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123話 耳かきは最高のご褒美です!

 頭上すぐに玲衣さんの端正な顔と大きな胸が見える。学校一の美少女と密着しているんだな……と思う。

 玲衣さんのふわりとした甘い香りに、俺はドキドキさせられた。


「どう? 晴人くん?」


「……控えめに言っても最高です」


「変な晴人くん」


 玲衣さんはくすっと笑った。「でも、喜んでもらえて、良かった」と玲衣さんははにかんだ。

 そして、玲衣さんは俺の頭をそっと撫でる。まるで子どもをあやすかのように。玲衣さんの手がくすぐったく、そして心地よい。


 たしかに、これは甘やかされているかもしれない。


「晴人くんのお姉さんをして、甘やかすのは、雨音さんだけの特権じゃないの。わたしにもできるんだから」


「ありがとう。でも、玲衣さんはどちらかといえば可愛い妹かな……」


「もうっ。晴人くんの意地悪」


「また、『晴人お兄ちゃん』って呼んでみる?」


 俺はからかうように言うと、玲衣さんは頬を膨らませてしまった。


 実のところ、俺は九月九日の生まれでもう16歳になっているけれど、玲衣さんは1月11日生まれでまだ15歳。あと一ヶ月弱は、俺の方が玲衣さんより年上だ。


 少しだけ年下で血が少しだけつながっているから、玲衣さんは少しだけ俺の妹。だから、玲衣さんが俺を「晴人お兄ちゃん」と呼んだことがあった。


 まだ会ったばかりのことで、あの頃は互いをまだ名字で呼んでいたんだっけ。もう大昔のことに思える。


「……晴人くんが呼んでほしいなら、呼んであげるけど」


 意外にも玲衣さんは不満そうにしながらも、そう答えた。

 ちょっと面白くなって、俺は「呼んでみてよ」と膝枕されたまま言う。


「晴人くんが妹プレイをしたいなら、仕方ないか」


「いや、妹プレイなんて言ってないよ!?」


 俺の反応に玲衣さんはくすくす笑い、そして、俺の耳元に唇を近づけた。


「晴人お兄ちゃん♪」


「……っ!」


 ぞくりとする。玲衣さんの甘い声が耳たぶを刺激して、ドキドキさせられる。

 こ、これはこれで……。でも、すぐに玲衣さんは唇を離してしまった。少し残念……かもしれない。


 玲衣さんの表情は楽しそうだった。


「晴人お兄ちゃんは、妹に膝枕して甘える悪いお兄ちゃんだよね?」


「い、いや、俺は……」


「いけないお兄ちゃんにはお仕置きをしないとね♪」


「お仕置き!? というか、玲衣さん……なんか意外とノリノリじゃない?」


「妹のこと、さん付けでは呼ばないでしょ? 『玲衣』って呼んでくれないとダメ」


「えっと、玲衣?」


 呼び捨てで呼ぶと、玲衣……玲衣さんはくすぐったそうな甘い笑みを浮かべた。


「呼び捨ても新鮮で嬉しいかも!」


「妹じゃなくて、素に戻ってない?」


 はっとした表情で、玲衣さんはぶんぶんと首を横に振る。

 そして、ジト目で俺を睨む。


「やっぱり、晴人お兄ちゃんにはお仕置きをします」


「お、お仕置きって……」


 な、何をされるんだろう?

 俺がびびっていると、玲衣さんは細長い金属製の棒を取り出した。拷問道具……?


 ではないらしい。


「これ、ステンレスの耳かき棒なの」


 玲衣さんがえへんと胸を張る。頭上間近で玲衣さんの胸が軽く揺れ、俺は自分の心臓がどくんと跳ねるのを感じた。


 俺は無理に意識を玲衣さんの「耳かき棒」に集中させる。


「えーと、耳かきしてくれるの?」


「そうそう。これがお仕置き!」


「どっちかというと、ご褒美では……?」


「ご褒美だと思ってくれるんだ?」


「まあ、その、嬉しいな……」


「恋人に膝枕で耳かきって男の人の憧れだって、ネットで見たの。晴人くんもそう?」


「憧れなのはそのとおりだけど、嬉しいのは玲衣さんがやってくれるからかな」


 俺が自然とそう口に出る。他の誰でもなく、玲衣さんが俺のために、俺の喜ぶことをしようと思ってくれることが嬉しかった。


 玲衣さんは顔を赤らめ、目をそらす。


「晴人くん……無自覚にそういうこと言うの、良くないよ」


「無自覚じゃないよ」


「そう……なんだ。わたしだから、なんだ」


 玲衣さんはふふっと笑う。

ハイスペック主人公が、地味だけれど優しく可愛い幼馴染の女子を溺愛するラブコメディをなろうに投稿しています! 


タイトル:ツンデレ可愛い幼馴染には、「ざまぁ」よりも溺愛が効く

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ぜひお読みくださいね!


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