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クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎてポンコツにしてしまった件について【C4️⃣が8/8に発売!】  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第二部

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81話 わたしだけ何もないの

 俺たちはやっと屋敷に戻ってこれて、くたくただった。

 アパート時代とは違って、この屋敷の離れでは、俺も玲衣さんも夏帆も雨音姉さんも、別々の部屋が与えられている。


 広い部屋の中で一人、布団に横たわる。

 と、これまでのことを思い出して、恥ずかしくなってきた。


 ただでさえ、玲衣さんと夏帆の二人に好きだと言われて、キスもしたのに。

 この上さらに、琴音からも告白され、相手から迫られたとはいえ、何度もキスしてしまった。


 しかも、琴音の祖父は、俺を遠見グループの後継者候補とし、琴音と婚約させるつもりらしい。

 俺がもともと好きなのは夏帆だった。

 けど、いろいろな事情があって、夏帆からは一度は振られてしまって、玲衣さんと出会って……。

 いま、俺が好きなのは、たぶん玲衣さんなのだけれど……。


 我ながら煮え切らないな、と思う。

 このまま、というわけにはいかない。


 そんなことを考えていたら、目が冴えてきた。

 急に部屋の障子戸が開けられ、薄い光が入ってきた。


 こんな時間に誰だろう?

 俺は驚いて飛び起きようとしたが、それよりも相手のほうが速かった。


 相手は布団の上の俺に覆いかぶさった。


「晴人くん……」


 甘えるような、綺麗な響きの声で名前を呼ばれる。

 俺に覆いかぶさった少女は、玲衣さんだった。

 青い瞳は潤んでいて、薄明かりに照らされた頬は真っ赤だった。


 そして、純白のブラジャーとショーツ以外、その体には何も身につけていなかった。

 白い肌が目にまぶしい。


「れ、玲衣さん……その格好……!」


「お、驚いた?」


「そりゃまあ……」


 玲衣さんはするりと俺の布団の中に潜り込む。

 体温が上がるのを感じる。

 玲衣さんの体の柔らかさと暖かさが伝わってきて、その甘い匂いにくらりとした。


 玲衣さんは俺の耳元のすぐそばでささやく。


「えっと、その、嬉しい?」


「それはどういう質問?」


「男の子って、こういうのを喜ぶかなと思って……」


「たしかに嬉しいけど……」


 俺はつい本音をしゃべってしまった。

 アイドル並みに可愛いクォーターの美少女が、下着姿で俺に迫っているのだから当然だ。


 玲衣さんは嬉しそうに笑って、その仕草も可愛かった。


「で、でも、玲衣さん。こんな状況になったら……俺が玲衣さんを襲ってしまいかねないというか……」


「……襲ってほしいの」


「え?」


「晴人くんなら、何をされてもいいもの」


 そういって、玲衣さんは俺の唇を奪った。

 まだちゃんと彼氏彼女になったわけじゃないのに、俺はもう、何度も玲衣さんとキスしてしまった。

 その上、玲衣さんは自分を好きにしていいという。


 長いキスのあと、玲衣さんはくすっと笑った。


「つまりね、わたしは夜這いに来たの」


「どうして……」


「だって……わたしが一番何もないもの」


「え?」


「佐々木さんは晴人くんの幼なじみで初恋の人。雨音さんは晴人くんの従姉で大事な家族。琴音は晴人くんの婚約者になるんでしょう。でも……わたしにはなにもない。クラスメイトで、偽物の恋人で、少しだけ血がつながっていて……どれもダメ。わたしが一番、晴人くんにとって、どうでもいい存在な気がして」


「どうでもいい存在なんかじゃないよ」


「でも、わたしはそう思っちゃうから。だからね、わたしは晴人くんのはじめてになりたいなって思ったの」


「で、でも……」


「わたしもはじめてだよ。わたしのはじめてを晴人くんに上げるから、わたしを晴人くんの大事な人にして」

 

「そんなこと……」


 俺の言葉はさえぎられた。

 ふたたび玲衣さんの赤い唇が、俺の口を塞いだからだ。


 こんなとき、アパートだったら、夏帆か雨音姉さんのどちらかがやってきて、玲衣さんの行動を止めたと思う。

 でも、今の玲衣さんを止める人はいない。


 玲衣さんは俺の口から離れると、ささやいた。


「好き」


 そして、またキスをする。

 すぐに唇を離して、微笑む。


「わたしを助けてくれた晴人くんのことが好き。孤独なわたしを救ってくれた晴人くんのことが好き。晴人くんの一番じゃなくてもいいの。晴人くんがわたしのことを……見ていてくれればいい」


 玲衣さんはふたたび唇を重ね、そしてその柔らかい体を俺に重ねようとした。

【あとがき】


玲衣さんのターン!




玲衣さんが可愛い! 面白い!と思った方は



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↓の書籍化ラブコメ作品も予約が始まっていますのでよろしくお願いいたします……!

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― 新着の感想 ―
玲衣ちゃんはお母さんと同じ立場になろうというのか? そんな展開はこの物語の正当なヒロインなのだから、あり得ないとは思うけど。
[一言] でも最後までいかないでしょ?晴人の場合、あーだこーだと言って時間かかってハイ!終わりって感じで終了しそうだもん。何より玲衣に自分には何もないなんて言わせてしまってる晴人が一番ダメですね。玲衣…
[良い点] 玲衣さん、ていてぃなぁ
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