82話 晴人くんの赤ちゃん
遠見の屋敷の俺の部屋。
そこで俺と玲衣さんは二人きりだった。
しかも、玲衣さんは下着姿で。俺の上に馬乗りになっている
身動きしようにも、玲衣さんは俺の唇を強引に奪っていた。
まさか突き飛ばすわけにはいかない。
自分の体温が上がってくるのを感じる。
この部屋には誰も来ない。
玲衣さんは俺と……そういうことをしたいと言い、俺がその気になれば、何でも受け入れてしまうだろう。
玲衣さんは長いキスを終え、俺を見つめた。
「晴人くんは……わたしのこと、嫌い?」
「そんなことないよ」
「なら……してほしいな。何も見返りなんていらない。ただ、晴人くんの初めてになりたいだけなの」
俺が答える前に、玲衣さんはふたたび俺の唇を塞いだ。
ふわりと甘い香りがする。
もしここで、俺が玲衣さんを襲えば……玲衣さんは本当に喜ぶんだろうか。
少なくとも、夏帆のことも琴音のこともちゃんとしないまま、流されるのは最低じゃないだろうか。
俺はなんとか玲衣さんを押し留め、その情熱的なキスから逃れた。
「玲衣さん……こういうのは良くないよ。もしするなら、ちゃんと俺が告白してから……」
「そうやって逃げるんだ?」
玲衣さんは頬を赤くして俺を睨んだ。
「逃げてなんかいないよ」
「晴人くんの嘘つき。意気地なし!」
玲衣さんは頬を膨らませ、そして、ブラジャーのホックに手をかけた。
……もしかして裸になるつもりなんだろうか。
「晴人くんがその気にならないなら、力づくでもそうさせてあげるんだから!」
「お、落ち着こう、玲衣さん……」
いよいよ玲衣さんが下着も脱ごうとしたそのとき、部屋の障子が開いた。
俺も玲衣さんもびくっと震え、おそるおそる入り口の方を見た。
そこには割烹着にセーラー服姿の小柄な女の子が立っていた。
可愛らしい雰囲気で、三編みにした髪がよく似合っている。
住み込みの女子高生メイドの渡会さんだ。
うろたえて顔を真赤にしている。
そして、その後ろには三人の女性がいた。
俺の幼馴染の夏帆、婚約者(予定)の琴音、そして従姉の雨音姉さんだ。
思わぬ妨害に玲衣さんは慌てたようで、そして、ほぼ裸の自分の姿を隠そうとしていた。
夏帆たちはみんな不機嫌そうだった。
「この屋敷なら抜け駆けができると思いましたか? 残念でした、姉さん」
琴音が楽しそうな口調でいうが、目が笑っていない。
夏帆も「晴人の初めてはあたしなんだから……」と小声でつぶやいている。
雨音姉さんは呆れた様子だった。
「あのね、水琴さんが晴人のことを好きなのはわかるけれど、あまり強引なのは感心しないな。もし晴人がその気になったらどうするつもりなの?」
「覚悟は……できてます」
「避妊は?」
雨音姉さんの言葉に、玲衣さんは顔をますます赤くした。
そのことを何も考えていなかったらしい。
「うっかり赤ちゃんでもできちゃったら大変でしょう?」
「そう……ですね。でも……晴人くんの赤ちゃん……ほしいかも」
玲衣さんはそう言って、ショーツのみを身に着けた下腹部を、白い手でさすった。
そして微笑んで、うるんだ瞳で俺を見つめた。
俺はさすがにびっくりし、夏帆たちもフリーズしていた。
さすがに気が早いのでは……。
と、琴音が口をはさむ。
「先輩の婚約者は私ですよ? 先輩の子どもを生むのは私なんです」
「は、晴人が好きなのはあたしだもの。あたしが将来は晴人と結婚して……その、子供を一緒に育てるんだから!」
夏帆が慌てた様子で、首筋まで赤くして言う。
二人ともとんでもないことを口走っている自覚はあるんだろうか?
「そのうち五人で一緒にすることになったりして」
雨音姉さんがため息をつきながら言う。
……五人? 俺と玲衣さん、夏帆、琴音、あと一人は?
雨音姉さんはくすっと笑って、俺の耳元に口を近づけた。
「私に決まってるでしょ?」
☆あとがき☆
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