コミックス3巻発売記念SS「わたしがあなたの女神だから」
クールな女神様、コミックス3巻が2/12から発売中です!!! その他の告知はあとがきにて!
2月14日。いわゆるひとつのバレンタインデーだ。
ただ、俺はそんなことを意識する間もなかった。
柔らかい感触が当たり、布団の中で目を覚ます。
時計を見ると、朝六時だ。ぼんやりと寝ぼけ眼をこする。
ところが、布団がもぞもぞと動いている。
温かい……人肌だと気づいて俺はぎょっとする。
布団の中からひょこっと玲衣さんが顔を出す。パジャマ姿だ。
今、俺と玲衣さんは遠見家の屋敷で同居中だけど、部屋は別。夏帆や琴音、雨音さんもいるし。
だから、玲衣さんがこんなところにいるはずないのだけれど。
玲衣さんは恥ずかしそうに目を伏せ、微笑む。
「来ちゃった」
「き、来ちゃったって……」
「バレンタイン、佐々木さんたちも晴人くんにチョコを渡すでしょ。だから、一番乗りしたくて……」
それにしても、こんな形だなんて思いもしなかった。
玲衣さんが俺に馬乗りになるような格好で、互いに密着しているし……。
玲衣さんはハート型のチョコを取り出すと、それを口にくわえた。
そして、そのまま俺に顔を近づける。アイドルのような端整で可憐な顔を見て、俺はうろたえた。
玲衣さんが期待するようにじっと俺を見る。
つまり、口移しで食べさせようということなのだろう。
潤んだ青い瞳で玲衣さんに見つめられ、俺も覚悟を決めた。
俺はパクっと玲衣さんのくわえたチョコを、自分でもくわえる。そのまま玲衣さんの唇が触れそうなほどの距離にまで近づいた。
ポッキーゲームのようだ……。
俺はなんとかチョコを食べきる。キスは回避。
玲衣さんががっかりしたような表情をした。
「そのままキスしてくれても良かったのに」
「そ、そういうわけには……」
こんな状況でキスをしたら、俺の理性が保てるかもわからない。
「でも、チョコは美味しかったよ。ありがとう」
「良かった。でも、本当のプレゼントはわたしだって言ったらどうする?」
「嬉しいけど困っちゃうかもしれないな」
「困ってる晴人くんも可愛いけど」
玲衣さんはそっと指先で俺の頬をなぞる。
くすぐったさに、俺は反撃したくなる。たとえば、このまま玲衣さんを押し倒したら……。
俺は邪念を振り払った。
玲衣さんはくすりと笑う。
「バレンタインデーってもともとはローマの女神の日だったんだって」
「女神ユノ、だっけ。たしか……」
「結婚の神様、だよ?」
玲衣さんは微笑む。
「わたしがあなたの女神様だといいんだけどな」
玲衣さんはそう言うと、俺にしなだれかかり、その華奢な身体の体重を預けた。
俺は……玲衣さんを抱きしめ返し、ふわりとした甘い香りが鼻腔をくすぐった。
クールな女神様のコミックス、3巻も玲衣さんをとても可愛く描いていただいています。パンチラや胸の大きさが強調されているシーンもドキドキして素敵です!
他にもこんな感じで直近で刊行&出版予定があります! どれもぜひお手にとってくださいね!
<直近の新刊>
キミの理想のメイドになる! 1巻
皇女殿下の師匠、4巻
クールな女神様、コミックス 3巻
<今後の発売予定>
『北欧美少女のクラスメイト』3巻!
『落ちこぼれ魔剣士の調教無双』2巻!
『美少女皇女ハーレム』2巻!
『年下お姫様に振り回される大正ロマン結婚生活』1巻!