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最終話 クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎて恋人になってしまった件について

書籍3巻が本日発売です!

「わざと当ててるのはもっとダメな気がする……」


「それにしても、この部屋、暑いよね」


「全然、そんなことないと思うけど」


 まだ暖房が十分に効いていないのか、かなり寒い。

 なのに、玲衣さんは暑いという。それは酒のせいだと思う……!


 玲衣さんがセーラー服の上着を脱ごうとするので、俺は慌てて止めた。

 不満そうな顔を玲衣さんはする。


「なんで止めるの?」


「いや、普通は止めると思うけど……暑いなら暖房は切るから」


「わたしの下着姿も見たことあるのに、いまさら恥ずかしがるの?」


 言われてみれば、風邪を引いていたとき、俺が身体を拭くために玲衣さんは下着姿を見せた。

 それに、一緒にお風呂に入ったときは、裸にバスタオル一枚という格好だった。


 だから、セーラー服の上着を脱ぐぐらい大したことじゃない……わけがない。状況が違いすぎる。

 玲衣さんはお酒のせいで羞恥心皆無になっているし、俺が止めないといけない。


「だいたい、セーラー服の下ってキャミソールとか着ているの……?」


「晴人くんはどう思う?」


 いたずらっぽく玲衣さんは微笑む。

 明言はしていないけれど、たぶん、下着しか着ていないんだろう。


 酔っ払いの玲衣さんに、下着姿で迫られたら、俺も冷静でいられるかわからない。

 だ、断固として止めないと……。


 ところが、玲衣さんがさらにとんでもないことを言い出す。


「わたしは今、ここで結婚してもいいのに」


「へ!?」


「そういうつもりで、わたしはここに来たんだよ?」


 今、ここでできる結婚……。一瞬で、俺も、玲衣さんの言いたいことがわかった。

 ぶんぶんと俺は首を横に振る。


「れ、玲衣さん……それはダメだ! だって、俺たちはまだ高校生で……」


「もう高校生。そうでしょう?」


 玲衣さんはそう言うと、勢いよくセーラー服を脱いでしまう。

 透き通るような白い肌が目に眩しい……。玲衣さんの上半身は、赤色の透けた下着のみになる。

 胸のあたりも大きく開いた派手なものだ。


「これっていわゆる……」


「勝負下着なの」


 玲衣さんがふふっと笑って言う。俺はうろたえて目をそらすと、玲衣さんがぎゅっと俺の手を握った。


「スカートも脱いじゃおうかな」


「れ、玲衣さん……」


「晴人くん。エッチなことを想像している?」


「流れ的には、そういうことを想像しちゃうよ……」


「わたしはね、晴人くんの想像するようなこと、されても……いいよ」


「えっ」


「結婚、して?」

 

 玲衣さんはゆっくりと言い、そして目を伏せる。

 酒に酔っていても、恥ずかしいこともあるらしい。

 

 今、ここでできる結婚。


 玲衣さんが俺の手を引っ張り、二人そろって床に倒れ込む。俺が玲衣さんを押し倒す形になった。

 そして、すぐ目の前には、玲衣さんの驚くほど整った顔と、華奢な身体がある。


「晴人くん……」


 玲衣さんはぎゅっと目をつぶり、俺の名前を呼ぶ。

 俺は止めることができなかった。玲衣さんの想いのすべてを受け入れてしまいそうだ。


 けれど、玲衣さんはもちろん、俺もアルコールのせいで正常な判断ができていない。

 こんなときに、そんな大事な決断はできなかった。


 俺がそう言うと、玲衣さんは首を小さく横に振った。


「わたしは晴人くんが好き。それではダメ?」


「ダメということはないけど……いつもの玲衣さんとはやっぱり雰囲気が違うよ」


「そうかな。……お酒を間違って取っちゃうなんて、わたしもドジだよね」


「たまにはそういうこともあるよ」


「ううん。わたしって、みんなが思ってるほど、完璧じゃないの。晴人くんはよく知っていると思うけど……」


 たしかに玲衣さんは学校では完璧超人だと思われていた。でも、一緒に暮らしてみて、玲衣さんが意外と抜けていたり、辛いものが食べられなかったり、人付き合いが苦手だったり……といろんな弱点があることを知った。


