルスの二本の足へと巻き付ける。さらに別の縄を取り出すと、跳ねを使われないように体中を縛り上げた。あとは足に巻き付けた縄の一端を折れそうにない枝に縛り付け、拘束完了。ボルドウィン、巣の中に潜り込み、たくさんあったガルスガルスの卵を巣ごとポーチの中に回収した。


「これでもう本当のホントにぎりぎりだったな」


世界樹のところで集めた素材でボルドウィンの魔道ポーチにはもうわずかの余地しかなかったが、これで最大容量となった。ボルドウィンは緩やかにビッグガルスを下ろしていった。地上に下ろしたところでビッグガルスは目覚めるが、その直後に先ほど作ったマヒマヒの実のすりつぶしたものをくちにつっこまれ、それを飲み込んでしまった。再びビッグガルスは眠ったように動かなくなった。


「このマヒマヒの実は私の知っているものとは効き目が違い過ぎるな・・・スネークにもっと作ってもらうか」


さてと、とつぶやいたボルドウィン、はたと気づく。こんな大きな獲物抱えられるか?獲物の大きさに恐怖するボルドウィンだった・・・結局背にしていた背負子をビッグガルスの頭にかぶせ、本体を縛った縄で持ちて部分を作り、背に負い、来た道を引き返すエルフ剣士であった。




一方その頃。滝を越え、黒色土の森に入った若手門番二人組。次第に渓流の色が濁っているのに気づいたが、探しているガルスガルスの気配もなく、そのまま遡上していき、大きな岩場近くにやって来た・・・


「あれ?何だか、話し声が、聞こえるよぅ?」

「こんなところで話し声がするわけねぇだろ?とうとうボケが始まったんか?」

「ボケてるのはそっちだよぅ?よく聞けよぅ!」

「あれ?ホントだ。しかも声だけじゃないような?ギャッギャいってるな!」


二人、音のする方へそーっと近づいてみると、村長と老門番がゴブリンたちと一緒にいる!襲われている?それにしては和やかな雰囲気だ。二人とも意を決して近づく。


「おぅ、お前ら遅かったな?もうこの時間じゃあ引き返すしかないぞ?それでガルスは・・・狩れてないな、やっぱり!」

「やっぱりとは何ですか!それとお二人はどうしてここにいるのですか?そしてこのゴブリンたちいっしょなのは何事ですか?さらにそのニクは一体何なのですか?」


老人二人組は若手二人組に今日の出来事を話す・・・エルフ剣士は午前中だけですでに七羽のガルスを狩ったこと、そのついでにマウンテンディアも狩ってること、このニクはマウンテンディアを解体したもの、エルフの従魔のヘビがゴブリンと知り合いで血抜きの際に見張っててもらったこと、その報酬にいろいろ渡すこと、二人だけだと持って帰れないので持って帰れる分以外はゴブリンたちに渡すことになったこと・・・。


「お前ら二人もいればもっと肉を村に持って帰れるな!よかったよかった!」

「しかしボルドウィン殿が戻ってきたらゴブリンたちに渡せるニクはなくなるんじゃないかな?」

「あの剣士さんならまた山のようにガルスを狩ってくるに違いないぜ!だからこっちのニクを持って帰るような余裕はないだろ!」


老人二人ガハハと笑い合う。つられてゴブリンたちもギャバババと笑ってた。あっけにとられる若手二人であった。


「そんじゃあお前さんたちにもニクを運んでもらうぜ。ヴァッへは右後ろ脚、ヴェヒターは左後ろ足、ポルティエは前足二つ、ワシは胴体をできるだけもっていく。それでいいか?」

「村長さん、頭はどうするんだよぅ?」

「ああ、頭は解体するのが面倒なんでゴブリンたちにやることになってる。もともと角をやることになってたらしいからな。解体の手間を考えると頭ごとやった方がいいだろ?それじゃ、来たばかりですまんが、帰ることにするか!狩りはお前らの負け!」

「えーーーーーーー!」

「いや、たぶんこんなことになるんじゃないかと思ったよぅ!」


おのおのニクを担いでいく基本人族の四人。ゴブリンたちに別れを告げると、若手二人の来た道を引き返すことにした。こんなにニクを抱えてたんじゃあの崖は越えられないという判断からだった。





ボルドウィンがマウンテンディアを解体された場所に戻って来た時にはすでに誰もいなくなっていた。


「解体は無事終了したようだな」


そう判断すると、ボルドウィンはツチノコ作成簡易ハウスを経由して村に帰ることにする。こちらの方が圧倒的に時間がかからないからだ。黒色土の森と村を分ける崖を、一旦背の荷物を置き、ガルスを結んでいる縄の一端に石を括り付け、その意思を崖の向こう側に投げ込む。ボルドウィンが崖を跳びこしてから、その縄を手繰り寄せてこちらに持ってくることで渡っていった。一度ガルスが目を覚ますが再びマヒマヒの実をすりつぶして今度は全部飲ませる。半分で麻痺しているのが3時間ぐらいだったから今度は6時間ぐらい持つかな?


辺りはもう薄暗くなってきていたが、無事門のところへたどり着いたのだった。




本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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