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140話 わたしはあなたのことが大好き

「……俺は玲衣さんの力になりたい。今も、この先も。本当にそう思ってる」


「ありがとう、晴人くん。わたしも絶対に晴人くんを離さないから。それに、わたしが後継者争いに勝ったら、晴人くんはわたしの婚約者になってくれるって言ったものね?」

 

「そうだね。俺は遠見総一朗に玲衣さんの婚約者になると言った」


「晴人くんがそう言ってくれて、わたし、本当に嬉しかったの。もちろん、お祖父様を説得するための手段だってわかってる。でもね、わたしは本気にしちゃうから」


「れ、玲衣さんは俺なんかが婚約者で良いの……?」


「そんなこと、聞かなくても晴人くんだったら、わかっていると思うんだけどな」


 そう。もちろん、玲衣さんは俺との婚約を受け入れるだろう。それが玲衣さんの強い希望だと俺もみんなも知っている。


 そうなったとき、俺は玲衣さんと結婚して、遠見グループという巨大企業を経営していくことになる。

 それは途方もないことで、想像もつかない。でも、玲衣さんと一緒なら、そんな未来も楽しめる気がする。


 玲衣さんはくすりと笑う。


「晴人くんには、佐々木さんも雨音さんも桜井さんも、それに琴音もいるものね。無理して今すぐ、わたしを選ぶって決めなくてもいいの」


「でも、それじゃ、俺は嘘つきになっちゃうよ」


「いいの。こんな形で、遠見家の事情なんかで、晴人くんに選んでもらうのは、わたしも不本意だから。最後に、ちゃんとわたし自身の力で晴人くんに選んでもらう。そのときは、わたしと結婚してね、晴人くん」


 ドレス姿の玲衣さんは頬をほんのりと赤くして、俺を正面から見上げた。

 結婚、という言葉に、俺は心臓がどくんと跳ねるのを感じた。今の玲衣さんは純白のドレスを身にまとっていて、それがまるで……ウェディングドレスのようにも見える。


 玲衣さんはそっと俺に右手を伸ばし、俺の腕に手を絡める。

 腕を組んだ玲衣さんはぎゅっと俺に密着して……。ドレスの胸元が露出している部分から胸が直接当てられてる。


 俺がびっくりして玲衣さんを見ると、玲衣さんは幸せそうな笑みを浮かべた。


「れ、玲衣さん……」


「わたしは白いドレスで晴人くんはタキシードだから、こうやって腕を組むと結婚式の新郎新婦みたいだと思わない?」


「たしかに、そうかもね。で、でも、くっつきすぎじゃない?」


「大胆なドレスだから大胆なことをしてみようと思ったの。晴人くんに直接、わたしの身体を感じてほしいなって」


「そ、そっか……」


「あ、晴人くん、照れてる……!」


「照れさせるようなことを玲衣さんがするからだよ。それに、こんなところ他の人に見られたら困ったことになるよ……」


「別に平気。わたしは何も困らないよ? わたしは晴人くんの婚約者になりたいんだもの」


「それは……たしかに、そっか。俺も困らないな」


 むしろ、俺と玲衣さんが親密な仲だと会場の客には見せつけておいた方が良いかもしれない。

 俺が玲衣さんを支え、玲衣さんが俺を選ぶ。この先の後継者争いでも、その構図を明確にする必要がある。


 遠見総一朗は、妹、つまり俺の祖母との約束で、秋原家の人間を遠見家に取り込むことにこだわっている。


 それなら、玲衣さんが、俺の選んだ相手であると知られれば、琴音よりも優位に立てる。

 それは俺と玲衣さんの望みを叶えることにつながる。


 いや、玲衣さんが俺と結婚して遠見グループを受け継ぐのは、玲衣さんの希望だ。俺自身はまだ決めきれていない。


 優柔不断と言われても仕方ないかもしれない。でも、今、俺の目は、心は、他の誰でもなく、玲衣さんを捉えて離さなかった。


 玲衣さんは甘えるように、ますます俺の腕を強く抱きしめる。


「だから、このままパーティ会場に戻ってほしいな」


「え!?」


「ダメ? わたしのわがまま、聞いてくれない?」


 玲衣さんが上目遣いに俺を見つめる。ドレス姿の最高に美しく、そして可憐な玲衣さんに懇願されて、俺が抗えるはずもなかった。


「……俺も玲衣さんを見て、ウェディングドレスみたいだなって思ってたんだ」


「へ!? は、晴人くんも!?」


「そうそう。だから、他のみんなにも、そう思わせないとね」


 俺が冗談めかして言うと、玲衣さんはぱっと輝かせた。

 その表情はとてもとても嬉しそうだった。


「ありがとう。やっぱり、わたし、晴人くんのことが大好き!」




いよいよクライマックスです……!



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