 でも、俺はそういう弱点を含めて、玲衣さんはとてもとても魅力的だと思う。俺にしか見せてくれない、玲衣さんの可愛らしい姿や、甘えたがりな一面が、俺は好きだった。


 玲衣さんはふわりと優しく微笑む。


「晴人くんは、そんな弱いわたしでも受け入れてくれた。だから、わたしは晴人くんのことが好き。晴人くんにいっぱい甘やかされたせいで、わたしはもっとポンコツになっちゃった」


「お、俺のせい……かな?」


「そうだよ。でも、わたしはそんな晴人くんの優しさが好き。甘やかしてくれる晴人くんが大好き。だから、わたしを甘やかしすぎた責任、とってくれる?」


 玲衣さんはそう言うと、俺の右手をその小さな手でそっと包む。

 心臓が鐘のように高い音を立てて鳴り始める。思考がまとまらない。

 俺も……玲衣さんのことが好きだ。


 最後のきっかけは、玲衣さんがささやいてくれた。


「わたしが晴人くんにそういうことをしてほしいのは、お酒のせいじゃないよ。だって、最初からそのつもりで、ここに来たんだもの」


「俺は……」


「晴人くん……」


 玲衣さんがこれまでにないほど甘い声で、俺の名前を呼ぶ。


 玲衣さんにここまで言わせてしまったのだから、俺も覚悟を決めないといけない。

 そのまま俺は玲衣さんの唇を奪う。そして、キスを終えると、その下着に手をかけた。


「あっ……」


 玲衣さんが恥ずかしそうな、それでいて嬉しそうな悲鳴を小さく上げた。

 

「俺は玲衣さんのことが好きだ」


 玲衣さんがその瞬間、ぱっと顔を輝かせ、サファイアのような美しい目を見開いた。


「わたしたち……本物の恋人だね。わたしも……晴人くんのことが大好き」


 玲衣さんの青い瞳に涙が浮かんでいて、幸せそうな笑みを浮かべている。だいぶ待たせてしまった。

 でも、今はもう、俺は玲衣さんのことしか考えられない。


「玲衣さんを甘やかしすぎた責任、取るよ」


「うん……」


 玲衣さんはとっておきの笑みを浮かべると、そのまま俺を受け入れた。


 きっとこの先も俺は玲衣さんを甘やかし続けるだろう。そして、玲衣さんも俺のことを一番に大切に思ってくれる。


 ひょっとしたら、俺たちは遠見家の後継者になって、結婚して子どもだって……作ることになるのかもしれない。

 問題は山積みだけど、今は目の前に、一番大事な人がいる幸せでいっぱいだった。


 このクールだった女神様を、俺は誰にも渡したりしない。玲衣さんは俺のもので、俺は玲衣さんのものだ。


 そう思えることが俺にとってはとても幸せだった。願わくば、玲衣さんの幸福も、俺の幸福とともにありますように。



以上でひとまず完結です! クールな女神様を甘やかすラブコメでした。30万字にわたりお付き合いありがとうございました……! 


面白かった、玲衣が可愛かった、続編に期待、他のヒロインももっと見たい!と思っていただけましたら


・↓の☆☆☆☆☆→★★★★★


で応援いただければ嬉しいです! 今後も作品を執筆するモチベーションになります……!


3巻も本日発売なのでよろしくです! 

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― 新着の感想 ―
琴音ルートも見てみたいなぁ
まず最初にお疲れ様でした。とても楽しませていただきました。もし余裕があれば後日談も見たいですねーこれからも漫画の連載応援してます!頑張ってください〜
[良い点] やったー!水琴と結ばれたー!イチャイチャ最高! [気になる点] 他のヒロインルート出るのかな? [一言] 完結おめでとうございます!本当にお疲れさまでした!
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