122話 これが膝枕か……!
恥ずかしくて、目も合わせられないらしい。や、やりすぎたかな……。
でも、玲衣さんはふるふると首を横に振った。
「褒めてくれたのは、すごく嬉しかった。わ、わたしのキャパオーバーだっただけ……」
「そ、そっか。それにしても、俺のためにわざわざ服を買ってきてくれてありがとう」
「だって、せっかくのお家デートだもの。晴人くんに可愛いって思われたい」
玲衣さんはくすっと笑って、上目遣いに俺を見る。
お家デートと言われて、俺はどきっとする。
ずっと秋原家のアパートで一緒にいた。だから、玲衣さんが同じ部屋にいること自体は特別感はなくなってしまっていた。
でも、よく考えると、同じ部屋に学校一の美少女がいるというのは……すごいことだ。
夏帆と雨音さんとの取り決めで、二時間、俺と玲衣さんはこの部屋に二人きりでいられるらしい(その次は夏帆の番)。
お家デートと言われれば、そうなのかもしれない。
玲衣さんは部屋に入ると、部屋の隅に畳まれている寝具を示した。
「は、晴人くん……布団を使ってもいい?」
「え、お昼寝でもするの?」
「せっかく晴人くんと二人きりなのに、そんなもったいないことしないよ。晴人くんと……い、イチャイチャするんだから!」
「だったら……」
布団をどうやってイチャイチャに使うんだろう?
想像することは一つだ。
俺が玲衣さんを見ると、玲衣さんはぶんぶんと首を横に振る。
「エッチなことはしないから! は、晴人くんがしたいなら、してもいいけど……」
「お、俺もしないよ!」
「そうだよね。わたしも、エッチな方法は使わないって決めたんだもの。わたしの願いは晴人くんに選んでもらうことだから。だから……」
玲衣さんは布団を敷く。そして、玲衣さんは、その片方の端に座って正座した。
せ、正座……。そして、玲衣さんは俺を見上げ、優しく微笑んだ。
「晴人くんのお姉さんをするのは、雨音さんだけの特権じゃないって、証明してあげる」
そこで、俺は玲衣さんがこないだ言っていたことを思い出した。玲衣さんと雨音さんが……「どっちが晴人くんを甘やかせるか対決」をしていたときのことだ。
玲衣さんは俺を甘やかす方法として、一つの手段を挙げていた。
「もしかして膝枕をしてくれるの?」
「正解! 覚えていてくれたんだ」
玲衣さんが嬉しそうな顔をする。それはまあ、忘れるはずもない。
ぽんぽんと玲衣さんが自分の膝を叩く。その仕草に視線を移すと、ショートパンツだから、玲衣さんの膝も太もももバッチリ露出している。
し、白い脚がまぶしい。
「晴人くん、頭のせて?」
「う、うん……」
まず、俺はおずおずと玲衣さんの隣に腰をかがめる。
えっと、ここから横に倒れて、玲衣さんの膝に頭を乗せれば良いのか……。
お、思ったより、緊張する……。隣の玲衣さんも同じだったのか、ちらりと表情をうかがうと、目をぐるぐるとさせている。
「れ、玲衣さん……その、恥ずかしかったら、無理してしなくてもいいんだよ?」
「だ、ダメ。絶対するの!」
「どうして……?」
「だって、膝枕って、すごく恋人っぽいもの。やってみたかったの」
「たしかに、恋人に膝枕して甘やかしてもらうって、理想のシチュエーションだけどね」
「ね、でしょ! わたしも晴人くんに甘やかされるだけじゃなくて、甘やかしてあげられるようになりたいの。だから……」
今度はちょんと、玲衣さんが自分の膝を指し示す。とても恥ずかしそうだけれど、決意は固そうだった。
玲衣さんがそう言うなら、俺も乗らないわけにもいかない。俺もちょっと興味あるし……。
ということで俺は寝転がって、玲衣さんの膝に自分の頭を乗せた。柔らかくて、そして、温かい。
……これが膝枕か!
「ひゃっ!?」
ほぼ同時に玲衣さんが甲高い声をあげる。
「だ、大丈夫?」
「へ、平気。ちょっとびっくりしただけだから。それより……膝枕しちゃったね」
玲衣さんがふふっと笑う。
青い瞳で玲衣さんが俺を見下ろしている。その表情はとても優しかった。
大晦日ですね! 今年も一年間お付き合いいただきありがとうございました! 来年も書籍3巻&北欧美少女1巻発売なので、ぜひよろしくお願いします(*´∀`*)
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