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クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎてポンコツにしてしまった件について【C4️⃣が8/8に発売!】  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第二部

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88話 親友の再登場

 雨音姉さんは、玲衣さん、夏帆、琴音の三人が俺のことを大好きだと言った。

 だから、三人の美少女を、俺が自由に選ぶことができる。


 それは……一面では事実なのかもしれない。

 だけど……そんな考え方をすることは、俺にはできなかった。


 夏帆はずっと昔から俺のことが好きで、琴音は強引に俺の婚約者になるほど俺を慕ってくれている。

 そして、玲衣さんも……俺のことを大好きだという。


 睡眠不足の頭のなかに三人の顔が思い浮かぶ。

 結局、あの後、玲衣さんたちがふたたび突入してきて、雨音姉さんを俺から引き剥がした。


 雨音姉さんは残念そうにして、それから舌をぺろりと出してくすっと笑っていた。

 こうなることを予想していて、俺をからかったんだと思う。


 雨音姉さんに胸を押し当てられていたところを、玲衣さんたち三人には目撃されてしまった。

 だから、三人の目がちょっと冷たい……。


「やっぱり、晴人先輩って胸が大きい人が好みなんですね?」


「いや、そういうわけじゃなく……」


 隣を歩く琴音が、ジト目で俺を睨む。

 今、俺、玲衣さん、夏帆、琴音の三人は、一緒に朝の街を歩いていた。

 アスファルトの下り坂だ。


 琴音も途中までは一緒の道だし、四人で一応登校中なわけだけれど……。

 突然ひしっと琴音が俺の腕に抱きつく。まるで胸を押し当てるかのように


「こ、琴音!?」


「まえも言いましたけど、私はまだ成長途中ですからね!」


「せ、成長途中って……」


 俺は思わず、琴音の胸を見る。制服の上からだけれど、小さな膨らみがはっきりと見て取れた。

 それが今、俺に押し当てられている。


 くすっと琴音は笑った。


「私は晴人先輩の婚約者ですから。成長して結婚したら、いつでも私の胸を触り放題です」


 そう。

 いまや琴音は俺の婚約者になっている。遠見家の力によるものとはいえ、琴音と俺が将来結婚する約束をさせられているのは事実だ。

 この状態では、玲衣さんにしても夏帆にしても、付き合うことができない。


 琴音はとても嬉しそうだった。


「子どもは何人がいいですかね―。女の子だったら、私のような可愛い子どもになるでしょうし、楽しみですね♪」


「琴音ちゃん……調子に乗りすぎじゃないかな」


 横から夏帆が口をはさむ。むうっと頬を膨らませて、俺と琴音を見比べている。

 そして、夏帆もえいっと俺の腕に抱きついた。


 夏帆はにやりと笑う、そして、胸の双丘のあいだに俺の腕を挟むようにする。


「あたしの方がずっと大きいものね。どう?」


「ど、どうって……」


 たしかに夏帆のほうがずっと体つきは女性的で、大人びている。

 俺が赤面したのを見て、してやったりと夏帆の顔が嬉しそうにほころんだ。


 今度は琴音が不満そうに言う。


「夏帆さん、ずるいですよ! 色仕掛けなんて卑怯です!」


「最初にやったのは琴音ちゃんでしょう?」


 二人の美少女が俺の肩越しに言い合う。そのあいだも、ふたりとも俺にその柔らかい胸の膨らみを押し当てている。

 思わずくらりとしそうになり、ふと気づく。


「夏帆と琴音、いつのまにか仲良くなった?」


「どうしてそう思うんですか?」


 琴音が不思議そうに問う。


「前は『佐々木先輩』と『琴音』って呼び合っていたのに、今は『夏帆さん』と『琴音』だったから」


 夏帆と琴音は顔を見合わせ、そしてくすくす笑った。


「うん。あのあと琴音ちゃんとはいろいろあったものね」


「一緒に晴人先輩の初めてを奪おうとした仲ですものね」


 昨日の夜、二人から同時に寝室で迫られたときはどうしようかと思ったけれど、夏帆と琴音が親しくなったなら、それはそれで良かったかも知れない。


 あとは……。

 俺は二人の顔を見比べた。


「ええと、それで、腕を放してくれない?」


「ダメだよ」「ダメでーす」


 夏帆と琴音はほとんど同時にそう言って、そしてくすくすと笑った。

 本当に仲良しになってしまったみたいで、これはこれで困るかもしれない……。


 そんななか、玲衣さんだけは一人静かで、なにか物思いにふけっているようだった。

 玲衣さんが「わたしだけ、何もない」と言っていたことを思い出し、心がちくりと痛む。


 俺は……玲衣さんの力になりたい。でも、今の状況は……。


 ちょうど交差点に差し掛かる。信号が赤になった。


 美少女に両腕を組まれた状態のままで、俺は内心冷や汗をかく。

 このあたりから人通りが多くなってくるし、そろそろ放してもらわないと恥ずかしい。


 そんなとき、俺たちは一番会うと困る人間に会ってしまった。


「なにやってるの、アキくん?」


 小さなささやくような声に、俺は振り返る。

 そこにいたのは、とても小柄なセーラー服の少女だった。


「……ユキ」


 俺はつぶやく。


 ユキは、夏帆の親友で、俺と夏帆の仲を取り持とうとしてくれた大事な友人だ。

 そして、ユキは……俺のことが好きなのだった。

<大切なお知らせ>

ヒロイン確定ラブコメの新作


『ツンデレ北欧美少女のクラスメイトが、婚約者になった途端にデレ一辺倒になってしまった件について』(下記URL)


を投稿しています! デレデレ同居生活のコンセプトは本作と同じで、より糖度高めで行くのでお読みいただければ嬉しいです!


https://ncode.syosetu.com/n2174hf/


クールな女神様もユキ再登場です! ちょっと二章全体の改稿を考えています。


ポイント評価等で引き続き応援いただければ幸いです!


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